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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第3話「ホロウ・ゴースト」
50/63

#001 社会問題

2特区『スクエアガーデン』神田、靖国住宅地。某所。

3月20日金曜日、PM8時24分。


ガチャガチャ、と誰かが玄関の扉に鍵を差し込み左へ回した。

右へドアノブを回して家へ入っていく。

「―――ただいま」


女は誰かに帰ったことを

知らせるように響かせるが、反応がない。普段ならここで、

お帰りなさい、と呼び声があるのだが

もう寝てしまったのかと思い、買い物袋を提げて台所に向かう。

パタパタ、と足早に廊下を駆けりリビングルームに入ると同時に

明るいLEDの蛍光灯に光が灯る。

女は急いで買い物袋から食材や調味料などを冷蔵庫と保管庫に入れた後、

名前を呼びながら2階へ。

「―――ダイスケ、お母さん帰りましたよ」


2階へ上る階段まで行ってもう一度、

息子の名前を呼ぶが矢張り返事がない。

気になった母親は、階段を上りながら何度も呼び続け・・・・・・、

コンコン、と息子の部屋のドアをノックする。

矢張り返事がないことに不信感を抱き息子の名前を呼びながら

ドアノブを回して入った母親が見たのは、

決して受け入れることのない衝撃的(しょうげきてき)な現実だった。

 

呉家の家族構成は、

―――父親である大輝。母親である晶子。ひとり息子の大輔の3人。

都会ではよくあるパターンだが、

3年前この家族の大黒柱の浮気によって離婚が成立。

母親の晶子は、

主婦一筋からスーパーマーケットのパートや新聞配達など掛け持ちしながら

身一つでひとり息子を育ててきた。

仕事をいくら掛け持ちしても

息子だけが心の支えであると同時に宝物だった。

その宝物は確かに母親の目の前にいる。

しかし。

その姿は変わり果てていた。


息子が唯一、

おねだりして買って上げた部屋でも使える電動折り畳み式鉄棒。

それを最大まで伸ばし頑丈な紐で輪を作り自ら首を通していた、

―――自殺。


いままで積み重ねてきた思い出が走馬灯のように蘇る。

息子を初めて抱いた赤ん坊の時から、

最近では・・・・・・、

―――何処となく避けられていた。

親離れの時期が来たのだろうと思っていた。

それが、

「ああああああああああああああああああああああああああああ」

叫ぶ他なかった。

息子の大輔を抱いて・・・。



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

1週間後の3月27日。

古賀は事務所に設置している一台のテレビの電源を入れる。


『―――次のニュースです。

『先週、2特区『スクエアガーデン』神田で自殺した男子生徒が通っていた

『学校の生徒が次々と何者かに襲われる事件に関しての続報です。

『幸い、―――相次いで3人の学生が襲われてはいるものの

『死者は出ていませんでしたが

『昨日未明、

『同じ高校の女子生徒が校内の池で溺死している遺体が発見されました。

『警視庁は連続している襲撃事件と関連しているか・・・・・・、


古賀は例え探偵でなくとも分かっていただろう。

少なくとも、メディア関係者や雑誌の記者など頭の回る連中は

勘づいていることだろう。

報道はされないものの、

―――恐らく『いじめ』から発展した事件だと。


 「投稿の気持ち」

 今回の題材は『いじめ』です。

 第1話と第2話から言えば、

 多少掛け離れていますがよろしくお願いします。

 この小説の中だけでなく社会問題となっているこの題材、

 良ければ次回も読んで戴ければ幸いです。

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