バラ色って何色
子どもの頃、とある少女漫画を読んでいて、「バラ色のドレスを着たご婦人が」とかいう台詞がありました。当時、実家の庭には薔薇が植えてあり、薔薇の花の色は赤、白、ピンクと三種類ありました。はて? と疑問を感じて近くにいた父に訊きました。
「バラ色って何色? 薔薇の花はいろんな色があるじゃない?」
子どもの素朴な疑問に父は答えました。
「ピンク色。バラ色の人生っていったらそういう色だべ」
その答えを信じて、今まで生きてまいりました。
最近になってその会話を思い出しました。
父の答えが間違っているとか、そんなこっちゃないのです。まあ、ちゃんと辞書を引かなきゃと思っただけです。
わたしの手元にある三省堂の『新明解国語辞典 第四版』で「ばらいろ」を引きますと、「紫を帯びた桃色。ローズ。(健康・幸福・前途の光明などの象徴とされる)」と出てきました。ついでに手持ちのまた三省堂の『クラウン仏和辞典』を引いてみました。”rose”で、まず名詞でばらの花ときて、色々説明やら、その後形容詞としてのばら色の、薄赤色の、男性名詞の薄赤色のぶどう酒とありました。(ロゼワインはこの頃飲んでないなあ)
ちなみにネットで検索しますと、バラ色と薔薇色とそれぞれ出てきますが、鮮やさかのある淡い赤であるのは間違いないようです。
野生の菫の花が、庭や散歩道にチラホラ咲いているのを見て、菫について知りたい、菫と似た花の色の別の花もあるからと、図書館で菫や野の花の本を借りました。そして野生の菫にも菫色以外の花の色があると知りました。紫色にいくらか濃淡があるくらいだと思ったら大間違いで、白だけでなく、黄色もあるんだと驚きました。黄色の菫は見掛けたことがない、というかわたしが見分け方を知らなかっただけかも知れません。でもかなり珍しい黄色の菫があるそうです。庭や近所で主に見掛ける菫はタチツボスミレかあと知り、散歩ついでに観察などしております。
そんなこんなで菫の色は紫ばかりじゃないと気になり出して、バラ色もどんな色と定義されているのかと思い出して、一緒に調べてみたのでした。
ニホンタンポポを見付けて、それ以来、道端の黄色い花、特に蒲公英はセイヨウタンポポとニホンタンポポのどちらだろうと見るようになり、それが一つの気付きで、雑草と呼ばれる植物の花をよく見るようになった次第です。
気付きって案外身近にあるし、気を付けて見るようになると面白いと感じました。
えっ? 年寄り臭いですか? まあ蛇イチゴをイチゴと勘違いして食べたりしないだけいいじゃないですか。




