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忘備録  作者: 真澄
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花火

 今年は花火を見た回数が多かったのか少なかったのか。

 昨年の10月、台風災害が近隣を襲った。その影響で10月の花火大会は中止。11月のえびす講煙火大会も、協賛金が集まらないだったか理由は忘れてしまったけれど中止。来年はきっとみられると思っていた。ところが3月から緊急事態宣言を受け、早々に8月の市民祭の中止が発表され、来年の善光寺の御開帳も再来年へと延期が発表された。例年お盆の時期に開催されていた、各地の花火大会も中止。密集を避けるということで、川中島古戦場花火大会も、えびす講煙火大会も二年続けての中止となった。打ち上げられれば、見れない花火ほどうっとうしものはないと思いつつ、花火大会が開催されないという情勢だけで世の中に暗い影が漂う。

 例年行われる花火大会が中止の中で、人が集まるのを避けるためにサプライズの短時間の花火の打ち上げがいくつか行われた。6月には医療従事者への感謝と感染で亡くなった方々への追悼の意味を込めて、全国一斉の打ち上げ花火。その反応の良さに気をよくしたのか、テレビ局が夏の特番で全国リレー打ち上げ花火を行った。この企画は、花火を見たいのにアイドル歌手を映すなとかいう声もあったとかなかったとか。サプライズの短時間の打ち上げ花火。見れる場所を探すだけで終わってしまいそうで、見た気がしない。


 ある日新聞を眺めていた亭主殿、

「11月3日に千曲川沿いで花火があがるって」だそう。昨年の台風被害からの復興の花火大会だそう。家の北側の窓からは、いつものえびす講煙火大会の打ち上げ場所の奥にもう一つの花火。

 翌日信濃毎日新聞の一面には、千曲市の高い台からとられた花火の写真が掲載されていた。川中島平のいたるところで花火が見れる写真は幻想的。新聞の記事によると、佐久から飯山までの30か所で打ち上げられたとのこと。私が見たのは、えびす講煙火大会の代替えとして長野商工会議所が参加したものと、豊野地区で上がったものだったのだろうか。

 今年は多くの人が楽しみにしていたものができなかった年、来年こそはみんなが集える年になってほしいと、淡々と上がる花火を見ながら思った。

 そして昨日、また花火があがった。えびす講の花火大会は昔は20日に行われていた。それが平日に行うと渋滞を引き起こすということから、23日の祝日になった。はて、今日は何で花火があがっているのか。なんてことを考えながら、ゲームに夢中な子供たちを放って一人二階の窓に向かい。あきらめていたえびす講、この時期に花火が見れるだけでうれしいなんて、どうかしているかもしれない。

 長野市の消防課サイトを見たら、三連休は毎日どこかで花火があがるらしい。大きな花火大会が中止になった今年、地域の小さな打ち上げ花火で煙火氏さん方の収入につながればいいなぁ、とそんなことも思った。

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