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転落したけど、ナニクソ精神で頑張ります。  作者: ヒコしろう


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再会と返却と貴族



秋も終盤の穏やかな昼下がり、


村の入り口の見張りの鐘が鳴らされた。


急ぎ仕事を切り上げて村の広場に集合し、状況を確認すると、


「騎馬10に馬車2、貴族みたいです。」


と見張り当番からの報告があった。


〈ギーネ〉の奴が来るには早すぎるが…


もしもがある、


俺は、


「戦える者は準備だけはお願いします。


それ以外は教会に避難を!


対応は俺がします。」


と指示を出して、門の上の見張り台に上がり。


閉じた門の裏には農具を持った村人が待ち構える…



馬車の一団が門の前に到着すると、1人の兵士が馬から降りて前に進み出て、


「春に来た時とは村の雰囲気が変わっているが、〈ホープ村〉で相違ないか?!」


と質問してくる。


その声と顔に見覚えがある。


ギーネと一緒に来て、俺に話しかけた兵士だが、


また、ギーネが寄越した刺客の可能性もある…


俺は、


「お久しぶりです、

また暴力で村から物を奪いに来たのですか?」


と嫌みを言ってみると、


兵士は、


「その節はすまない…

私が不甲斐ないばかりに、あのような蛮行を止める事が出来なかった…


あのあと私はギーネの配下を辞めて、君の事や、ギーネの悪行を王国に直に報告したのだ


現在は、ギーネ男爵の寄り親の〈ギャベッジ辺境伯〉と話をつける為に動いて頂いている〈グリム公爵様〉と行動を共にしている。」


と説明しているが、知らない名前を出されても…知らんがな。


俺は、


「お兄さん、あの時は手当てしてくれて有り難う。


出来れば撃ち抜かれる前に何とかして欲しかったのが本音だけど…


それと、これ返しておくね。」


と、門の上から紙に包んだ小金貨と小銀貨二枚を放り投げた。


「行儀悪くてすみません。


また蹴られたり、矢で射たれるのはまっぴらなので…


王国の土地では無いから〈不敬〉にはなりませんよね?」


と伝えると、


馬車から髭をたくわえた〈いかにも貴族〉が笑いながら降りてきて、


「フッフッフ、


オリバーも嫌われたモノだな。


まぁ、出会いが出会いだから仕方ない…」


と言って兵士のお兄さんの肩を〈ポンポン〉っと叩いた後に俺に向かい、


「少年…いや、使徒様。


この度はバカな貴族の愚かな行いで、使徒様に怪我を負わした事を王国を代表して謝罪します。


どうか、私、ライゼル・フォン・グリムの顔を立てて、謝罪を受け取っては頂けないだろうか?」


と頭を下げている。


俺は、


「これは、ご丁寧に〈グリム様〉ですね。


私は〈ビル〉と申します。

神々に少し目をかけて頂いておりますが、〈使徒様〉と呼ばれるのはあまり好きではありません。


それと、王国からの謝罪も、

ましてや、何も悪い事をしていない〈グリム様〉からの謝罪も不要です。


先程お返しした物の中に、私の村の種芋や、私の両親や仲間達で蓄えた冬越しの食糧の代金だと〈ギーネ〉とやらが投げて渡した〈小銀貨二枚〉も入っておりますのでお返し下さい。


足りない金銭でも受け取っては、命をかけて、それらを守った両親達に顔向け出来ませんので、


お手数ですが、ギーネとやらに、


〈お前の奪った種芋には数年で神々からの恩恵が無くなる呪いをかけた、許すことはもうない。〉とだけお伝えください。」


と謝罪を拒否した。


グリム公爵は、ガッカリして、


「我ら兄弟の家庭教師をしていた、〈アーガス先生〉の自慢の弟子は、ひどく王国を嫌いに成られたようだ…


兄上にも、どう伝えたら良いか…」


と肩を落とす。


俺は、人の良さそうな公爵様を責めるのは心苦しかったが、


今言わなけれ成らない事があるので、心を鬼にして、


「そりゃ嫌いに成りますよ。


両親達は開拓村に入植して、必死に頑張り、


〈いつかは、正式な村になり、もしもの時は王国が後ろ楯になるから〉


と働いていたが、


正式な村になる前のウチは仕方ないにしても、


正式な〈王国の町〉の〈カラド〉を復興する事無く切り捨てた。


そんな何もしてくれない王国を好きになる要素が有りません。」


と告げると、


グリム公爵は顔色を変えて、


「情報を集めよ!

事と次第によっては、ギャベッジ辺境伯とあっても許す事は出来ない!!」


と数人の兵士に指示をだして、


改めて俺に向き直り、


深々と頭を下げ、


「先程の言葉が事実ならば、確実に王国の失態、許される筈も無いが、謝罪をさせて欲しい。」


という。


俺は、


「グリム公爵様、

カラドの町は現在王国から離れ、〈ビルドの町〉として補修工事をしております。


どうか、ご自分の目でお確かめ下さい。


私の村から宿屋と商店をビルドの町で経営しておりますので是非ご利用して下さいね。」


というと、


グリム公爵は、


「では、失礼して、〈ビルドの町〉に向かわせて頂く。


次会う時には、お茶を片手に笑える事を心から願います。」


と言って馬車は村から去って行った。



「ふーっ」っと脱力する俺だったが、


村の皆は、


「ビル様が、公爵様を門の上から降りもせずに門前払いした…」


とザワザワしている。


えっ、俺…もしかして…やっちゃいました?



読んで頂き有り難うございます。


「ちょっと応援してやるか!」と思って頂けた方、


ブックマークを宜しくお願い致します。


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合わせて、感想や誤字報告もお待ちしております。


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