表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落したけど、ナニクソ精神で頑張ります。  作者: ヒコしろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/43

楽しい日常と滅びの足音



ポイ活も順調だし、


薬草も元気に育っているし、


種芋販売も問題なく進んでいる。


この調子ならば、来年の春には〈開拓期間〉が終了して、〈村〉になる予定だが、


まずは、この冬を越すための食糧を備蓄せねばならない。


父ちゃんの畑や果樹園の収穫を手伝い村の倉庫に運ぶ日々が続く、


狩りには行けないが仕方ない、


ジャガイモは勿論、人参に玉ねぎ、ミカン等を収穫する。


果物類は町にジェムさんが売りに行き、代わりに、小麦や調味料を買い付けてくれる。


保存食の為に〈塩〉が多めに要るのだが、


秋だというのに、獲物が少ないとアプルさんとパンプさんがボヤいているし、


加工する肉が無いので、プリシラさんも暇そうにしている…


デカイ芋虫で釣れるデカイ魚は獲れるが、獲り尽くすとマズいので、冬の〈たんぱく質〉を魚のみに頼る訳にもいかない、


本来ならば、〈ダッシュボア〉に〈跳ね鹿〉が沢山獲れる時期なのだが…


収穫も終わり、父ちゃんと一緒に村の近場で、〈牙ネズミ〉や〈角ウサギ〉を狙い狩りをして、何とか冬の〈たんぱく質〉が確保出来たが、村人全員分には少し心もとない。


今年は野菜中心の我慢の冬になりそうだ…




ー 冬のある日 ー



アプルさんが家に駆け込んできた。


酷く焦った様子で、


「すまねぇ、森の様子がおかしかったのに、気づくのが遅れちまった。


俺たちのミスだ!


森から魔物が溢れて、こちらに向かったらいる。


一番頑丈な倉庫に全員で移動してくれ!」


と、指示を受け、


母ちゃんは俺の手を引き、エレオノーラ師匠の家に寄って師匠と合流した後で、倉庫に向かった。


母ちゃんの笑顔の消えた横顔を眺めながら、平和ボケしたオツムの俺には、今の状態を理解することが出来なかった…


倉庫には、村の皆が集まっており、


ジェムさんがボウガンを握りしめているし、


ドノバンさんは大きなハンマーを担いでいる。


アルフさんは盾と片手剣を装備している…


アーガスじいちゃんまで、魔法の杖を握って倉庫の前に立っている。


〈これは、ただ事ではない!〉


と理解した俺だが、


アプルさんとパンプさんと一緒に倉庫に駆けつけた、生まれて初めて見る〈冒険者姿〉のデカイ斧を持った父ちゃんに、


〈ヒョイ〉と抱き上げられて倉庫の中に運ばれる。


「父ちゃん?」と聞こうとしてが、


父ちゃんは、皆に


「スタンピードだ。女性陣は倉庫の中に隠れてくれ、既に村の入り口は閉じて来たが、軽く数千の群れだ。


どれだけ持つか解らない!」


と皆に説明している。


〈ヤバいじゃないか!〉


ようやく全てを理解した俺は、


「父ちゃん、僕も戦う!」


というが、


「バカ野郎!」


と怒鳴られた…しかし、父ちゃんの顔は怒っている訳では無くて、悲しさと嬉しさと色々混ざりながらも〈決意〉した漢の顔だった。


父ちゃんに地下倉庫に運ばれて、ジャガイモ達の箱の真ん中の通路に降ろされた。


父ちゃんは、


「ビル、ここで隠れていろ…」


と、俺の頭を撫でてくれた。


「父ちゃん…父ちゃん、怪我しないでね。」


と抱きつくと、父ちゃんはポケットから軟膏壺を出して、


「お守りが有るから大丈夫だ。」


と言い残して地下倉庫から出ていく。


母ちゃんが、地下倉庫の蓋を閉めながら、


「ビル、生きてね、愛してるわ。」


と、不吉な別れの言葉を放つ、


俺は、


「母ちゃん!」


と叫び地下倉庫から出ようと階段に近づこうとすると、


エレオノーラ師匠が、


「有り難うビル坊、私の可愛い弟子…」


と言って何かの小瓶を地下倉庫に投げ入れた。


母ちゃんが、扉を閉めたが、


扉の向こうから母ちゃんのすすり泣きが聞こえる…


「母ちゃん!」


と叫んだが、師匠の小瓶から立ち上る煙を吸い込んだとたんに、〈ヒドイ眠気〉に襲われた…


俺は、沈みゆく意識の中で後悔していた。


魔物ひしめく異世界で、魔物が攻めて来る事を今の今まで考えて無かった…


アイテムボックスを使えば、山から岩を運んで壁を強くする事も、


なんなら〈防御系魔法〉という選択肢も有った筈だ…


〈クソ!…俺は…クソ野郎だ…〉


と、自分を呪いながら、深い闇に完全に沈みこんだ…








読んで頂き有り難うございます。


「ちょっと応援してやるか!」と思って頂けた方、


ブックマークを宜しくお願い致します。


この下の辺りにある星印でポイントを入れて頂けたり、

いいね を押して頂ければ幸いです。


合わせて、感想や誤字報告もお待ちしております。


皆様の応援で〈頑張るぞ〉となれますので宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ