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第六話

お、遅くなりましたぁ!


やっとデートです!


城下の街はすごく賑わっていた。

市場が立ち並び、売り子の声が沢山聞こえてくる。


「すご…い…」

「だろう?今日は特に祭りの日だから活気があるだろ。」

「ええ。とてもすごい!皆イキイキしていて、活気があって…ああ、アオ!コレはなんですか?すごくいいにおい…」

「っくっく。コレはたこ焼きといって、中にタコが隠されているんだ。」

「タコが!!っは!ついつい涎が…じゅるり…」

「ぶはっ!おい、アティ!じゅるりってなんだじゅるりって!」

「えー?だって、あまりにいい香りが…はあ!これ、これはなんですか!?」

「ん?ああ、これは綿菓子だな。わたあめという。あまくて美味いぞ」

「わたあめ?お菓子なんですか?へえティティが喜びそう…むむ!またいい香りが!」

「ぶっ!アティ、お前お腹すいているんだろ。」

「へえ?」

「さっきから、飯ばかりに目がいってるぞ」

「わああ!」


アオの指摘に顔を真っ赤にさせるアティ。

確かに、さっきから食べ物ばかりに意識をもってかれていた。

…は、恥ずかしすぎる…食いしん坊だと思われたかな…

ちらりと見ると、満面の笑みでこちらを見ていた。


…これは恥ずかしい!!なんなの?この笑みは!!


すると、くしゃくしゃと頭をなでられた。


「遠慮するな。気になったものは買って食べろ。俺も食べるから。たこ焼きなんて最高に美味いぞ。城では絶対に食べられないからレアだぞ。…なんだそんなに顔を赤くして。」

「いや…ちょっとはしゃぎ過ぎたかな…っと」

「っは!いいんだよ。お前が楽しければ。お腹が空くっていうのはいいことだ。

俺は、全然食べない奴より、美味しそうに沢山食べる奴の方が好きだぞ。」

「…はぁ…」

「いいから。ほら。おっさん、たこ焼き一つ!」

「あいよう!って、アオじゃねえか!久しぶりだな!なんだ、えらいベッピンさんつれてんなぁ」

「だろ?おまけしろよ?…ん?どうした?アティ。」

「いや…だって、べっぴんって…」

「なに照れてんだ!本当の事だろ」


…コノヒト、なんなの?天然たらしなの?


なんの恥ずかしげもなく、自分のことを可愛いやらべっぴんなどと言うこの青の王は、たらしだとアティは確信した。

自分の事は棚にあげ、そう思うアティだった。


たこ焼きにわたがし、お好み焼きにクレープ。

両手に沢山抱え歩きながら食べるアオとアティ。

アティはハシタナイと思いながらも、食べ歩きが楽しくてしょうがなかった。

今まで食べたことのない食事。

何故か、とても美味しく感じる。


「んー!んまっ!」

「っは!ホント、お前美味しそうに食べるな。」

「だって、美味しいんだもの」

「そうか、よかったな。」

そう言って、また頭をくしゃくしゃなでるアオ。

「もう!なんでくしゃくしゃにするんですか!」

「ん?だってアティが可愛いから。」

「可愛いって言わないで下さい!」

「ん?なんで?」

「な、なんでって…一応…ほら…その…」

「男だろうが女だろうが、アティっていう人物そのものが可愛いんだからしょうがないだろ。」

「また!そういう!」

「ん?」

「たらしめ!」

「ぶはっ!アティにだけは言われたくないなぁ」

「なんでですか!もうっ」

「なんでって、この天然め」

「はい?」

「ほらわかってない。」

「むー。」

「ははは!ほらほら、アティこっちこいよ」

「ふんだ。」

「っは!拗ねるな拗ねるな。ほら。」


もう、何度目かわからないが、また頭をなでるアオ。


「もー!だから、やめてって!」

「すまんすまん。つい。」

「もー!」


完全に遊ばれている。

アティはむくれるが、はたから見ればいちゃついているようにしか見えない。

アオはわかってやっているが、アティは自分達がどんな風に見られているか全然理解していないのだった。

しかも、アティは気付いていない。素が出ているということに。


「お、アティ。ちょっと来い」

「ん?なんですか?」


呼ばれて、近づくとふわっと抱かれるようにアオの前に立たされた。

後ろから抱きつかれているような体勢だ。


…ち、近い近い!!


「ほら。」

「はい?」

「綺麗だろ?」


そうして見せられたのは、髪飾りのようなものだった。

色とりどりの石がついた飾り。


「…可愛い…」

「だろ。ほら、コレなんてアティの髪に合うと思うぞ。」


アオが手にとったのは、金のふちで蝶の形をつくってあり、その翅の部分に青い石が輝いているもの。

まるで、アオのような色。


「かんざしっていうんだ。髪の毛につける飾りだが、最近は男性も服やベルトにつけてアクセサリーにする人もいるらしい。ほら、貸してみろ。」


すっと、アティの髪の毛にかんざしを挿すアオ。


…だから…近いって…


「うん。似合う。」

「そう、ですか?」

「ああ。すまん女将、コレをこのままつけていく。貰っていくぞ」

「あいよ。まいどあり!」

「っちょ!アオ!いいですよ!」

「いいから。土産だ。土産。」

「…まったく…あ、ありがとうございます。」

「ん。」


恥ずかしくて、ふいっと顔を背けるとティティとエマに似合いそうなかんざしが目に入った。

真珠のように輝く白い飾りにリボンのついたかんざし。

可愛い妹がつけたら、とっても似合うだろうな…

あ、こっちにもある…


ふらふらっとかんざしの並ぶお店に入っていくアティ。

アオはアオと同じ青色の飾りがついたアティがあまりに可愛くて、顔をそむけ照れていてアティがいつの間にか居なくなっていることに気がつかなかった。


まさか、この短時間に見失うとは思わなかったのだ。


てっきり隣にいると思って、横をみるとそこにはアティの姿はなかった。


「…っ!アティ??」




アオの叫びはアティには届かなかった…。

誤字脱語、ティティの名前間違えなどの指摘ありがとうございました。



ティティの名前はティティリアーノではなく、ティアナティーノです。



申し訳ありませんでしたぁm(__)m


今後もよろしくお願いいたします!

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