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ある微笑 4

 フードコートにミカ姉さん、ジェイク、ドロレスの三人が来た。そして、ジェイクの肩にミルフィーが乗っている。ああ。腫れあがった頬を見られて、みんなに嫌味を言われちゃうな。



「頬っぺたどうしたの。赤くなってるじゃあない」



 勘の良いミカ姉さんが見逃すはずもなく、僕の腫れた頬を指摘した。



「ひっぱたかれた」



「誰に」



「フロンティアの娘に」



 ミカ姉さんは格好の笑いのネタを得たとばかりに不敵な笑みを浮かべた。



「面白そうじゃあない。話しなさいよ」



 僕のテーブルに四人が密集して座った。そして、右隣に座ったジェイクが僕の肩に手を回し言葉を発した。



「ユウ、なにをした」



 尋問。



「普通に会話をしていただけだよ」



「普通に会話をしていて、非力な女の子に頬っぺた叩かれるかよ。本当はなにをしたんだ。正直に言いなさい」



 冤罪。



「だから、普通に会話をしていただけだよ」



「その会話を詳しく説明しなさい。あなたが気づかないうちに変なことを言ったのかもしれないわ」



 右隣に座ったミカ姉さんが鼻息を荒くして、僕を急かした。他人事だと思って。



「最初、彼女が持っている本の話になって、次に自己紹介をして」



「悪い感じじゃあないわね」



 ミカ姉さんが合いの手のように言葉を挟んだ。



「あと、プレイをしよう、と言った」



『そこね』



 ドロレスが重い口を開いた。



「え?」



 と僕とジェイクとミカ姉さんは口をそろえて言った。



『ユウはアホ。バカチンだね』



 ミルフィーが僕の肩に飛び乗って、頭を叩いた。



『彼女はフロンティアで暮らしていたんだろ。パラデスの生活とまったく真逆だ。それなのに君たちと同じ価値観で物事を考えたら偉いことになる。おそらく21世紀初頭の生活を送っていたに違いない。アンドロイドはそこまで普及していなくて、人間は働いていて、男と女は結婚して、子作りをして、家庭を築いて、死んでいく。そんな価値観を持つ彼女にプレイしようなんて言ったら、あなたと子作りをしたい、と言っているようものだろう』



「子作りって?」



 僕はその時、本当に意味が分からなかった。



「ごめんなさい。私も意味がよくわからないわ」



 ミカ姉さんが恐る恐る手を挙げた。



『人間はみんなバカチンだ! まったく!』



 ミルフィーは顔を真っ赤にして怒っている。



『人間に生まれなくて良かったわ』



 とドロレスが呟いた。





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