第二話
あれー?シスコンとか…変態ばっかり??
あれぇ?
「ティティ。もう大丈夫?」
「ええ、お兄様。」
「う、うん。じゃあ、ちょっと離れようか」
「嫌です!お兄様、わたくしの事嫌いですか?」
「いや、嫌いじゃないけど…おーい。ダーウィン。どうにかしてよ」
「無理です」
部屋に運び、荷解きをし終わったエイリス一行は、なんとも微妙なことになっていた。
ティティがアティの手を放さないのだ。
なんとかして離れようとしても、目をうるうるさせて来られると強くいえないアティ。
しかし、ダーウィン。即答していいのか。
仮にも恋人でしょうが。
「ちょっと、ウィン。それはないんじゃないの?」
「小さい頃からの事だろ。俺とお前が一緒にいると必ず姫はお前に抱きついていた。その大好きなお前がそんな格好してんだ。そりゃ離れたくないだろう」
「…。」
そう、そうなのだ。
何故か昔からこの妹はアティにべったりなのだ。
妹を溺愛しているフォレス兄には辛らつなのだが…
そしてエマもダーウィンもこの姉妹の幼馴染なのだ。
だからって、だからって、この状態放置はないでしょう??
そんなに似合っている・・・というか兄上に似ているの?
・・・嫌だなあ・・・
だんだんと頭が痛くなってくるこの状態を打破してくれたのは意外な人物だった。
コンコン。
重い沈黙の中、ドアのノックの音が響いた。
アティはほっとした。
誰だか知らないけど、助かった!!
が、次の瞬間固まることになったのだった。
「お疲れのところ申し訳ない。グランディ皇国新王のシャイン陛下がエイリスの皇太子殿下と姫君にお会いしたいと申しておりますが、よろしいでしょうか」
い、いきなり本人!?
若干パニックになるが、溺愛している妹に引っ付いている兄王子っていう図はおかしくないから、このままでもいいか。と計算し、ちらりとダーウィンとエマをみる。
二人とも頷き、了解と目で答える。
さっとエマが動いた。
「・・・どうぞ。」
アティがそういうと、エマがそっとドアを開ける。
そして初めて対面する青の王と赤の宰相。
アティはごくりと唾を飲み込んだ。
「・・・。失礼する。到着早々申し訳ない。」
低く響く声が、青い青年から発せられた。
瞬間、アティはぞくりとする。
・・・なんだこの声…。
「いえ、足を運んでいただき、光栄でございます。陛下。私はエイリス国のフォルスと申します。こちらが妹のティアナティーノです。ティティ、ご挨拶を」
「・・・ハジメマシテ。お招きありがとうございます。陛下。エイリス国のティアナティーノと申します」
しぶしぶといった感じで、ティティは挨拶を交わす。
・・・こりゃ、やっぱりダメか。
ティティは極度の人見知りだ。
兄や父が甘えて甘やかして可愛がった結果、極度の人見知りになったのだ。
だからこそ、恋仲のダーウィンはすごいとアティは思う。
よくぞ頑張ったダーウィン!と言うことだ。
しかし、青の王はダメそうだ。
ティティの顔か固い。
ふうっと溜息をついて、青の王に向き直った。
そしてにっこりと笑った。
その時、青の王が息を呑んだのだが、鈍いアティは気付かなかった。
「・・・グランディ皇国へようこそいらっしゃった。シャイン・ブルーノツィ・グランディだ。」
さっと笑顔になった新王が、握手をしようと手を伸ばしてきた。
しかし、ティティはアティの後ろから出ようとしない。
しかたない、と、アティが握手をしようとしたらティティがぐるりと前に回りこんでアティと新王の間を阻むように抱きついてきた。
・・・。おーい。ティティ?
しーーーーん。と気まずい雰囲気が辺りを包む。
そんな中、空気を読まないティティは頭をぐりぐりと押し付けてくる。
・・・。この状態、どうしたらいいの???
アティは引きつる頬をなんとか上げて新王に笑顔を向けた。
「・・・。こほん。失礼。妹は極度の人見知りでして。心を許した人間にしか懐かないのですよ。」
「・・・噂どおり、仲のよい兄妹のようだ。フォルス殿下もお体が弱いと聞いたが、旅の最中体調を崩したりはしなかったか」
「はい。まあ、なんとか・・・」
「そうか。…確かに、顔色は少し悪いが元気そうだ」
「はあ」
「ところで、フォルス殿下は遠乗りは好きか」
「は?はぁ。まぁ」
「そうか。わかった。ではな、フォルス殿下にティアナティーノ姫。ゆっくりしていってくれ」
そう言い残して、颯爽と出て行った。
・・・いったいなんだったんだ。
アティは知らない。
この時シャインがアティをロックオンし、それをティティが見破り近寄らせないようにしていたなどとは・・・。
もちろん、部屋を出たシャインが「見つけた」とにやりと笑ったことなど、アティには知る由もなかった。
はい!すでにストックがなくなりました(笑)
なるべく早く更新出来るように頑張ります!!




