第43話「転・最近のまとめ」
「お姉ちゃんさあ~最近本編が迷子になってるから今までのあらすじをまとめてくれない? 戦空に」
咲がGM姫に現在の方向性を戦空に優しく教えてあげて、とお願いしてきた。
「そういえば今どこにいるんだ?」
前説が長すぎて、今がいつ? なのかは解るが、どこ? という単語が抜け落ちていた。
「う~ん、お前に判りやすく短く説明すると。ザ・ユニティ? の衝撃波が発生してから、ドアの世界周辺に居て、ほとんど一歩も動いていない」
つまり、EWⅡの冒険が〈タイムアップ〉で中断されてから今まで。避難待機状態で、その衝撃波の修繕? にあたり、それからというものほとんど動いていないことになっている。
気分としては3ヶ月ぐらいはドアの世界周辺でウロウロしていた事になる。
「そういや久しぶりにルールの新しい制限付いたな、戦略級波動色・カルテットプロトコルとか言うの」
真城和季がルールの再確認をする、元々このゲームにルールはあってないような弱肉強食デスゲームだが、GM姫がどん引きするぐらいのことが起こらないと制限はしない。
「そりゃ〈1キャラ1日1500兆円以上動かしちゃいけません〉というルールは道徳的にいるじゃろ……、火遊びにしても死人が出るわ……」
GM姫は道徳的に当然のことを言う。
さっきも話したが、なにせ実存する現実世界のお金が全体論から視て1500兆円動かせる力が有る……と知ったら流石に普通の人なら禁止するし。神様でもドン引きしたので制限枠に入った訳である。
神のゲームの中で禁止や制限になるルールは、ほとんど道徳や表現の難しさから成ることが多く、その数は少ない。
「今何が禁止系に入ってたっけ?」
まとめついでに湘南桃花がGM姫に確認する。
「えっと、禁止は死者蘇生、相互バックアップ、場外乱闘リアルタイムバトル。制限はラーニング、両目に違う瞳術、ずっと空を飛ぶ。だな、で今回の1日1500兆円の変動……になるのかな? 一言で表すと」
GM姫は今までのルールをまとめる。
「あれ? 何で相互バックアップダメなんだっけ?」
桃花は自分達で作ったルールを忘れていた。セルフイメージのバックアップに助けられた所があるので、尚更そこを禁止したのが判らなくなった。
「えっと、確か本人が判って無かったんじゃないかな?」
バックアップは本来、元のデータ、記憶がなくなった時のサブ記憶媒体の意味合いが強い。それはゲーム中にプレイヤーが使う、という意味合いよりも。運営や管理者が忘れた時、またはデータが無くなった時に、記憶を呼び戻し復元する時に必要になる。なので、ここが封じられていると〈元に戻らない〉現象が発生する。
「確か当時は外界とか汚染想子とか無かった気がする。つまりリスペクトというか、他人のサブイメージで本体の記憶を補完する動作が無かった、人に頼らなかったんだと思う」
咲が当時の解釈をまとめ、読み上げる。
そこを思い出してGM姫も流石にそこは修正する。
「まあだからといって何回でも復元OKだと、それこそパクリゲーになっちゃうし……回数制限かな……??」
姫もこれが出来ないと〈無いと戻せない〉ので要ると解った、つまり制限緩和である。
これは確か、元とサブのデータでお互いを保管しあうという。双鏡システムが外界で変換して生まれたのがカーディナルシステムだったはずで。
まあそこまでだったら個人の創作の域を出ないのだが、第1次姉妹喧嘩の規模感をやったら、現実世界でスイスフランショックが起こる。……と知った今である以上、自分でバックアップは常に要るけれど、他人による伝承と、それの〈ついで?〉で生まれたセルフイメージのバックアップは本体、元の世界を復元する意味でもどうしても今後はいる。
いくらミス無く運営やゲーム進行をしようとしてもどうしても漏れは出てくるはずだ。
それに当時は、全体論や量子論も解っていなかった。
「桃花的にはどう思う? このバックアップの定義……?」
GM姫は桃花に話をふる、桃花は言われた通りキャラを作らず素のままで答える。
「う~~ん……。えーっと、双鏡は確か現実ではミラーサーバーのデータに変換されてたし……。でも今回のセルフイメージのバックアップって、究極的には〈模写〉だよね? で今回決めなきゃいけないのは個人じゃなくて全体・チーム戦でのバックアップだから……。でも無制限バックアップは嫌なんだよね?」
「嫌っていうか……コントロール出来ない感じかな?」
桃花の疑問に姫はゲーム進行としてのリアルタイム性は困るという反応を示した。そもそも全体論のサブバックアップだと、どの他人が複製しているのか解らないという欠点がある。
零時迷子は事象の回復を目的としていたが、まるパクリの保存だと、話は変わってくる。バックアップを使う人だって不特定多数だし、想定対象者が絞りづらい。けれど要る。という代物。
と、そこで桃花はひらめいた。
「あ! じゃあさあ! ミラーサーバーは最果ての軍勢の博物館に保管する感じにしたらどうかな? そうしたら変な人は触らないし!」
現在、最果ての軍勢の博物館に補完されているのは。エレメンタルワールド1個、VR機器テンジョウ2個、だけである。そこにミラーサーバーのデータも置いておこうという考えである。
これならずっと相互更新しているけど、管理してるのはかなり厳重な場所、と認識出来るし、不特定多数じゃなくて最果ての軍勢ならやりかねない。という安心と信用と実績がある。
「あーじゃあ回数制限というよりミラーサーバーの場所指定だけすればいいのか」
「そうそう」
桃花はGM姫にアドバイスした。
「ふむ、じゃあ。相互バックアップ用のミラーサーバーは、最果ての軍勢の博物館に補完。という形で禁止から制限に変えよう」
これで規制緩和のアナウンスが、プレイヤーに伝達された。
そ、そこら辺まで話してから。咲はEWⅡの外の状況を確認するために内側から外側のドアをギイッっと開けた……。




