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『タピオカまつり』と『かてもの』

 短大で日本史学科にいたので、まず古文書を読めるようにと「古文書学」が必須でした。担当の講師だった先生が教材にと準備してきたのが、上杉鷹山公の『かてもの』。短大が米沢にありましたから、米沢由来の書物が選ばれたのですね。

『かてもの』は救荒食の作り方を説明してある古文書です。山野草などをどのようにして食べるかが書かれています。草の葉、茎、木の葉っぱやら根っこやらを、普段口にしない物でも火を通せば食べられる、アクや毒気を抜く工夫をして食べられると、鷹山公自ら実践してみて記しました。

「水にさらす」、「ゆがく」の表現が多数あり、その文字だけは読み取れるようになりました。

『かてもの』の中に彼岸花があったかどうかは忘れました。でも、『毒草の誘惑』(植松黎著 清水明子絵 講談社プラスα文庫)に彼岸花が載っていました。彼岸花の根には毒があります。だから、モグラやネズミ除けに田畑の土手などに植えられるとも聞きます。

『毒草の誘惑』によると、彼岸花の根っ子を叩いて、石うすで擂って、細かにしたら布袋に入れて水に晒してよく揉む、上澄みを捨て、沈んでいるのが澱粉なので、それを取り出し、また水を入れる。上澄みを捨てる、水を入れる、を繰り返して、澱粉のみを残して、干し、保存して、救荒食とする、と説明されています。

 食べるまで手間が掛かっています。

 この頃の流行りのタピオカ。わたしくらいの年齢ですと、これでタピオカが流行りになったのは二、三回目じゃないのかしらと、別に珍しくもないし、美味しいとも思わないし、流行りに飛びつくほど珍し物好きの若さもないしと、皮肉な気分になっています。

 こちらのサイトで『タピオカまつり』が檸檬絵郎さんから自然発生的に拡がっており、あらあらあらと、各作品を拝読しております。

 タピオカと彼岸花と何のつながりがあるかですって?

 だってさ、タピオカの原料となる芋、いいですか! タピオカはキャッサバ芋って芋から採られる澱粉、炭水化物なんです。

 キャッサバの根っこ(芋)は有毒で、品種改良で有毒部分が少なくなっている品種もあるそうですが、皮を厚く剥いたり、水に晒したりして、毒を抜いてから澱粉を取り出すのだそうです。

 どこかで聞いたような食用への転用の仕方……。彼岸花より手間が掛からないのでしょうが……。

 澱粉の塊をシロップで味付けたり、甘い飲み物に混ぜたり、糖質の摂取量を気にしている方はご注意ください。(こんにゃくで代用されていても、飲み物そのものがちょー甘いとどうかと思います)


キャッサバについてはウィキペディアを参照しました。

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