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ロッカーの映画

 自宅のテレビでyoutubeが視聴できると、『クイーン』を検索して観ていたら、居間に来た長男が画面を観て、「ロックの王様?」と尋ねてきました。

「違う。ロックの王様はえ~と、誰だっけ、アレだ、プレスリー」

「ふうん、都市伝説で生存説がある人だ」

「そうなの? ドーナッツの食べ過ぎが原因で亡くなったって聞いているし、ステージ中にぶっ倒れたらしいけど」

 長男にとっては生まれる前の人の話、わたしにとってもプレスリーは『スター・ウォーズ』の第一作目を観たか観ないかの、小学校低学年時代に亡くなった人物なので、その偉大さはよく知りません。プレスリーはカーペンターズの妹の方とともにダイエット本に、過食症、拒食症の例で紹介されていました。わたしにとってのプレスリーとカーペンターズはミュージシャンとしてより、そっちの印象が強いのです。

 若い頃、ビデオレンタルで、デニス・クエイド主演の『グレート・ボールズ・オブ・ファイア』を観ました。良人にロックを教えられていたのと、公開時話題だったのがビデオになったからの好奇心からでした。

 二十世紀半ば、まだロックが良識家にいかがわしい、若者が夢中になるなんで嘆かわしいと眉をひそめられていた時代にプレスリーに少し遅れて登場したロックンロールの歌手ジェリー・リー・ルイスを主人公にしています。ピアノでロックを奏でていました。

 プレスリーが徴兵で一時アメリカを離れる時に、ジェリーに会いに来て、「受け継げ」と声を掛けてくれるのです。

 ですが、人気絶頂の最中、バンド仲間で従兄弟の娘と結婚して、その娘の年齢が十三歳であったことが公になり、非難の的になります。すっかり人気が落ちてしまいますが、「俺は地獄でもピアノを弾くさ」と終わります。

 どこまでも自分を貫いて恰好いい、とビデオをそのまま回していたら、デニス・クエイドがジェリー・リー・ルイス本人からピアノの手ほどきを受けているメイキング映像が出てきて、良人ともに「まだ生きている人なんだ」とびっくりしました。

『スター・ウォーズ』と『クイーン』の連想でもう一作。SFというよりは、スペース・オペラ、アメリカン・コミックを実写映画化した『フラッシュ・ゴードン』があります。これは『クイーン』の「ク」の字も知らなかった頃、日曜洋画劇場か何かのテレビ放映で、四代目ジェームズ・ボンドのティモシー・ダルトンが脇役で出ていると観ました。

 宇宙の悪の帝国が地球を侵略しに来た危機に立ち向かうのが、アメリカン・フットボールのスター選手のフラッシュ・ゴードン。

 なんで?

 そこがアメコミなのでしょう。

 今回検索してみたら、1980年の制作だそうで、『スター・ウォーズ』の一作目より後なのに、設定や展開、特撮、漂うB級映画感。

 ティモシー・ダルトン、既に『冬のライオン』や『アガサ 愛の失踪事件』に出演していましたし、BBC制作の『ジェイン・エア』でヒロインの恋人役を演じていて、決して無名の俳優ではありませんでした。ほかにも、のちにケネス・ブラナーと組んでシェイクスピアの映画を撮るイギリス人俳優も出ていました。

 アメリカ映画で、歴史大作で重厚感を出す為か、イギリス人の演技派俳優を出演させるのはありますが、この映画にその必要性があったのか、謎です。

 おまけに当時人気の『クイーン』に主題曲を担当させているのですから、予算がなかった訳ではないんですよね。

 当時のSF映画や特撮映画の地位はそんなものだったのかしらん。わたしには解りません。

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