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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
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#024 残酷な真実

依頼人の護衛は当たり前のこと、

―――これはルールではなく常識だ。

常識の話をするとキリがない為、

カットするがこのことは必ず守らなければならない。


探偵業を営む上で、

依頼人はスーパーマーケットやコンビニ店でいうところの『お客様』だ。

商売にとって一番大事なのは営業や戦略ではなく『お客様』個人に当たる。

確かに今日、見てきた『ビショップ街』のマーケティング戦略も

商売を遣っていく上では必要不可欠だろうし、

炎天下の中を歩き回って仕事を探す営業もそのひとつだが、

重要となるのは、営業や戦略といった武器ではなく

『お客様』というすべての軸、基盤、源を守ることによって生まれる

―――信頼関係が次の仕事(ビジネス)を呼んでくれる。


わたし自身、信頼関係のネットワークを構築することによって、

現在のこの状況になったと言える。


裏社会からの依頼になるが、高額な報酬を確保してくれる、

―――闇ブローカーである漆原 玄武を始めに。

裏、表問わず仕事の仲介をしてくれる、

―――情報屋である梟谷 静。

その情報屋の孫でありわたしの高校時代の友人、

―――解析屋とハッカー集団『天使』メンバーの一人でもあるトビ。

低俗区『スラム街』を根城にして必要な人間を回してくれる、

―――ストリートギャング『血戦軍』トップの獅子島 虎之助。

同じく『スラム街』に美術館を持ちながら、凄腕の医術を持つ、

―――闇医者またはマッドスクラッパーの異名を持つ竜泉寺 匠。


情報屋に関しては、漆原の紹介があってこそだが他の人間は

わたしがいままで解決してきた様々な事件で

知り合い、打ち解け、時には喧嘩して信頼を深めた者ばかりだ。


「―――――、といった感じだ」

わたしは神崎に省略し部分もあるが出来るだけまとめて、

これからの仕事に必要なことを言った。

しかしながら、

神崎はなぜここでそれを言ったのか分からない、そういった顔をしていた。

だからこそ、わたしは自らの口で真実を話さなければならない。


「つまりな。

「オマエが接客した依頼人、

「―――河島順子は死んだんだ。


ここからはわたしが決めたルールだ。

依頼人が自殺または殺害された場合、

ひとりの探偵としてすべてを知らなければならない。

刑事ドラマでいうところの『骨まで拾う』っていう奴だ。


依頼人が死亡したことを訊いたのは、

あの西のディーラーを名乗る高峯の長話からだ。


高峯が言うには、

『事故ではなく、殺人。

『殺害したのは、元金融庁の検査局に勤めていた大嶽和馬。

『殺害理由は、不正な情報源をスマートフォンのSDカードに記録され

『その情報(ネタ)を告発する、と脅迫してきたものからの

『逆上からの怒りで我を忘れ

『気付いた時には彼女を絞め殺していたとのことだった。

『そこから大嶽は事情を友人でもあった

『西のディーラーである高峯本人に協力を要請、

『その要請を受けた高峯は掃除屋に依頼し、解体した遺体を冷蔵庫に詰めて

『焼却処分場へ搬送。

『肉や脂肪は燃え尽き、骨は粉砕機に掛けられ処分されたらしい。


わたしは高峯が話したことをそのまま伝えず、

オブラートに包んで神崎に伝えた。

神崎の反応は、

―――絶句だった。


無理もない。

初めての依頼人が殺害されているなんて、夢にも思わなかっただろう。

だから。

だからこそ、わたしはこの現実を受け止めて欲しいのだ。

精神面(メンタル)の弱い人間はいらないというのもあるが、彼女には

これから自分が成すべき行動・言動に

責任を持って貰いたいと思ったからだ。


少なくとも今回の一件、わたしにも責任の一端がある。

神崎を事務所に一人で留守を頼んだことによって、

あの時点から既にわたしは西のディーラーの罠に嵌ってしまったのだから。


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