帰還と拘束と冤罪
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皆を送り出して約半月、
少々心配になった頃に、ダンジョンアタックチームが帰還したとの一報が入った。
まずは、お留守番チーム皆で、風呂の用意をして皆を労う食事の用意を始めながら到着を待っていると、
ぞろぞろと見知った顔が帰って来た。
先頭の〈ネモ〉さんが笑顔で、
「全員無事だぁよ、ビルさま。」
と手を降りながら村に入って来た。
俺は、
「良かった。
報告は後回しで良いから順番にお風呂に入って下さい。
今晩は皆で宴会をするのでそのつもりで、
ホントにお疲れ様。」
と皆に声を掛けていると、一番後ろの一団の中にロープで拘束された子供?…ではないな…ウサギがいた…
?なんだあれ?
と、思っていると、鍛治師のアルドさんが、
「おーい、ダンジョンマスターをふん縛って来たぞー。」
と、どや顔で報告してくれたが…
〈えっ、ダンジョンマスター?〉
と驚く俺に、
二足歩行のウサギ人間?が、
「えー、この度は私の管理が行き届かずに、大変ご迷惑をおかけしました。」
と平謝りのウサギだが、
情報量の多さに頭がついてこない、
たとえ〈聡明〉や、〈並列思考〉を駆使しても俺には、
〈なんだよ、このリアルなシルバニアな家族人形みたいな生き物は…〉
と、考えながら、
アルドさんに、
「ダンジョンマスターって、ダンジョンから出ても大丈夫なの?」
と、素朴な疑問を投げ掛けるのがやっとだった。
アルドさんは、
「コイツが外で死んだらダンジョンも死んじまうらしいが、ビルの旦那に詫びを入れさせる為に引っ張ってきた。」
と言って俺にロープの端を渡して、
「あー、鎧を脱いで風呂にはいるかぁ~。」
と家に向かって行ってしまった。
残されたのは俺とウサギのみ…
〈どうすんだよ?これ…〉
と、心のなかでツッコミを入れるが、どうともならない…
拘束されたウサギに、
「え~っと、ウサギさん…お名前は?」
と、気まずさから、変な質問をする俺に、
「えーっと、名前はありません」
と気まずそうなウサギ、
しばらくの沈黙があり、
何だかロープで縛られているのが気の毒に思えてきた。
俺が、
「暴れたりしないのなら、ロープはずすけど…?」
と聞くと、
ウサギは、
「ありがとうございます。
是非お願いします。
私は元は角ウサギですので、暴れたところでどうにも成りませんから大人しくしています。」
と返事をした。
ロープをほどきながら、
「角ウサギって?」
と聞いていると、ウサギは、
「かれこれ、数百年前になるでしょうか…
たまたま洞穴を見つけて、
住めるかな?
と入ったのが、出来たばかりのダンジョンでして…」
と話していると、
妹が産まれ、少しお姉さんとしての自覚が生まれた〈ミミ〉ちゃんが、
裸で縛られていたウサギさんを見つけて、〈お姉さん本能〉が刺激されたらしくて、
自分のお古のお気に入りのワンピースを握りしめて走ってきた。
そして、
「ビル君、めっ!
ウサギの女の子を裸にして縛るなんて…」
とお叱りをもらった。
「いやいや、俺はむしろ〈縄をほどいた〉ほうでして…」
と説明したが、
「言い訳はしないのっ!」
と、〈ピシャリ〉と言われた。
俺が裸にして縛った〈変態さん〉にされたまま、二人の女子が仲良くお話している。
「私はミミ、あなたは?」
と、ワンピースを〈スポッ〉っとウサギさんに被せる。
まるで巣穴から出てくる様に、
ぐぐっと襟から顔を出すウサギは、
「あ、はい、名前はあり…ません…」
と、着せ替え人形の様に、されるがままで、終始おされている。
ミミちゃんは、襟を〈クックッ〉と直してあげながら、
「そうなの、〈アリ〉ちゃんかぁ~」
と盛大な勘違いをしている。
ウサギは、
「いえ、そうではなくて…」
と訂正しようとするが、
ミミちゃんは、
「ごめんね、〈アリマ〉ちゃんだね。」
と言い直す。
ウサギは、
「…じゃあ、それで…」
と空気を読んで、大人しく
〈アリマ〉と命名されていた。
ミミちゃんは、
「また、ビル君に〈いやらしい〉事されたら私に言ってね!
じゃあ、私、料理のお手伝いに行くから、」
と嵐の様に去って行った、
勝手な名付けと、冤罪を残して…
俺は、
「では〈アリマ〉さん、あちらでお話でも…」
と、促すと、
アリマは、
「あの~、私、この格好で良いのですか?
服とか着たこと無くて…嬉しいんですが、
なんか悪い事してるみたいな…
脱ぎましょうか?」
と、一度に色々な事が起こって処理出来て居ないのは〈アリマ〉さんも一緒だった様だ。
俺は、
「これ以上、悲しい冤罪を生まない為にも、服は着ておいて下さい。」
と、伝えると、
アリマさんは、
「うわぁー、服ってこんな感じなんだぁ」
と、喜んでいるが、
…ワンピースを着たことにより、
〈シルバニア感〉が増してしまった事は俺の心の中にソッと閉まっておこう…
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