030 最後の輝き
数日間の激闘で多くの勇者候補が倒れる中、バトルリーグはついに最後の局面を迎えた。立ち続けているのは、アレクシウス、シルヴァーナ、アイリス、そしてロウィンの四人だけだった。
緊張の空気が張り詰める中、最初の一戦――アレクシウスとシルヴァーナの対決が幕を開けた。
アレクシウスは光を操るエルフ。
深い正義感に突き動かされ、魔法で邪悪を打ち払う使命を背負っている。しかし時折、その重さに押し潰されそうになる。守るべき者と戦う相手の境目が曖昧になり、胸の中で矛盾が渦巻くこともあった。
「……くそ、どうすれば……」
それでも彼は、自分を説得し続けるしかなかった。
「俺が動かなければ、誰かが傷つく」と。
そして、対峙の時。
シルヴァーナは闇の魔法を操るダークエルフ。
アレクシウスは静かに笑みを浮かべる。
「ついにお前と戦う時が来たようだな」
柔らかな声に、思索と計算が混ざっているのが伝わる。
シルヴァーナは銀髪をなびかせ、感情のない瞳を向けた。
「その輝き、私の力で断つ」
試合開始。
アレクシウスは両腕を広げ、空を指し示すように構えた。体から光があふれ、周囲を眩く照らす。
「我が力、ルシアフィールよ」
神々しい精霊がゆっくりと姿を現す。
彼女は澄んだ青眼でアレクシウスを見上げ、一言。
「ご命令を」
その声は高く、重みを持つ。
シルヴァーナは少し後退した。
アレクシウスは頷き、力強く応じる。
「光を示そう」
二人の絆が、場を満たしてゆく。
光が空間を染め、エネルギーが渦を描く。
精霊の羽が放つ光の刃が、シルヴァーナを襲う。
だが彼女は動じず、手を動かし、闇を呼び寄せる。
「冥王ハルバス・ドラウグス」
その言葉に闇が膨らみ、空気が重さを帯びる。
巨大な影が現れ、光を飲み込もうとする。
ルシアフィールの顔に、怯えが走る。
「やめて――!」
叫びが宙を舞った。
精霊の羽が放った光の粒子が、ひとつ、またひとつと消えていく。
闇が光を浸食し、じわりと世界を覆った。
アレクシウスの心が乱れ、動揺が体を貫く。
「くっ……諦めるな!」
光が消え、場が静止したかのように思えた。
彼は再び光を振りかざす。しかし力は闇に引き戻され、思うように動かせない。微かに肩が落ち、口元が震え、声が漏れる――
「……頼む、どうか許してくれ……」
その言葉も闇に飲まれた。
最後に彼の視界をかすめたのは、無表情のシルヴァーナだった。
その奥に、わずかに色づくものが潜んでいるのが、彼にも感じられた。
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