人生最後の大戦に負けた。
また、書き始めました。
お付き合い宜しくお願いします。
とある田舎出身の俺は今、列車に揺られながら久しぶりの実家に向かっている…
都会から遠く離れた実家に帰るのに、朝からバスに地下鉄、電車に列車…
昔、都会に来てすぐに、電車を「汽車」と呼んで爆笑された事を思い出しながらローカルなディーゼル機関の列車に、
なぜ乗っているかというと、
出身の村の〈村祭り〉の為のである。
毎年恒例の秋祭りだが、今年は町内の班長が我が家に回ってきて、
今までは、なんやかんやと足りていた神輿の担ぎ手も、
都会へ引っ越したり、高齢化が進み、
1人減り、2人減り…
と成って、挙げ句果てに〈班長さんの息子は一時帰宅で担いで貰えないか?〉と相談されて、
渋々ではあるが、明日の祭りに間に合うようにと、現在、列車に揺られる羽目に成っている。
世間は10月…神様は軒並み出雲に旅行中らしいが、秋祭りにウチの神様は参加してくれて居るのだろうか?
人口のわりに大きな神社を抱える村の自慢は〈神輿が立派!〉らしいが、年寄りだらけの村にあんな立派な神輿は不釣り合いだ…
おかげ様でワザワザ有給を取り帰る事に成ったのだが…
〈神様、明日の神輿、
誠心誠意、心を込めて担ぎます!!
ですから俺を助けて下さい!〉
列車の中で油汗を流し、真っ青な顔で、出口側の椅子に座り、あと数分で着く筈の駅を心待ちにしている俺、
ー そう…お腹が…ピンチなのだ! ー
間の悪い事に、トイレの無い列車…
列車に乗って居る時間より、乗り換えの為に駅にいる時間が長い田舎の列車だから、〈駅でトイレ行っとけや。〉みたいな事だろうか?
…そんな事はどうでも良いよ!
急に、かつスピーディーにやってくるのが〈お腹の下り超特急〉だ…
待合室では全く大丈夫だったが、
そんな気配もなく土俵際に追い込まれてから気づくパターンだった。
そして、一番の問題は、俺の村の駅は駅舎の所にしかトイレが無い…
確率は、半々!
駅舎の線路に入れば改札の中にトイレが在るので助かる確率が高い…
しかし、反対のホームに降り立った場合、階段を登り、駅舎の在るホームに渡り、階段を降りる。
難易度が爆上がりなのだ…
〈神様お願いします。〉
普段しない神頼みをしながら外の山を眺めて気を散らす…
しかし、無情にも駅舎と反対側のホームに吸い込まれるように進路をとる列車。
〈終わった…〉
と、思った瞬間『波』が過ぎていった。
〈助かったかも?!〉
秋だというのに、汗だくのオッサンが涼しい顔で、誰も他に降りない様な田舎の駅に降り立つ。
荷物は大きなリュック1つの〈むさ苦しい汗だくの〉オッサンは、
〈神様有り難う。〉
と、神に感謝をしつつ登り階段を一段一段と上がっていく…
しかし、中間地点辺りを過ぎた辺りから、『第二波』がやってくる。
〈うそ…だろ…?〉
まだ、登り階段が半分と下り階段が丸々残っているんだぞ?!
行けるのか?…俺!?
一段一段、力を入れたり、少し抜いてみたりしながら、
〈落ち着け俺、
頑張れ俺の括約筋、今こそ活躍の時だ!、
よーしその調子だ、それ以上荒ぶるな…頼む…〉
と、動きはユックリだが、頭は極めて繊細な作業を高速で処理しながら何とか登りきり、腹と尻を押さえ、再び滝のような汗を流しながら、3歩進んでは立ち止まり、2歩半進んでは立ち止まりを繰り返し…渡り廊下を進む。
〈神様、一旦波を…止めて頂けないでしょうか?〉
もう、尻に力を入れすぎて、〈止めよう〉としているのか〈出そう〉としているのか解らないプチパニック状態で下り階段まで到着し、下り始めた瞬間、
目の前が真っ白になり
俺は、様々なモノを体内に留める事が出来ない状態になり、
真っ暗な空間に包まれた…
それは、とある秋の昼下がり、
俺、御手洗 次郎
四十二歳としての最後の記憶となろうとは…
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