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いざ「パレイドランヂストリイー」に行かん

 本日、令和三年の二月十四日からNHKの大河ドラマの『青天を衝け』の放送が始まります。前夜の地震にはびっくりでした。でも急を要する報道がない限りは予定通りかと。

 就寝していましたら揺れを感じて飛び起きて、それから緊急地震速報は鳴るしで、どうなるんだべと思いました。まず、こちらは無事でございました。下手に動き回らない方が安全と、今日は(も)お籠りです。

 二男は『麒麟がくる』の後は『鎌倉殿の13人』と思っていたようです。わたしも『晴天を衝け』の配役やロケが話題になってないなあなんて印象でした。いや、それよりも『麒麟がくる』、きちんと終われるのか、どんなふうに本能寺の変を描くのか、主役はどのような最期になるのか、気にしてました。そう来たかあ、って最終回でした。

『青天を衝け』興味がありますが、わたしの興味は多分皆様と違う方向。青年渋沢栄一こと篤太夫の見聞を広めることとなった渡欧にどれくらい尺が割かれるかです。渋沢栄一は徳川慶喜の異母弟昭武のお付きでヨーロッパに行って、向こうの国のあり方と資本主義を学んできます。

 国会図書館デジタルコレクションから、渋沢栄一の『航西日記』を連載物の史料でぱらぱらと読みました。連載物の物語と重なる時期くらいしか目を通していないので、申し訳ないのですが、記録としてもなかなか面白いです。

 空耳で聞こえた外国語の話は以前にも書きましたが、読んでいるこちらが何のことかピンと来ないと、謎の言葉と化します。サブタイトルの「パレイドランヂストリイー」、最初まるきり解りませんでした。ほかの史料から「産業宮殿パレ・ド・ランデュストリ」と解りました。1855年のパリ万博の会場で、1867年にも万博の催しでも使用された場所です。宮殿だったらパレイじゃなくてパレじゃないかと思っても、当時現地で耳にした渋沢にはきっとそう聞こえていたんでしょうから、抗議のしようもないですよねえ。

 パリでは八月十五日、カトリックのお祭り、聖母被昇天祭というので、渋沢栄一は何か見物していないかと、1867年のその日の項目を見てみましたが、聖母被昇天祭については何もなし。キリスト教のお祭りには興味がなかったのかなあと気抜けしましたが、これはわたしの知識不足。当時フランスは第二帝政、ナポレオン3世が皇帝でした。ナポレオン3世の伯父ナポレオン1世の誕生日が聖母被昇天祭と同日です。きちんと前日、慶応三丁卯年七月十五日(西洋千八百六十七年八月十四日)の記事に、「晴午時各國公使館へ尋問の使者出る 此の夜佛帝初代那波烈翁誕辰の前宵につき市街街灯光盛にて人群をなす」と載っていました。

 宗教行事ではありませんでしたが、お祭りの日だったのは変わりないようです。ガス灯に色んな色の玻璃を灯して、「壮観」だったと渋沢は感想を残しています。「アルクデトリヨンフ」の単語が出てきて、「アルク」は「arc」だろうとあたりを付けて、仏和辞典の「arc」と項目を引いてみたら、凱旋門「Arc de triomphe」だと判明。まだ訳語ができていなければ聞こえたままま、読んだままで単語を記すのですから、訳語ができて、おまけに現地の言葉を知らない者が好奇心から読んじゃうと、難しい暗号みたいになっちゃいます。

 参考にしたからにはなるべく正確に引用したいので、頑張っています。

『青天を衝け』、自分が読んだ史料の内容がどれくらいドラマに出てくるか、それが楽しみです。でも大した尺にならないか知らねえ。

 と思ったら、大河ドラマとは別にNHKBSPで『渋沢栄一inパリ万博』って番組の放送予定があるんですか。渋沢栄一だけでなく、薩摩藩の五代友厚も出てくるのかしら?

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