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027 戦慄の魔剣:シルヴァーナの暗黒召喚

 観客席は騒然そうぜんとしていた。バトルリーグ屈指の注目対決。

 「ダークエルフの覇者」シルヴァーナと、「魔弾の使い手」レオン・アストリアの戦いが、ついに始まろうとしている。


 レオンの手には、青白い光を帯びた銃「アストラル・レイ」。

 その威力は数々の勝負で証明され、彼の名を広めた象徴でもある。戦場に漂う魔力の気配が、緊張をさらに高めていた。


 一方、シルヴァーナは闇の魔剣「ナイトフォール」を手にして立っていた。

 不敵な笑みを浮かべ、その視線は鋭く、相手を真っすぐ捉えている。観客は、動きの一つひとつを逃さぬよう息を呑んだ。



 試合前、レオンは控室にいたシルヴァーナのもとへ、挑発的な態度で乗り込んできた。


「よう、シルヴァーナ。まだロウィンのこと引きずってんのか? アイツ、地味だし面白みゼロだろ。お前、見る目ねぇな」


 シルヴァーナの前に立ちはだかり、にやけた顔で言葉を続ける。


「俺ならもっと楽しませてやれるぜ? 今日の試合が終わったら、俺の部屋に来いよ。飽きさせねぇからさ」


 彼女は一切の動揺を見せず、冷ややかな視線を向けた。まゆを軽く上げ、静かに言葉を放つ。


「楽しませる? あなたのような下品な男が?」


 その目には明確な拒絶の色が宿っていた。


「それにしても、自信過剰ね。自分の顔、鏡で見たことある?」


「なんだと? バカにしてんのか?」


 レオンは顔を赤くし声を荒げるが、シルヴァーナは一歩も引かない。


「あなたを選ぶくらいなら、冥界の魔物と踊ったほうがマシね」



 そして試合開始の合図。

 レオンが銃を構え、魔力を一点に集中させる。


「これで片をつける!」


 銃口から放たれた光が、会場を包み込む。

 青白い弾が真っすぐにシルヴァーナを狙い、観客の視線がそれを追った。


 そのとき、彼女は魔剣を地に突き立て、素早く詠唱えいしょうを始めた。


「闇より来たれ……デーモンロード・グラヴィエス」


 足元に魔法陣が広がり、そこから黒い炎に包まれた巨大な悪魔が姿を現した。

 その異様な気配に、場内が凍りつく。


 魔弾は悪魔の胸に命中するが、闇の炎がそれを吸収し、威力いりょくを無効化した。

 グラヴィエスは小さく唸り、レオンを見下ろす。


「なんだと……?」


 レオンは初めて表情を歪めた。

 アストラル・レイの一撃を正面から防がれたのは、これが初めてだった。


「さあ、踊ってもらうわよ。冥界の主とね」


 シルヴァーナは剣を握り直す。その背後で、グラヴィエスが低く吠えた。

 漆黒しっこくの波動が戦場を包み、空気を圧迫する。


 レオンが反撃に出ようとしたその足元に、複雑な紋が浮かぶ。


おろかな、人間」


 グラヴィエスの声が響くと同時に、魔法陣が光を放ち、レオンの姿がき消えた。



 気がつくと彼は異界にいた。

 冷たい霧が漂い、あちこちに骨や朽ちた肉が散乱している。不気味な声が四方から押し寄せる。


「ここは……」


 恐怖を押し殺し、銃を構える彼。しかし指先は震えていた。

 地面から骨が伸び、足を捕らえる。


「くっ……離せ!」


 銃撃で骨を砕くが、次々と現れる。

 数多の死者が姿を現し、赤い目でレオンを見つめている。


「魂はここで消え去る……」


 声が幾重にも重なり、死者たちが襲いかかる。

 撃っても倒しても、すぐに再生し、数は減らない。


「ふざけるな……俺はまだ負けねぇ!」


 叫びながら撃ち続けるが、やがて体力が尽き、腕が下がる。銃が滑り落ちる。

 そのとき、グラヴィエスの顔が霧の奥から姿を現した。


「お前の墓場だ」


 大きな手が振り下ろされ、レオンの体が黒い闇へと沈んでいった。

 薄れる意識の中で、自分の敗北を認めざるを得なかった。



 闘技場に戻った彼は、かつての自信を失い、ひざをつき、荒い呼吸を繰り返している。

 

 その様子を上から眺めるように、シルヴァーナは口元をわずかにゆるめた。


「ようやく理解したかしら。冥界に挑んだ報いを」


 彼女はナイトフォールをゆっくりと掲げた。

 観客は言葉を失い、圧倒的な差を見せつけた勝者に視線を送っていた。

 最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


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 これからも、心に残る物語を届けられるよう精一杯書いていきます。

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