『I was born』
歴史の本を読むのが好きである。好きが高じて、妄想した内容を小説に書き綴っている。参考にしているのは主に書籍であり、インターネットでの検索は主に文献探しになる。それでもよく相関関係が解りにくかったり、年表作りをする場合に、補助としてウィキペディアを参照することがある。ウィキペディアにも出典や参考にした本が載せられているし、家族関係の整理がし易くなる。
外国のオハナシを書いていて、日本語版のウィキペディアでは詳しく解らず、そこの註から外国語版のウィキペディアに飛んで――移動して、翻訳機能を使いながら調べたことがある。(例えば、ビスマルクの後任で駐仏プロイセン大使になったデア・ゴルツ、この人物はナポレオン3世の本に名前が出てくるが、それしか解らない。日本語版のウィキペディアのビスマルクの中身を読んでいるとデア・ゴルツの名前が出てきて、名前の後ろにかっこ書きでにドイツ語版なんてあるので、そこをクリックしてみた)日本語の文献で、名前だけは出てくるのだが、小説で登場させたいので、フルネームとだいたいの年恰好だけでも解らないかとやってみて、成果があって、昔と違って今は便利だと、心の中で小躍りしていた。一度成功するとまた試したくなるのは人の常で、その国では有名人でも日本では知名度がない歴史上の人物を調べるのに、助かった。
フランス第三共和政で活躍した政治家とその恋人が普仏戦争前に何をしていたか、物語を彩れないかと調べてみたが、(書籍でもインターネットでも)これは上手く行かなかった。
この人物はフランス人なのに、フランス語版ウィキペディアに項目がなくて、英語版ウィキペディアに項目があるのかと、不思議になることもあった。
翻訳機能が直訳なのだから仕方ないのだが、外国語版の人物伝、訳文を読んでいて、この人物は父親から直接生まれたのか、と吹き出したことがあった。各国語、それぞれの言い回しがあるのだろうなあと、言語の多様さに惹かれもするし、一から学び直すのは大変だとも考える。
とある女性の英語版ウィキペディアを翻訳機能を使って読んでいたら、「彼女は息子を誕生させた」の記述が出てきた。思わず吉野弘の詩『I was born』を懐かしく思い出した。
翻訳って単に言葉の意味を知って、日本語に当てはめていくだけでなく、センスなければいけないのね、と改めて感じた、自分の中でのちょっとした事件。
その後、ロックバンドのQueenの英語版のウィキペディアとアンサイクロペディアを覗き、翻訳された内容を読んで、直訳されたバンド名、メンバー名や曲名に笑ってしまった。ジャンルが「岩」って、そこまで真面目に訳さなくてもいいじゃない。
これだけ世話になっているので、お礼はしました。Katherine Maherからメールもらっています。




