148 新世界創造――神々が綴る『始まり』の詠唱
神々しい光がシルヴァーナを貫こうとした、その瞬間――
空間が歪み、時間そのものが停止した。
無数の巨大な時計が出現し、狂ったように針を刻む。
そして、光は霧散した。
「遅いから心配したぞ、シルヴァーナ」
声とともに、彼女の背後に圧倒的な存在が立つ。
ロウィンの身体が輝き、時の神クロノスが顕現した。
シルヴァーナは口元に小さな笑みを浮かべる。
「ちょっと油断しただけよ」
クロノスの瞳に怒気が走るが、それも一瞬で消え、静かな表情へと戻った。
そのとき――
死の国の空が裂け、雷光が降り注ぐ。
天と地を引き裂く轟音とともに、異常な光景が広がった。
ゼウスの降臨だった。
消失したはずの魂は新たな形で再生し、アリアがその力を宿して姿を現す。
彼女は落ち着いた声音で告げた。
「向こうが一段落したので、帰還しました」
伝説の元勇者パーティー《空翔ける星影》は、言葉を失い、力が抜けていくのを感じていた。
ゼウスは深く息を吐き、宣言する。
「天界、異世界、人間界――すべては滅びへ向かっている。
だが今こそ、新たな創造の時だ」
クロノスが続ける。
「原因は我々にある。
ゆえに、始まりを告げる責任も我々が負う」
ハデスは冷ややかな微笑を浮かべた。
「仕方あるまい。新たな秩序が必要だ」
三柱の神は、不本意ながらも詠唱を開始する。
その声は空間を震わせ、時を越えて響いた。
『エリシオン・オルディナ・アストラ・ルミナ・ヴァルシア』
――天界創造が始まる。
空に光が集い、星々が描かれるように新たな形を成していく。
神々の力が天空を満たし、各世界はその輝きに包まれていった。
ゼウスの声が、世界に届いた。
「眠りについた神々に力を注げ。
再び、目覚めの刻だ」
古の力が、ゆっくりと覚醒していく。
クロノスが告げる。
「あらゆる地に光と希望を。新たな調和のために」
天界に反響したその声は、やがて各世界の空へと広がっていく。
無数の星が再び輝き、未来を示す道のように光を放っていた。
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