第12話「結・日本政府は世界を敵に回す覚悟はあるのか」★
西チーム、雨森の拠点。
「日本政府は世界を敵に回す覚悟はあるのか? いい加減限界なんだが!」
GM姫がもう我慢の限界だった、眠る相手も相手だが、そもそも発言の質が眠たいのなら、言う方も言う方である。
「やめい! ダメとは言わないがそれをやると家族どころか親族にまで影響するから! もう手加減出来ないのなら、えっと警告以上って何だっけ? 最後通牒だね。でもお姉ちゃんが考えてる〈ドラゴンの持ち物に日本政府のエネルギー〉を持たせるのは冷静に考えて辞めた方が良い、間接的に自滅する。本編をやれ!」
咲の言うことは正しい、ただ表現の自由から考えるとナンセンスであるが、発言の責任を考えると軽はずみなゲーム進行である。
「あと、もう一つ言っておくと。全部をチェックするのは無理だからね? 本当は自分個人に来た仕事だけをチェックすればいいんだから。深追いしすぎなんだよ」
咲の言うことは正しい、目に映るもの全てをチェックして均衡を保つのは無理だ。そこは手当たり次第手助けしてもらう他ない。
「ふむ、となると世界に文句を言いたいときはクールマに言えば良いし。日本政府に文句を言いたいときは今泉善次朗に文句を言うのがこちら側のスジってもんか……」
姫は怒りを発散しながら落とし所を見つけた。
「うーん、まあ中間管理職じゃないけど役所がいるかもしれないね。現実世界の地球との橋渡し的な。ほら、アレアレ。〈それ、どこの役所に言ったんです?〉ってなるじゃん」
この世界は基本中世ヨーロッパファンタジーなので役所と言えばギルドの受付を通る、その役所が必要という意味だろう。
「ギルド調整管理部、でいいんじゃないかな……」
「で、ウチらからは誰がやるんじゃ?」
「ちょうど政府関係だからキャビネットでいいんじゃない?」
キャビネットは最果ての軍勢、副軍事司令官である。今の所落とし所はそこしか無かった。
◇
東チーム、ゲームをクリアしないと出られない部屋。
湘南桃花は一応ゲーム本編はクリアしたので部屋から出られた。
「だはあ、やっと出られた……外に出られたと思ったらいきなりコレか……」
「おかえり、どうだった?」
「うーん、秘十席群よりコーヒーの方が悪役度高くて意外だったよねそこは……」
「世界の均衡保てそう?」
「さあ、それはクリア後のゲームを実際にやらないと何ともですね」
とりあえず条件は達成出来たので出られたと言った感じだろう。
自由解放軍、万里の長城。
「ここが昨日言ってた場所か、確かにでっかい壁だ……」
桃花の感想に日曜双矢が言う。
「でも何で壁なんだ? 竜種は空を飛ぶからほぼ意味ないだろ」
双矢の感想に信条戦空が言う。
「陸上にそれ以上の脅威が居たとか……?」
戦空の問いに桃花が答える。
「もしくは単純に移民対策かもしれませんね、ここ治安悪いからこうやって逃げてくる民間人が多かったのかも……」
で、ピコン、とここで掲示板チャット。
放課後クラブ、天上院咲。
〈ちょっと桃花と戦空来てくれない、そろそろ人間牧場にカチコミ入れるわ。ドアの世界で来てくれない?〉
非理法権天、湘南桃花。
〈ありゃ、もうそんな時間、まあ長引かせても良いこと無いしちゃちゃっとやっちゃいますか〉
四重奏、信条戦空。
〈お、総力戦か? 面白いか?〉
放課後クラブ、天上院咲。
〈とりあえず来て〉
◇
雨森から南、人間牧場、領域竜種のテリトリー内。
まず、GM姫のゲーム進行が私情入ってるのでそのへんのかくかくしかじかを桃花と戦空に説明する。
桃花が話の内容をまとめる。
「ふむ、つまり敵竜の持ち物に日本政府のエナルギーはアリかナシか、て話ね」
それだけ聞くとかなり強い部類に入るし、守られていることを考えると諸刃の剣にも考えられる。
「領域竜種の体質は?」
戦空が聞く、まず殴れるのかどうかの確認だ。
「体質は自然だな、持ち物が政治になってる。で、このまま突撃したら何が起こるか解らないので、事前にギルド調整管理部のキャビネットを通して地球の国連に事前通告する」
GM姫はデリケートなところの補足をする。
咲が今後の展開を言う。
「つまり、今から攻撃する事を、事前に国連の国連事務総長に連絡してから攻撃します、で、このゲーム進行の多数決」
なるほど、と桃花は思った。
「なるほどねー。咲ちゃんからしたら自分の本編打ち切りにされた挙げ句、身体的苦痛を味合わされて、自分が頑張っている間日本政府は変わらず、前に進まなかった、怠惰だったのが、まず許せないと……」
賛成派の咲は、一応最新情報と誤解があるので補足する。
「まあ、進まない勇気が必要だったのは解るけど。それと妨害された事実は別でしょ? 実際滅茶苦茶イラついている」
この件で一番被害を受けたのは間違いなく放課後クラブである。止まらなかったからいけないというより、それが隣で間接的で。直接的じゃない誘導だったのがまず気に入らない。そんな所だろう。
真城和季はまず最初に反対する。
「バランスや秩序の事を考えると。日本政府を敵にして、世界がそれを倒す話になるが……あまりにも秩序からかけ離れているので最果ての軍勢としては反対だ」
と、前置きをした上で。
「で、個人的な。真城和季の意見としては、あいつらは一回痛い目にあったほうがいい、というのは個人的な意見だ。よって最果ての軍勢は、その個人的な意見を指針にバランスを取る形を取る。よって賛成だ」
賛成派に回った。
で、一番不幸な目にあった湘南桃花は。
「私は、まあ不満は一杯あるけど、この道は避けて通れなかったし。医者が最初からこの薬を飲むのが最善で、他の医者も間違いなくそう言うって言ってたし……ちょっとその話には乗れないな。よって中立派、投票はしないものとします」
その手には乗らない、賛成派でも反対派でも無く、あくまで無意味という立場を取った。
信条戦空はというと。
「面白い話には乗るよ、やるなら徹底的に叩き潰した方がスカッとするし! でもその話の展開を転がした結末は、たぶんつまらないものになると思う。よって四重奏は反対派だ」
あくまで本当に面白いものを貫き通す。
多数決の結果。
放課後クラブ、賛成。
最果ての軍勢、賛成。
非理法権天、投票せず。
四重奏、反対。
の立場を取った、で、このまま領域竜種を倒さないという選択肢は無いので。GM姫は。
「以上の意見書を考慮した上で。ギルド調整管理部のキャビネットに、この意見書を渡し、国連事務総長に連絡してから、人間牧場を叩く行動をする、とします」
内容がデリケートだったので、これ以上は譲歩出来ない、という形だろう。
その上で、信条戦空は言う。
「やると決めたら徹底的に叩くぞ、悔いも後悔も遺恨も残さないくらいに」
桃花も、そこまで処置をするならばやるしかないと思った。
「……そうだね、何よりもう、これ以上手加減出来る余裕は無い。コントロールも上手く行って来たし」
まずは正す所を正す、という方針で一致した。
――と言うわけで開幕一発目は、人間牧場に潜む領域竜種に爆風による爆弾による爆発音。汚い花火だった。
《領域竜種子爵、ヤマタノオロチにターゲットロックオンされました!》
日本政府のエネルギー勾玉を持ち物として持った八頭八尾のドラゴンがキシャア! と唸り声を轟かせる。
「解ってるのか、小物たちが、解ってるのかァー!!!!」
4人はマスターフォームⅡへ変身する。
信条戦空、湘南桃花、真城和季、天上院咲は戦闘態勢に入った。
「徹底的に叩き潰す!」
「もう手加減できないからね!」
「一回痛い目にあってもらうぞ!」
「眠い発言は許さない!」
それぞれの思いが積もった、EWⅡ初めてのボス戦となった。




