創薬修行と順調なポイ活
いいね に評価 誠に有り難うございます。
エレオノーラ師匠の厳しい薬師修行に耐え…
嘘です。
激甘師匠でした…
ポーション作りは、
〈煮出す、漬け込む、搾る〉など、
その植物によって方法が異なるが、〈薬効成分〉を抽出して、定着させるのが基本で、
薬草の種類と抽出方法の組み合わせを探るのは、各自の修行の為に、レシピはあえて伝授しないらしい。
そして、それより大事になるのは、
薬師の流派ごとに異なる〈ポーションの原液〉と〈軟膏の原液〉のレシピだ。
コレには明確な分量と手順があり、エレオノーラ師匠の修行もほぼ〈原液〉の作成が主だった。
ただ、作業を1つ終えるたびに、
「凄い!」、「上手!」、「もう覚えたのかい?!」などと、誉めてくれる師匠…
接待されている気分になる…
あとは、薬効成分と原液を混ぜて、〈魔力〉を流すとポーションが出来上がり、
軟膏も、原液に薬効成分を混ぜて、〈魔力〉を流して定着させた後に、粘りが出るまで煮詰める、
軟膏の薬効成分はポーションと違い、〈煮出す〉の一択だから、駆け出しの頃は〈軟膏制作〉で薬師の腕を磨くらしい。
あとは、火加減や流す魔力量は、自分で繰り返し練習して、
壁にぶつかった時のみ師匠を頼るらしい。
エレオノーラ師匠は、
「薬師にはすぐになれるが、
良い薬が作れるかは、一生かけて修行しなくちゃ駄目だからね!」
と教えてくれた。
2ヶ月でエレオノーラ師匠の〈薬師の基礎修行〉を終えた俺に、
「ビル坊は凄いね。
普通は一年…覚えの悪い弟子は二年はかかる〈基礎修行〉を2ヶ月で覚えてしまったよ。
ドノバンに作らせた薬師用の鍋セットが間に合って良かったよ。」
と、創薬セットをプレゼントしてくれた。
鍋類に〈薬研〉という石で出来た腹筋ローラーみたいなヤツで、磨り潰す道具や、原液を入れておく大きめの壺に、
お玉やポーション瓶や軟膏壺など細々とした機材がテーブルに並べられた。
エレオノーラ師匠は、
「一部私のお古が混ざってるから、壊れたら町で買いな、
まぁ、壊すくらい使っとくれよ。
私の可愛い最後の弟子…」
と言って、俺の頭を撫でてくれた。
「有り難うございます、エレオノーラ師匠!」
と笑顔で、御礼を伝えると、
少し涙を浮かべたエレオノーラ師匠は、
「明日からはこの道具を使って、自分で繰り返し練習するんだよ。
但し、火を使う時は〈チルちゃん〉の居る所でだよ。
傷軟膏や毒消し軟膏が作れたら、一度見せること!
以上だよ、ビル坊、よく頑張ったね。」
と小さな卒業式をしてもらい、
俺は、〈駆け出し薬師〉として自宅で実験をはじめる事になった。
創薬の修行と平行して、
アプルさんとパンプさんには、定期的に狩に連れて行って貰っている。
初めて連れて行って貰った〈狩り〉は、俺の罠が下手くそだったらしく、獲物は無かった。
〈歩き鳥〉と呼ばれている鳥すら取れなかった俺に、パンプさんは、
「一回で罠の作り方を覚えただけで上等だよ。
あとは繰り返し練習して、上手く〈隠せる〉様にしていけば良いから、何度でも挑戦しろ。」
と優しく教えてくれた。
アプルさんは、
「罠に掛からない日は俺たちでもある、
直接探して狩るって選択肢もあるが…
ビルは弓を使ってみるか?」
と提案してくれたが、
「僕、魔法が使えるから試しに魔法で狩ってみたいです。」
とお願いして、初日同様に罠を仕掛けながら森の奥へと進む、
アプルさんが、〈シッ〉っと口に人差し指を当てた後に、前方を指差すと、
猪の魔物、〈ダッシュボア〉が一匹で泥浴びを楽しんでいた。
「ビル、いけるか?」
と小声のアプルさんに、俺は頷く。
〈ウォーター〉の魔法で水を作り出して、〈念動魔法〉で上空へ持ち上げて、
十メートル程先に居る猪目掛けて水を移動させて、
〈チャプン〉っと猪の頭を包み込む、
急に胸一杯に水を吸い込んでしまい、パニックで暴れる猪の頭ごと念動魔法で押さえ込む、
初めてやってみたが、魔力は馬鹿みたいに使うが猪の首根っこを地面に押さえつける事も〈念動魔法〉で出来るようだ。
次第に力なくピクピクしだす〈ダッシュボア〉は三分もしないうちに〈ビクン〉と大きく痙攣して、静かになった。
「倒せました。」
と笑顔の俺とは反対に、アプルさんとパンプさんはドン引きしていた。
アプルさんが、
「ビルは可愛い顔して、えげつない魔法を使うんだな…」
と呟き、パンプさんは、
「さっきの魔法は、なんという魔法だい?」
と聞くので、
「水を作る〈ウォーター〉と、魔力で包んだ対象を動かす〈念動魔法〉の合わせ技の〈水責めコンボ〉です。」
と答えると、パンプさんは 暫く考えた後、自分の槍を俺に渡して、
「ビル、この槍を魔法で飛ばして、向こうの木に刺せるかい?」
というので、
俺は、
「やれると思うけど、やったことないから上手に出来ないかもだけど…
やってみる。」
といって、槍を魔力で包んみ木に向かい飛ばしてみる。
〈ヒュン!〉と空気を切り、〈ストン〉と木に刺さる槍だが、刃先が2センチほど刺さった程度だった。
俺は、
「飛ばせたけど、あんまり威力が無かったな…
もうちょっと練習したら、もっと〈ズドン〉と出来そうだけど…」
と残念がっていると、
アプルさんが、
「馬鹿言え!
生木にあれだけ刺さったら十分だ。
もっと〈ズドン〉って、獲物を挽き肉にするつもりか?」
と呆れていた。
それからは、二週間に一度のペースで、アプルさんとパンプさんの狩りに同行出来る事になって、
順調な〈ポイ活〉が出来ている。
小鳥魔物の1ポイントと比べて、
牙ネズミで2ポイント
猪や鹿は5ポイント程入る。
オスやメスでもポイントは変わるらしく、個体差も有るようなので、
手に入るポイント数はあまり気にしない事にした。
狩りに同行して、現在67ポイント貯まっている
狩りに役立つスキルにするか?
創薬に役立つスキルにするか…?
悩みながら、アイテムボックスから〈ポイント交換〉の本を出して、
本との会話を始める。
〈魔物の位置が解るスキル〉
と念じると、
頭の中に
〈野生の勘〉 20ポイント
漠然とした敵意や悪意を感じ取る
〈索敵〉 60ポイント
使用時、有効範囲内の魔物の位置がわかる
〈敵意感知〉 80ポイント
〈野生の勘〉と〈索敵〉の複合スキル
常に、有効範囲内の敵意や悪意を持つ者の位置がわかる。
索敵の機能も使用可能。
と現れた。
〈うーん、いっそのこと複合スキルが欲しいが、ポイントが足りない…〉
俺は、改めて、
〈ポーション作りに役立つスキル〉
と念じると、
〈火加減〉 5ポイント
煮炊きや鍛治仕事に便利なスキル、炎魔法とも相性が良い。
〈アイテム鑑定〉60ポイント
アイテムの名前と能力が解る、レベルが上がれば細かい情報も確認可能。
〈創薬の極意〉 300ポイント
出来る薬のクオリティーが上がる。
失敗の確率が低下する。
と、現れた。
〈なるほど、薬効成分を煮出す火加減と、出来た薬の品質確認の為だね。
…極意は今は無視かな…〉
俺は、自宅の食卓で本を前にして、
「う~ん、う~ん…」
と悩んでいると、母ちゃんに、
「ウンコはトイレでしなさい。」
と茶化された。
前世の最後の映像が脳裏を過る…
「今回は違うよ!!」
とツッコむと、母ちゃんが笑いながら、
「前回はそうだったの?」
と料理をしながら俺に構ってくれる。
なんだか不意に〈幸せ〉を感じた瞬間だった…
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