第47話 神とは
懐かしい魔力を感じてしばらくすると、アーシュ達はここまでやってきた。
アーシュ達と一緒にやってきたのは……ニニとラインハルト?
マリアはあまり変わっていないどころか、ますます綺麗になっていた。
ラインハルトは、ずいぶん逞しくなったな。
そしてニニ。
……なんて素敵なお姉様に成長しちゃったんですか!
いや、この未来は想像出来たよ!
ニニは可愛かったもん!
絶対に素敵なお姉様になると思っていたもん!
……胸はやっぱりあんまり成長してないな。
アルフ王と思われるこの天使と、アーシュ達の戦いが始まった。
そしてこの時、俺は初めてあることを気付くことになった。
アーシュ達の言葉が理解出来た。
神の木の棒となってから、神はもちろん喋らないし、喋らない神に対してアルフ王も何も喋らない。
つまり、この真っ白な木の棒に宿ってから“言葉”を聞いたことがなかった。
アーシュ達がやってきて、アルフ王と話し始めると、俺はその言葉を理解出来た。
なぜだ……どうして急に言葉が分かったんだ?
言葉を理解出来たのは大きな出来事だが、今はアーシュ達だ。
アルフ王との戦闘力の差は一目瞭然だ。
無理だ、勝てない。
神はアーシュ達との戦闘中もずっと俺を見ているだけだ。
おい!ちょっと俺を持てよ!
アーシュ達に加勢しろよ!
……お前本当に神か?
何なんだお前は。
お前が神であっても、神じゃなくてもいいよ。
でもちょっとはこの世界に干渉しろよ。
ただ見ているだけか?
本当に何もしないのか?
お前が創った世界に、お前は干渉出来ないわけじゃないだろ。
俺を2度も、この世界に連れてきたのはお前なんだろ?
アーシュが俺の名前を呼ぶ。
「……ルシラ」
アーシュ!
くそっ!……なんで俺は木の棒なんだ!
自分では何も出来ない!
動くことも、声を出すことも出来ない!
あの時の奇跡みたいに、何か起こってくれよ!
お前が俺を持てば、何か奇跡が起きるんだろ?!
“これがこの世界の結末”
え?……喋った?!
“これは意思が導いた終わり”
お前の意思か?
“世界の意思”
いや、それ違うだろ。
アーシュ達は世界を救おうとしているんだろ?!
アーシュ達の意思は無視かよ!
“君の意思は何を望む? 最弱で最強、最優で最狂、最良で最悪な魂の者よ”
救えよ!
アーシュ達を救えよ!
この世界を救えよ!!
“君の意思を世界に授けるの?”
よく分からないけど、それで救われるならそうしろよ!
“君が消えても?”
ああ、俺が消えてもだ。
“どうして他人のために自分を犠牲にするの?”
それが人間だ
人間は他人のために、自分を犠牲に出来る
“でも自分のために他人を犠牲にするよ?”
それも人間だ
人間は1人では生きていけない
他人と共に生きる
それは他人を犠牲にするってことだ
“自分が痛いのに?”
それが人間だ
人間は痛みを抱えて生きていける
“死ぬのに?”
それが人間だ。
人間は“死”を感じて生きていける
“どうして人間はそうやって生きていくの?”
魂が、命が祝福されるため
人間が生きていけるのは、自分が自分を祝福して褒め称えられるからだ
それは誰かにとって良いことかもしれない
誰かにとって悪いことかもしれない
何かにとって良いことかもしれない
何かにとって悪いことかもしれない
それでも、魂は祝福されなくてはいけない
それでも、命は祝福されなくてはいけない
祝福し、褒めたたえよ主を!自分を!
“それが人間……不完全な人間の私に足りない……自らを祝福する”
そうだ、お前は人間なんだろ?
神じゃない。
いや、神でもいい。
何だっていい。
お前は人間なんだから!
青年はゆっくりと立ち上がる。
アルフがすぐにそれに気づく。
「今さら何を……終わりの時ではないのですか? 神よ!」
神は台座に置かれた真っ白な木の棒を持つ。
そして、透き通るような美しい声で叫んだ。
“ハレルヤ”




