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伝説の木の棒 後編  作者: 木の棒
後日談
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第2話 真意を問う

 俺は焦った。

 なぜアーシュが知っているのかと!


 どうやらアーシュは、天界を攻める前にニニと仲良くなっていろいろお喋りしたらしい。

 そこで、俺がニニにしていた……コスプレについて知ってしまった。


 ただアーシュは“コスプレ”なんて知識は持っていない。

 つまり俺に聞いてきたのは、あの衣装はいったいどういうものなの?ということだ。


 水の間での出来事は、一応訓練だと思ってくれていた。

 ただ、そこでも訓練するための衣装が問題となっていた。


 ニニが俺を抱いて寝たり、洗ったことがあったり、一緒に聖樹草茶を作ったりとかのあたりも知っていて嫉妬していたが、ニニはラインハルトの妻で、アーシュにとってはライバルではないため、そこらへんは不問とされた。


 ニニに洗われたといっても、マリアとは全然状況が違うからな。

 ニニの裸を見てしまったぐらいだし。


 さらに……アーシュは大ちゃんに“神託”のことを聞いたことがあるのだ。

 これに関しては結婚式のためにお城に入った時に、大ちゃんがこっそり俺に教えてくれたので事前に俺は把握していた。


 アーシュはどうやら嫉妬していたそうだ。

 11年前に俺と意思疎通が出来た女王ティアという存在に。


 大ちゃんはアーシュに“神託”とは、聖樹の意思と会話出来たわけではなく、聖樹の意思が伝えたいことをイメージ出来ただけですと、上手くかわしたそうだ。


 そもそもだ。

 新しい世界が創られ、人となった俺と一緒に暮らせてアーシュは嬉しさのあまりこの件をすっかり忘れていたらしい。



 俺は焦っていた。

 ニニの件に関しては、なんとでも言える。

 問題は……マリアのことまで知っているのかどうか。


 とりあえず質問されたことに関しては、ニニに衣装を着させる時に大ちゃんが言った言葉そのままで通した。


 つまり、失われた神聖法衣ということにしたのだ。


 俺と大ちゃんが転生者であり、異なる世界の知識を持っていることをアーシュは知らない。

 アマテラスがばらさない限り……いや、例え異なる世界から来たことがばらされても、さすがのアマテラスでも、前世の世界でその衣装がどんな意味を持っていたのかまでは分からないはずだ。



 大丈夫だ、落ち着け!

 乗り切れるはずだ!!



 そもそもだ。

 俺という存在が何なのか。


 人となってアーシュと会話出来るようになってから、一番最初にアーシュが聞いてきたことでもある。


 俺は前世の世界のことを話そうか迷ったが、何となく「自分でも分からない」と答えた。

 つまり気が付いたら木の棒に宿っていた。

 いろんな知識を始めからなぜか持っていた。

 もしかしたら、前世の知識を引き継いでいるのかもねと。

 でも前世の記憶なんてないし、どうして自分が木の棒に宿っていたのか、まったく分からないよと。


 それでも、木の棒として出会った人達のために出来ることを頑張ったし、アーシュと出会ってアーシュのために頑張ったんだと伝えたら、アーシュは嬉しそうに涙を流してくれた。


 木の棒に宿っていた神聖なる意思なんて言葉で表現される俺だ。

 神が創った存在と思っている人もいるらしい。


 ま~なんだっていい。

 こうして、アーシュと一緒に暮らせたんだから。



 さて、そんなわけで何故か知識として持っていた“失われた神聖法衣”を女王ティアにイメージだけ伝えたら、女王ティアがその衣装を作ったんだよと誤魔化した。


 後で大ちゃんと口裏合わせをしておかねば!!!


 アーシュは納得してくれた。

 納得してくれたのだが……なんと自分もその失われた神聖法衣が欲しい!と言い出した。



 ……うん、すごく良い展開ではないだろうか。


 俺はさっそく女王ティアにお願いしてくるよ!と言って部屋を出た。



 俺は光の速さで大ちゃんに事情を説明した。

 大ちゃんは全て了承してくれた。

 もちろん、今後も“良い関係”でいてくれることが条件だ。


 新しい世界は当初の混乱を脱したとはいえ、平和な世界になったわけではない。


 いや、むしろ“戦うこと”は以前より増えているのだ。

 天界の大地が中央にあるため、強力な悪魔がやってくることはほとんどない。

 そもそも、悪魔の王といわれるベルゼブブ級の悪魔達は滅多に縄張りを出ないそうだ。


 人間にあれほど興味を示した悪魔はベルゼブブだけらしい。


 とはいえ、悪魔との戦いもあるし、天界に住んでいた者達とのいざこざもある。


 大ちゃんは、一定時間とはいえ人間の姿を得た俺が自分達の敵になる可能性は0ではないと思っているのだろう。


 それでも、俺が人間の味方だと信じてくれている。

 11年前の友情もあるし、結婚したのは人間を導いてくれたアマテラスの娘なのだから。


 もちろん、俺も大ちゃんとの良い関係を崩すつもりはまったくない。


 なぜなら……大ちゃんは決して口に出して俺を脅迫するようなことは言わないが……大ちゃんはマリアのことを知っているのだから。


 そして、そこに隠された真実をアーシュに伝えられたら……アーシュに嫌われてしまうかもしれない!!!



 でも、なんか変なんだよね。

 大ちゃんは、マリアのことを俺に話したがらない。

 そして、マリアを俺に接触させないようにしている。


 マリアは超魔法というものすごい魔法が使える魔術師になったらしいのだが。

 暇な俺とは違って、悪魔やらなんやらの対処で忙しいマリアの時間を取るのも悪いので、特に俺も何も言わないけどね。


 ま~俺としても、11年前にあんなことをしてもらった木の棒の意思として、どんな顔してマリアと会えばいいのか、微妙といえば微妙か!



 そんなわけで、帰るまでに“失われた神聖法衣”をアーシュの身体に合うように作ってもらい、たくさんのコスプレ衣装をゲットした!



 ちなみに、泉の水を“世界樹の木で作った筒”に入れておけば、その水を浴びれば俺は人の姿になれる。

 世界樹の木以外の入れ物に入れると、なぜか俺を人の姿に変える力は失われてしまうのだ。



 帰るまでにアーシュの口からマリアの名前は出なかった。

 たぶん知らないのだろう。

 大ちゃんも、もちろんアーシュにマリアのことを話したことはないと言っていた。


 このまま一生分からないままがいいな。


 とりあえず、家に帰ったら……アーシュにどの神聖法衣を着てもらおうかな♡


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