戦いと後片付け
一夜明けて、
中央広場は焼け焦げた死体の山とそれでも生き残った数千の帝国軍がいる…
先ほどまではバリスタや魔法を放つ領主の館の有る内側の壁を目指して進軍して来たが、
剣鬼と名高い軍務卿に勝ってしまう〈木こり〉や〈りんご農家〉などで編成され、ダンジョン産希少金属で、〈魔法防御〉などが付与された鎧を纏った300人の騎士部隊に、指揮官クラスがいいように切り飛ばされて、
現在、残った帝国軍も降参の意思を表している…
魔法部隊がマジックポーションを飲みながら、街の外に深さ六メートル程の大穴を空けて、
投降した帝国軍人から装備を奪い、穴にお入り頂く
完全鑑定を持った村人が、
「貴族」と「一般兵」と「アイテムボックス持ち」に分けて、
勿論アイテムボックス持ちは中の物は没収してから穴に案内する。
地上の帝国軍を仕分け終えたら、落とし穴組を救出しながら捕虜として穴に案内していく…
隙をついて刃向かう奴は容赦無く斬り捨てると、皆大人しく言うことを聞いてくれた。
宿屋とギルド等の落とし穴には、帝国貴族の跡取りがゴロゴロ落ちていて、
穴から出しに行ったら、穴の底から護衛の魔法使いが撃って来たので、弓部隊が応戦して蜂の巣にしたら大人しく成った。
なんだかんだ有ったが、
二万 対 三千 の戦争は、奇襲にトラップも使い、
帝国軍、死者一万三千程と捕虜七千程、
村人は、死にかけようが生きていれば、ダンジョン産のフルポーションで元気になるので、死者なしの圧勝に終わった。
いささかズルい気もするが、関係ない
運良く皇太子は生きていたので領主館の地下牢にご案内し、
その他貴族のご子息と、将軍クラスもご一緒に合わせて百名あまりを地下牢に案内する。
七千人近い捕虜を養うのもアホらしいので、
武器防具を没収して帰りの食糧だけを持たせて追い返した。
「七千の人間の中で一人でも引き返して皇太子を救出しようとしたら、容赦なく皇太子を殺しますよ。」
と言って、皇帝陛下へ〈軍を引かなきゃ息子を殺すし、改めて兵を差し向けたら全員を殺す…〉との伝言を頼む。
あとは、〈ナンディ商会〉を使い国王陛下に、「帝国の援軍は潰して皇太子を捕まえた」報告をする。
帝国軍も遠距離通信魔法でもあれば、
2ヶ月後には三万の兵も帰るだろうし、
いくら小国と言えど、2ヶ月もあれば王国軍が何とかするだろう…
俺達は死んだ帝国軍兵士を捕虜用の穴を使い荼毘に付す作業を続けた。
魔法部隊の炎魔法を使い思いの外早く片付けられたので、
『皇太子を預かっている。
用が有るなら村まで来い!』
と簡単な地図付きの立て看板を立ててから、ホープ村に使いを出して、檻馬車で捕虜のお迎えを頼み、
バリスタ等を回収したのちに檻馬車に帝国の捕虜を乗せて村に引き返した。
帰る道中で檻越しに皇太子殿下と話をしたのだが、
俺が、
「なんでフォレスティア王国を攻めたの?
あの国王がなんか帝国に悪さでもしたの?」
と聞くと、
皇太子は、
「その方達は本当にフォレスティア王国の者ではないのだな…」
と、王様を敬ってない俺にしみじみと言っていた。
帝国は、
〈元皇帝陛下が齢15で軍を率いてとある王国を討ち負かして属国とした偉業に並ぶようにと、
弱そうな小国のフォレスティアに進軍したそうだ…〉
全くもって迷惑な話しだ!!
皇太子殿下は、
「何故に、そなた達はこの戦いに参加しておるのだ?
フォレスティアの属国なのか?」
と聞いてくるので、
俺は、
「ウチの街は基本的に〈元難民〉の集まりで、
今回、五千人近い難民がいきなり流れて来たのよ…
戦争されると第三国的なウチは良い迷惑なのよね!
顔見知りの辺境伯の娘さんが、健気に震えながら五千人の命を預かり逃げ延びて来たのを追い返せないでしょ!!
当事者に諦めて貰わなければドンドン難民が増えていくのが解る?」
と鬱憤をぶつけてやった。
皇太子は、
「すまん…」
とだけ言ってうつむく。
俺は、
「別に皇帝さんと先発の三万五千人の軍が酷い〈武力での占領〉をしなければ良かっただけだで、
皇太子が悪い訳ではないけど、今から行く〈ホープ村〉には街の広場で晒し首にされていたギャベッジ辺境伯の娘さんや惨殺された街の人の知り合いや家族達がいるから、
石を投げられるぐらいは覚悟してね。」
と伝えると皇太子殿下はうつむいたまま暫く静かになってしまった…
脅かしすぎたかな?
にしても、
皇帝陛下は息子に箔を着ける為だけに…こんな無意味な戦争を…
許せん!
何とかしてギャフンと言わせたいが…
どうしてくれよう?
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