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炬燵で駄弁、めでたくもありめでたくもなし

岩崎都麻絵「パソコンを前にして何やっているんですか?」


惠美子「去年『二重螺旋の恋人』だけでなく、『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』も観そびれていたのに気付いてショックを受けているのです」


都「あら、そっち。パソコン画面で映画情報を検索していたんですか。

 あんたも忙しいわね、昨日は『三十と一夜の短篇第33回』の発表日で午後から頭痛で七転八倒していたのに」


惠「そうなのよ。今仙台市のミニシアターで上映している『エリック・クラプトン』って名前しか知らないけれど洋楽の人よねって良人に訊いたら、「そうだけど俺も詳しく知らない」だって。『ボヘミアン・ラプソディ』と違って、インタビューと当時の映像を使用してのドキュメンタリー映画ですね。予告動画を観てびっくり。ジョージ・ハリスンと親友で、その妻に恋しちゃったとか流れています。生存中のミュージシャンですが、こういうのってファンやマニアには常識なのかしらん?」


都「まっ! 親友の妻と? 略奪婚? 谷崎潤一郎と佐藤春夫みたいな?」


惠「そこはどうなんでしょう? ジョージ・ハリスンのドキュメンタリー映画も七、八年前にあったそうで、そこもびっくりいたしました」


都「ジョージ・ハリスンって『ビートルズ』のメンバーで、ジョン・レノンの次にお亡くなりになった人よね」


惠「そうです。ポール・マッカートニーの奥さんのリンダが亡くなった時に、火葬して、遺骨は畑に散骨して欲しいと遺言があったとニュースを聞きました。骨が撒かれた畑の野菜を食べるのは平気なのかと、微妙な気持ちなりました。

 その後ジョージ・ハリスンが亡くなって、やはり火葬してインドのガンジス川に散骨とニュースを聞いた時は、なんとなく納得したものです」


都「ふふーん、ビートルズのメンバーが一時期インドの思想だか宗教だかに魅せられたらしいというのはホントなのね」


惠「そこは個人の信教の自由です。

 『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』はドキュメンタリーじゃないけど観たかったわ~」


都「そこに戻った。テニスボールが白だった時代の試合ね。ビデオレンタルに出ているかも知れないから、それで観なさい」


惠「全盛期のダンサー、歌手、スポーツ選手ってリアルタイムでなくても映像が残っていれば観られる時代になりましたが、それだけでは物足りないってあるじゃないですか。そもそも残っていなくて伝説のみの人もいます。

 TPPの影響で著作権が、著作者の死後五十年から七十年まで伸びました」


都「それで?」


惠「案外あなたは鈍い。元々有名作家で著作権の管理者が誰だか解る場合はいいんですよ。でもそうじゃない方もいます。

 なんていうの、スコッパーってネット社会だけでなくいます。有名作家の作品が雑誌掲載時と単行本収録時で加筆訂正があるとかで、大宅文庫とか国立国会図書館とかで雑誌を調べているうちに、ほかの無名作家、或いはそれなりに名を成した作家の知られていない作品を発見したとします。これは当時受けなかったかも知れないが、今なら受ける、評価のし直しをすべきだ、或いは、映像化してみたい考えてみたとしても、この作家は存命しているのか、亡くなっているのなら著作権を保有しているのが誰なのか、掲載雑誌の出版社に連絡しても皆目見当が付かない場合があります。

 出版社がまず再版してみて、本人や遺族に呼び掛けてみましょうと言ってくれるか解りません。

 また、著作者が複数者の場合、揉めると大変になります。小説でも漫画でも共作、映像作品だと制作に関わる人たちが多くなりますので、そこで意見がバラバラだと再版、再放送、リメイクできないとなってきます」


都「三島由紀夫や川端康成の著作権切れを待っていた人が泣くだけじゃないんだ」


惠「このお二人は著作権の管理者いるんじゃないの?」


都「変なパロディを書けないじゃない」


惠「あなたはそこを心配しているの?

  別にBLやお耽美の趣味じゃないでしょ」


都「『ファンタスティック・ビースト』の二作目を何故か家族で観に行く破目になったものの、話がさっぱり解らないと言いつつ、ダンブルドア先生が同性愛者だってこのことかあって喜んでなかった?」


惠「いえ、設定の方向付けとしてこうなのね、と緻密さに感心したの」


都「細かいったら細かいかもね。あんたもしっかりお話を考えて、早く連載物を更新しなさい」


惠「はい、努力します」

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