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153 眠れる力、再び目覚める
預言に縛られた命。
歪められた時間。
そして、異世界からの侵攻者たち。
シルヴァーナは、遠くの空を見つめてつぶやいた。
「未来は、もう書き換えられた。最悪の道は閉ざされたわ。」
ロウィンも頷かずに、ただ視線を交わす。
「クロエは、旅の中で変わる。あの子自身が、世界を導くだろう。」
風が港をなでる。新しい大陸へ向けて船が出るその背を、ふたりは見送っていた。
「私は……もう一度立つわ。」
「俺もだ。敵のことが、少しずつ見えてきた。」
「異世界アザロス。」
シルヴァーナの声が低く落ちた。
ロウィンはただ、言葉を重ねる。
「やつらは、自分たちが不利になると、この世界の時間そのものを巻き戻してくる。戦局ごと、歴史ごとねじ曲げて、何度でも勝利を狙ってくる。」
「こちらの準備は?」
「全部済ませた。必要なものはそろっている。」
ふたりは歩き出す。誰かに示すためではない。背負うものを持ち、進む者の足取りだった。
空は高く、雲は流れる。
過去を何度書き換えられても、今は確かにここにある。
まだ終わりじゃない。
世界は、これからだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




