作家との出会いとなった作品とお名前の話
去年の十二月、活動報告で、『名刺代わりの小説10選』のバトンを披露しました。わたしは「作家との出会いとなった一冊」をテーマにしての紹介になりました。十冊紹介した後に、欄外に田中芳樹の『銀河英雄伝説』が入らなかった云々と書きましたが、よくよく考えてみると、田中芳樹の作品で初めて読んだのは『銀河英雄伝説』ではありませんでした。
『銀英伝』より前、父が購入していた『歴史読本』の、とある一冊に掲載されていたショートショートが田中芳樹作品との出会いでした。ただ、その作品は別のペンネームでしたね。一冊、とは違うし、初読の時は田中芳樹の名前ではなかったけれど、自分の中でカウントされています。
題名は『訪問者』。貿易を営むジャンの許に胡散臭い訪問者が現れて、詩を書いてくれと依頼します。ジャンはとっくに詩作はやめたと答えます。ジャンがパリで詩を書いていた頃の友人ポールの話題も出てきますが……。といった内容でした。確か田中芳樹の初期作品集とかで見掛けて、ああ、この話もあの人が書いたのかあと、懐かしくて、覚えていました。
『歴史読本』に載っていた小説ですから、ジャンもポールも歴史に名を残した人物からきています。
ここでもビートルズのメンバーと同じく、キリスト教の聖人、ヨハネとパウロにちなむ男性名です。キリスト教圏内、どれだけいるかも解らないくらいですね。多分、当時の田中芳樹もそこら辺を知って思い付いたんだろうなあと思います。
何がネタになるか解りません。




