森で狩りと薬草で弟子入り
今日も果樹園に畑と薬草園のパトロールをして過ごしている。
芋虫にバッタ、それに鳥を〈溺死コンボ〉で沈めていく、
鳥魔物は1羽で1ポイント入るが、虫魔物…というか、バッタは二匹で1ポイントで、芋虫は3~4匹で1ポイントみたいだ。
ポイントは1日で数ポイント稼げるし、
今までと違い、公認されたパトロールで手に入れた獲物は、村の為に使ってもらえるので、アイテムボックスに隠す必要が無くなった。
鳥は〈プリシラさん〉が解体し料理してくれて、村の酒飲み組のアテに変わる。
バッタ等の虫の死骸も、〈アプルさん〉と〈パンプさん〉が引き取ってくれて、アイテムボックスを圧迫していた、キモい奴らが綺麗サッパリ無くなったので、嬉しい限りだ。
猟師のアプルさん達が、あの虫を何に使うのか気になったので聞いてみると、
「小型の魔物の罠にバッタは使えるし、
芋虫は釣りエサにすれば、デカイのが釣れるぜ。」
と教えてくれた。
ちなみに、弓矢を使うのがお兄ちゃんの〈アプルさん〉で、槍を持っていて、各種の罠が得意なのが弟の〈パンプさん〉だが…双子だけあって装備を持っていない時は見分けが難しい。
そして、普段は山や森で狩りをして、
休日は二人して釣りに出かける…まぁ、何とも仲の良い兄弟だ。
それと、猟師の二人が、罠用の餌の対価に、俺の〈ポイ活〉に協力してくれる事になり、
来週、数日がかりで、父ちゃんの代わりに森で罠の仕掛け方のレッスンも兼ねて、小型の魔物や、猪魔物や鹿魔物のような中型の魔物の狩りに連れて行ってくれる予定になった。
ガッポリとポイントを稼いで、スキルを手に入れたい、
…来週が楽しみだ。
ー 待ちに待った狩り当日 ー
父ちゃんと、村の近くの草むらで、〈牙ネズミ〉という、やたら攻撃的な小型犬サイズのネズミは狩った事があるが、
どんな魔物が、どんな所に居るかは全く知らないし、
何より、〈罠〉が学べるのが楽しみだ。
母ちゃんの作った〈お弁当〉をアイテムボックスにしまい、
アプルさんとパンプさんについて森に入る…
こちらの世界で初めての〈森〉だが、ベテラン猟師が2人も案内についてくれているので安心だ。
森の入り口で、
鶏の様なあまり飛べない鳥を狙った罠をまず教えて貰った。
バッタを餌にして、生えている木のしなりを利用した、〈くくり罠〉を〈パンプさん〉の指導のもとで設置する。
そして、〈アプルさん〉の指導で、獣道の探し方や、森での注意事項を教えてもらいながら進む、
アプルさんが、
「この森で、あまり出会わない方が良いのは、〈レッドベアー〉という熊魔物だ。
たとえ小熊でも見かけたら、よっぽどでない限り、その一帯から離れろ。
母熊に見つかったら面倒臭い事になる…
生えている木に爪痕があり、その傷痕が新しい程〈ヤバイ〉印だ。」
と教えてくれた。
しかし、熊の痕跡から離れる様に鹿や猪の魔物は移動するので、
熊の痕跡と獣道から獲物の移動経路が予測出来て、中型のくくり罠や落とし穴を設置する目安となるらしい。
ここでも〈パンプさん〉の指示のもと罠を設置し、初日の狩りは終了となるが、
手ぶらで帰るのもなんなので、
ウチの薬草園で見たことの無い植物を鑑定してみると、
幾つかの植物が、
〈食用可能〉に〈熱冷まし〉や〈体力回復〉などと使えそうな物だったので、アイテムボックスからスコップを取り出して根っこごと掘り起こして持って帰る事にした。
俺の畑で植えてみる予定だが…
薬草も〈豊穣〉スキルで強い品種などを作れるのだろうか?
…試す価値はありそうだが、
エレオノーラの婆さん…でなくて、
〈エレオノーラちゃんに〉相談してみよう。
なんならポーションの作り方も教えてもらえれば、自分用のポーションに困る事がなく、魔物狩りに打ち込めるかな…
などと考えながら家路につく。
今日は、罠を仕掛けるだけなので、お昼過ぎには村に戻り、畑に薬草を植える事が出来た。
まだ日暮まで時間が有るので、エレオノーラちゃんの工房に向かう…
といっても〈お隣〉なのですぐなのだ。
お隣の煙突から煙が昇っているので、エレオノーラちゃんが、ポーションをグツグツしているみたいだから、家にいるはず…
俺は、お隣まで移動して、
〈コン、コン、コン。〉と玄関ドアを軽くノックをすると、
「だれだい?今は手が離せないから、勝手に入っておいで!」
と声がしたので、
「エレオノーラちゃん、おじゃまします。」
と元気に挨拶をした俺に、
「あらぁー、ビル坊かい?!
私に会いに来てくれたのかい?
嬉しいねぇ、
もう少ししたら終わるから、ちょっと、テーブルの所で待っとくれよ。」
と言いながら作業を続けているエレオノーラちゃんの後ろ姿を椅子に腰掛けて、眺めながら良い子で待っていると、
「はい、完成!」
と作業を終えたエレオノーラちゃんが、俺の待つテーブルへとお菓子とお茶を持ってやって来てくれた。
俺は、椅子から立ち上がり、
「エレオノーラちゃん…いや師匠、
僕にポーション作りの手ほどきをお願い出来ないでしょうか?」
と頭を下げた。
一瞬驚いた〈エレオノーラ師匠〉だが、
すぐにニッコリ笑って、
「私の最後の弟子が〈ビル坊〉になるとはねぇ~、
いいよ、兄貴のアーガスが、〈ワシの弟子のビル坊〉と、
事あるごとに自慢してウンザリしていた所だから、〈私の可愛い弟子〉にして兄貴を黙らせてやろうか…
そうと、決まれば〈手ほどき〉なんてケチな事は言わないよ!
私の技術を全部、ビル坊に教えてやろう!!
ふっふっふ…面白くなってきたよ。」
と、悪い顔で笑うエレオノーラ師匠、
こんなに恨まれているところ見ると、アーガスじいちゃんは、かなりしつこく自慢していたらしいな…
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