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“James Bond”と“The Vampire Lestat”をどう発音するか

 地方住いの親の役割の一つに子どもを車で送迎するのがあります。習い事や塾、部活での移動、遅刻したなど、公共交通機関の便数が少ない、そもそもそこまで路線が存在しないなど、理由は多々。

 下の子をそうやって車に乗せている時に、音楽の話になって、「クイーン」というロックバンドには英語と日本語の歌詞が交互に流れる曲があると話しました。当時高校生だった下の子は母が何か企んでいるのではないのかと、「それ、スピ〇ド・ラ〇ニング?」と引いていました。わたしは笑い飛ばしました。

 洋楽を聞いて外国語が堪能な人は、わたしの知る範囲におりません。

「洋楽を聞いていると英語に馴染む」

 と言う人がいまして、じゃ英語の歌を歌ってみてとリクエストしました。

『ヘイ、ジュード』の第一声までは良かったのですが、その後がね。

「ほにゃらら~」

 と誤魔化そうとして、妻から冷たい視線を向けられました。ビートルズを聞き流していても、フルコーラス英語で歌うのは無理のようです。

 二十世紀に、マドンナが来日してのコンサート、マドンナは終盤に差し掛かって、聴衆に「もう帰っていいか?」と英語で呼び掛けたそうです。

「イェーイ!」

 日本の聴衆から返ってきた反応に、マドンナは同じ問いを繰り返しました。

 これは当時、同じ内容の記事を二、三目にしています。日本人の英会話能力の無さ嘆いてるんですね。現在こっから進化しているのか、外国のミュージシャンのライブに行った経験がないので解りません。

 イアン・フレミングの『007は二度死ぬ』を十代の時に読みました。日本の諜報機関のボスがボンドに、「我々日本人は子音だけの発音が難しいので、ボンさんと呼んでいいか?」と言っていました。

 恐らく、というよりはきっと日本人は“Bond”ではなく、“Bondo”と発音しているようにネイティブに聞こえているはずです。

 塩野七生の『サイレント・マイノリティ』(新潮社)で、英語の発音について、非イギリス人から厳しく指摘される話に、やはりジェームズ・ボンドの発音が出てきます。英語の発音や会話の拙さに文句を言ってくるは、イギリス人ではなく非イギリス人ばかりだと、分析が続くのですが、そこは省略。

 アメリカ合衆国の小説家アン・ライスの『ヴァンパイア・クロニクルズ』の第二作目と第三作目を併せて映画化した『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』を観に行ったら、良人が、「主人公の名前が字幕にはレスタトと出るが、違うように聞こえる」と言いました。

 主人公レスタトの綴りは“Lestat”なので、“t”のみの発音が日本語表記の「ト」に聞こえなかったのでしょう。耳がいいなあ。

 子音だけの発音……、中学校の時のエーゴのセンセは“g”は咽喉ぼとけ辺りで発音するんだと教えられましたが、それ以外はさっぱりです。よく言われる、“r”と“l”の発音は、自分が喋る際は気を付けますが、他人様の言葉は聞き分けられません。

 もしかしたら、『風と共に去りぬ』ではなく、『窓』と去っているのかも知れず、『ウィ・ウィル・ロック・ユー』を発音を間違えて、『オレたちはあんたたちを閉じ込めるだろう』と歌っているかも知れません。

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