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伝説の木の棒 後編  作者: 木の棒
第5章 世界樹
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第49話 伝説の木の棒

 アーシュが美しい雷となって、俺の目の前いる。


 本当に綺麗だ。

 アーシュと初めてあった時のことを思いだす。


 俺のことを不満顔で見ていたっけ。

 最初の頃は俺をクルクルしたり、指先に乗せてバランス取ったりしてたな~。

 生意気な男装麗人め!なんて俺も思っていたっけ。


 初めての狩りで興奮して、その日の夜に調子に乗ってオークの罠にかかって。

 本当にアーシュがオークに捕まらなくてよかった。

 君の笑顔が守れて本当によかった。


 それからどんどん、お互いを知って、信頼し合っていった。

 俺を磨いてくれて、お風呂にも一緒に入って。

 温泉の時は、お湯の中で俺のことを弄って、その日の夜にあんなことしようとして。


 俺は君を傷つけた。

 自分を許せなかった。

 でも君は俺を求めてくれた。


 夢の中で逢って、夢の中で抱き合って、夢の中で愛し合った。

 君を好きになって、君が愛おしくなって

 俺の世界は君で満たされていった。



 そんな君の世界を守れて、俺は嬉しいよ。




 アーシュを見つめていた神が、俺を見る。


 ああ、分かるぜ。


 新しい世界だ。


 終わりと共に始まりを。







 神が私を見つめている。

 私は神が持つ、木の棒を見つめる。


 ルシラ……そこにいるの?

 もし、世界が終わるなら……貴方と一緒に終わりたい。

 貴方の心に触れながら、終わりを迎えたいよ。


 私は貴方を傷つけてばかりだった。

 頼ってばかりだった。


 でも貴方はいつでも私に応えてくれた。

 こんな生意気な小娘を貴方は支えてくれた。


 貴方がくれた私の力。

 雷神刀じゃない。

 電光石火じゃない。


 誰かを想うこと。

 誰かを好きになること。

 誰かを愛すること。


 私の世界は貴方で満ちているの。

 ルシラを想って、ルシラが大好きで、ルシラが愛おしくて。


 貴方と一緒に終わりを……。







 アーシュが神の持つ木の棒に手を伸ばそうとしたその時。


 真っ白な木の棒は、まばゆい光を放ちながら宙に浮いていく。


 それに呼応して、アーシュの持つ黒い木の棒も光を放ち宙に浮き、真っ白な木の棒に向かっていく。


 ニニの持つ、茶色の木の棒も光を放つ。

 そして、宙に浮くと真っ白な木の棒に向かっていく。


 3つの木の棒が重なる。


 神も宙に浮いていく。

 そして、3つの木の棒に神が触れる。



 新たな世界の創造



 3つの木の棒は根となり幹となり枝となる。

 そして、巨大な樹木へと瞬く間に成長していく。


 樹木はアーシュ達を枝と葉っぱで覆い包み込む。

 神殿を突き破り、大地を貫き、空を覆っていく。


 何が起こっているのか理解できない人々を、妖精を、悪魔を、全て枝と葉っぱで包み込んでいく。


 新たな樹木は、崩壊する聖樹王も飲み込む。

 世界を支えていた聖樹王に代わり、新たな樹木は世界を支える。


 落ちていく天界の大地。

 樹木はその大地を受け止める。


 揺れ落ちそうな地上界の大地。

 樹木はその大地を支えた。


 震える地下世界の大地。

 樹木はその大地を持ち上げた。


 世界は1つの大地になった。




 ウオオオオォォォォォン!!!!!!!!!




 バハムートの叫び声が聞こえる。

 それは終わりを悲しんでいるのか。

 新たな始まりを喜んでいるのか。


 新たな樹木により支えられる1つの世界。

 だが、ゆっくりと、ゆっくりと落ちていくようだ。


 枝と葉っぱに包まれた全ての生命。

 葉っぱの隙間から、それは見えた。


 世界の果てに舞い上がる巨大な水の壁。


 何もないはずの世界の果てに水。

 この世界でたった1つの生命だけが、それが何かを理解した。


(う、海?!)


 女王ティアは、突然大地から生じた巨大な木の枝と葉っぱに包まれながらも、世界の果てに舞い上がる水の塊を海であると理解した。



 ウオオオオォォォォ……ォォォォ……



 地震のような揺れが数秒起きる。

 揺れはすぐにおさまる。


 聖樹王と共に世界を支えたバハムートは眠りについた。

 その身体は海の中で固まり、新たな世界をまた支えるだろう。



 新たな世界が創造された。


 枝と葉っぱに包まれた生命が次々と外に出てくる。

 新たに生まれた子供のように。


 子供達が外に出たとき、あの巨大な聖樹王は消えていた。

 1つの大地の空は青かった。

 光輝く太陽が大地を照らしていた。



 この大地の果てには海があるのだろう。

 なら、その海の先には他の大地があるのだろうか。

 女王ティアは新たな世界に降り立ち、そんなことを考えていた。



 シュバルツとミリアは新たな世界に降り立った。

 世界は救われた……子供達は無事だろうか。

 いや、きっと無事だ。

 2人にはその確信があった。



 ラインハルト、ニニ、マリアも新たな世界に降り立った。

 世界は救われ、新たな世界の始まり。

 聖樹様の意思は、私達の意思は何も終わっていない。

 これから全て始まるのだ。

 ニニとの子作りもこれからだ!とラインハルトは意気込んだ。



 リンランディアは新たな世界を見ていた。

 この世界でクリスティーナが幸せな最後を迎えられるまで寄り添い生きていこうと。

 ニニの幸せな笑顔を見ながら、自分も最後を迎えようと。

 早く孫の顔が見たいな~とも思った。



 アマテラスは包まれた葉っぱの中からまだ出てきていない。

 世界が救われた、新たな世界が始まったことは分かっていた。

 彼女は、胸の穴が塞がり温かく脈打つ彼の体温を感じていた。

 このままいつまでも抱きしめ合っていたいと思った。

 ……もう1人ぐらい、彼の子供を産んでもいいかな~とも思っていた。



 ベニとラミアは新たな世界を見て驚いた。

 世界が救われた。

 また楽しい日々が待っている。

 苦しいことも、嫌なことも、辛いこともある。

 でも、生きているから全て感じられる。

 感じられることは幸せなことだから。



 2人は喜びの中、彼女に目を向けた。

 彼女を見たとたん、喜びは落ち着きに変わった。


 彼女は泣いていた。


 1人で泣いていた。


 新たな世界を喜んで?


 違う。


 世界が救われたことはきっと嬉しい。


 でも彼女は独りになってしまった。


 彼女は晴天の空に向かって泣き叫んだ。




「ルシラァァァァァァァ!!」





















 輝く光を浴びる中で、暗い影を落とす場所



 緑あふれる大地の中で、枯れゆく景色が見える場所



 透きとおる水の海の中で、濁る川が流れる場所



 全てが見える中で、何も見えない場所




 子供がいる



 10歳ぐらいの子供だろうか



 大きくて透明な水晶に近づいていく



 その中を覗き込むと、口元に笑みを浮かべる



 被っていたフードを脱ぐと、端正な顔立ちの男の子だ



 とても楽しそうな顔



 無邪気に笑い、とても可愛い男の子



 まるで天使のような子だ



 いや、その子は天使だ



 背中に輝く12枚の羽が生えてくる



 6枚は白く輝き、残りの6枚は黒く輝く



 天使は水晶に手を当てる



 そして純粋な心で呟く











 ありがとう










ステータス

世界樹の木の棒

状態:ルシファーの世界樹の木の棒

レベル:1

SP:0

スキル:

ルシファーの祝福


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