見つけた因縁とダンジョンの町

ようやく、ギーネ関係の色々も終わり、

ホープ村に新たな騎士団が出来たのだが、

ビビリーさんと元捕虜組の１３人は解るが、何故か〈オリバー〉さんまでホープ騎士団に入っている…

まぁ、元はギーネの兵士で、

ビビリーさんの上司だったらしい。

まぁ、有りっちゃ、アリかな？

しかし、騎士団が農民より弱いのは宜しくない…

十四人の騎士団員に、毎日500ポイント程入る様になったポイントを使い、

スキルモリモリのホープ村の改造町人(かいぞうちょうじん) に変身してもらい、

そして、俺とスタンピードの原因を探す旅のついでに騎士団のレベルアップも目指す。

ホープ村では〈レッドベアー〉を単騎で倒せてやっとスタートラインらしい…

〈とんだ修羅の国になったものだ。〉

うちの父ちゃん達を殺した〈スタンピード〉だが、飲まず食わずで走り、なぎ倒し、破壊する…

つまり、理由はまちまちだが、自然発生的に一斉に狂乱状態になったり、

強力な魔物に追い立てられて、狂乱状態で逃げ回るなどだ。

しかし、狂乱状態で何ヵ月も走り回るのはアンデットでも不可能、

大概は数日しか狂乱状態は続かない。

と言うことは、少なくともスタンピードの発生源か、

または、追い立てた魔物の痕跡が有るかも知れない。

どこを探しても何も無ければ、それはそれで安心材料になるのだが…

数日後、

「あぁ、有ったねぇ…」

と呟く羽目になる…

俺の目の前に野良ダンジョンが口を開けていた。

誰も攻略しない〈野良ダンジョン〉は規模はまちまちだが、徐々に中の魔物が倒されずに飽和状態になり、縄張りから追い出される様にダンジョンから溢れだし、パニック状態で人間の匂いを探して走り出す。

まるで「ダンジョンはここだよ」、「殺しに来てね…殺してあげるから…」

と誘いに来るように…

…俺は今、〈仇〉の前に立っている事になるのだろうか…

複雑な気分だ。

ただ、ダンジョンは恵みももたらす、

武器や防具、スキルなど…

命を削り大金を手にいれたり、

魔石や魔物素材に鉱物資源など

確かに〈恵み〉をもたらすのだが…

俺はこのダンジョンが〈憎い〉。

家族達の〈仇〉なのだ。

しかし、俺の感情だけで、ダンジョンに乗り込み踏破して、ダンジョンを壊すのは違う気がする。

ダンジョンの中に居ると言われる〈ダンジョンマスター〉をぶっ飛ばして〈ダンジョンコア〉とやらを破壊したりすればダンジョンは萎んでただの洞窟や遺跡に戻ると本で読んだが、

今は500人以上の住む町の〈長〉…

皆の利益を考えるべきだ！

ホープ村から南に約二日の位置のダンジョンから騎士団全員で木を斬り倒しながら村に帰る。

そして、ホープ村とビルドの町の全体会議を行った結果、

あのダンジョンの回りに町を作り、精鋭の〈改造町人(かいぞうちょうじん)〉達の管理の元で、

〈カラッカラになるまで絞り続けて資金にしてやろう。〉

と満場一致で決定し、それからが早かった。

大工組総出で道を整備し、

半年もせずにダンジョン村の〈ベンチャー〉が完成した。

ビルドの町の冒険者ギルドの支店が入り、武器の整備が得意な鍛治師に移り住んでもらい、

冒険者用の宿屋も完成した。

そして、

定期的にダンジョンアタックをかけて、スタンピードを予防する為と、

鉱石などの回収を目的とした。

改造町人部隊を投入し、

ダンジョンのケツの毛までむしりとり、豊かになってやる。

その前に皆の仇をとるために、おれ自身がダンジョンを踏破して、ダンジョンマスターをシバきたいが、

村の皆に止められてしまった…

確かに、何があるか解らないのと、怒りに任せてダンジョンを消してしまわない為なのだが、

正直、スタンピードの責任はダンジョンマスターに取らせるつもりだ。

まぁ、〈会話が出来る相手なら〉だが…

数日後に、１００人程の村人が、ホープ村の町内遠足にでも行くかの様にワラワラと武器を手にしてダンジョンに入っていく。

索敵、罠感知、鉱物感知などのサーチ系のスキルもあるし、

アイテムボックス要員もいる。

攻撃も回復も問題ないとは思うが、

とても、危険なダンジョンに潜るとは思えない和やかムードの一団が、

「ビル様ぁー、いってきまぁーす。」

て旅立っていった。

ダンジョンに行くことの不安より、

こんな感じの村で良いのかな？

という、漠然とした不安に襲われたが、

そんな不安を見せないように、

笑顔で送り出すのであった。