015 心がつながる瞬間
「……一緒にいてほしい」
その言葉が空気に溶けた直後、場の雰囲気が変わった。
シルヴァーナは背筋を伸ばし、耳を澄ませる。
肌に触れる空気が冷えていく。
「誰かが来る……」
彼女が小声で告げると、ロウィンの視線が鋭くなる。
手が自然と柄に伸び、身体の緊張がわずかに高まった。
「アサシンか」
その一言に、シルヴァーナも即座に魔力を展開し、気配を探る。
彼女の視界は、暗がりの中でも動きを捉える。
そこへ、影が走った。
漆黒のフードに身を包んだ男が現れる。
冥王軍の暗殺部隊長――ヴェルディス。
低く、冷たい声が響いた。
「……シルヴァーナ」
その一言に、胸の奥がざわめいた。
「冥王様は、すでに知っている。お前が離反していることも」
「……安心しろ。お前がどんな選択をしても、俺が守る」
ロウィンの言葉が届くと同時に、ヴェルディスの魔力が放たれる。
「闇域の絶対刃 ≪ダークゾーン・アブソリュートブレイド≫!」
叫びとともに、凄まじい斬撃が生まれる。
だが、ロウィンの目が金色に染まる。
《刻印》が発動し、未来の光景が意識に映し出された。
迫るヴェルディスの一撃――それをかわし、反撃する自分の姿が、未来の中で動く。
そして現実でも、未来に導かれるようにロウィンが動いた。
鋭い斬撃が空をかすめ、気づけばヴェルディスの背後に立っていた。
「答えは見えた――そして、お前は敗れる」
言葉とともに、剣が走る。
冥王の影が断たれ、ヴェルディスの身体が揺らぐ。
「な……っ」
驚きに目を見開いたヴェルディスの姿が、ゆっくりと消えていく。
闇の力さえも、ロウィンが見通した未来には届かない。
静まった空間の中、シルヴァーナはただ立ち尽くす。
胸の奥に、複雑な感情が渦巻く。
「……こんなにも強かったのね」
その声は震えていた。驚き、そしてどこか安堵もあった。
「私は……あなたと一緒だから。もう怖くないの」
小さく笑いながら、彼女は言った。
ロウィンは黙ってその瞳を受け止める。
言葉以上に心が通じる。
静かな時の中で、彼女はそっと名を呼ぶ。
「……ロウィン……」
彼はそっと顔を近づけ、唇を重ねた。
短く、穏やかなキスだった。
だが、その一瞬に込められた想いは確かだった。
ぬくもりが胸の奥に広がり、何かが静かに満たされていく。
まるで、この世界のすべてが自分たちだけのものになったかのような安らぎ。
ロウィンは微笑んだ。
まっすぐな瞳が、彼の内にある決意を語っていた。
「これからも……共に歩こう」
その声に、シルヴァーナは彼の胸に手を置き、小さく頷いた。
「はい。私は、あなたと……」
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたなら、ぜひブックマークや評価での応援をお願いします。とても励みになります!
これからも、心に残る物語を届けられるよう精一杯書いていきます。
どうぞよろしくお願いいたします!




