ある微笑 6
ミルフィーは拗ねていた。特別講義が失敗に終わったことが、だいぶ堪えたようだ。部屋の隅で丸くなっている。かわいそうだけど、わからないものはわからない。
僕はベッドで横になり考えた。過去の人々は異性とどのような恋愛を行っていたのだろうか。色々話をして、仲良くなって、一緒にご飯を食べて、プレイをする。そんな友達がたくさんいて、毎日楽しく生きる。それが恋愛なんだろうか。
僕は思案した。でも、やはり答えはでず、いつのまにか寝てしまった。
明くる日、ミルフィーは元気になっていた。朝から燃料ドリンクを勢いよく飲んでいる。
『おはよう、ユウ』
ミルフィーが元気よく尻尾を振って言った。
「おはよう」
『昨日はめそめそしてごめんよ。もう気持ちを切り替えたから』
ならいいけど……。
「それは良かった」
『今日は午前の講義はお休みだけど、何をするんだい』
「フラニーに会いに行こうと思ってる」
『やめときなよ、まったく』
口癖が復活した。
「だって、謝らないと」
『相手は会いたくないと思っているかもしれないよ』
確かに。
「でも、もしかしたら許してくれるかもしれないだろう」
『許してくれないかもしれないだろう、まったく』
ああ言えばこう言う
『君の第一印象は最悪だよ。一度、地の底に落ちたんだ。そこから這いあがるのは無理だよ。まったく』
「それでも謝りに行く」
『頑固者! まったくもう』
ミルフィーはそっぽを向いた。また拗ねることだろう。面倒くさいなぁ。まったく。
僕はミルフィーを無視して、足早にフードコートへ向かった。たぶん、朝食を食べにフラニーが来るはずだ。僕は歩きながら、どう謝ろうか考えた。でも、結局は素直に頭を下げる以外ないという結論に達した。
フードコートにフラニーがいた。昨日と同じ服装をして、同じテーブルに座っている。そして、『悲しみよこんにちは』の文庫を開き、黙読している。僕は一瞬、立ち止まった。ミルフィーが言うように、彼女は僕に会いたくないのかもしれない。昨日の今日だから、相手にされないのかもしれない。でも、誤解されたままパラデスで生活するのは嫌だ。
僕はフラニーの前に立った。一瞬、僕を見るが、興味なさげに文庫へ目線を落とした。
「昨日はごめん。変なことを言って」
僕は頭を下げる。
無反応。
「昨日、いろいろ勉強したよ。フロンティアの生活や君たちの考え方が、僕らとまったく違うことを」
フラニーは文庫を閉じる。
「それで?」
「だから、ちゃんと謝りたいんだ」
「あなた、学んだんでしょう。私の考え方とあなたの考え方がどう違うか理解した上で、あなたの発言のどこが気持ち悪かったか、ちゃんと説明してから謝って」
「それは……」
僕はしどろもどろになった。
「説明できないなら、もう話しかけてこないで」
フラニーは立ち上がった。僕は咄嗟に彼女の腕をつかんだ。
「離してよ! 気持ち悪い」
フラニーは僕の手を振り払った。




