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沖縄を通して知ったことだった

 わたしが結婚後、そろそろ子どもをと思って風疹の予防接種を受けたのは、風疹症候群について知っていたからです。どこで知ったかといえば、小学生くらいの時のテレビで、沖縄の聾学校の野球部の特集番組をしていたのを観てです。

 詳しいところは覚えていないのですが、米兵から風疹が沖縄に持ち込まれて、その風疹に感染した妊婦さんが多くいて、その結果、耳の不自由な子の出生につながり、聾学校が設立されたと説明されていました。

 検索してみると、1964年にアメリカ合衆国で風疹の流行があり、遅れて1965年(昭和40年)、日本に返還前の沖縄にも米軍を通して風疹が流行したとあります。当時はヴェトナム戦争中で、相当物資と人間の往来が激しかったでしょう。

 そんな中でアメリカ合衆国や沖縄で妊娠初期の女性が風疹に罹患して、何ヶ月か後の出産で生まれた子どもたちの耳や目、心臓に影響が出たのです。

 人類がいつ風疹との因果関係に気付いたかわたしは解りませんが、少なくともこの半世紀前の出来事で、全世界に知れ渡ったはずです。

 それでもなお、風疹の予防接種は完全ではないのです。

 様々な感染症の病原菌やその感染経路が判明しても、防ぎきれず、根絶するのは難しい、現実の壁があると思い知らされます。(梅毒患者まで増加傾向とは……)

 天然痘が根絶できたのは一つの奇跡なのかも知れません。

 病原や感染経路を特定できても、ワクチンや特効薬がなくて対症療法の感染症もあれば、特効薬に耐性を得てしまった病原菌。また、自然の中の細菌やウィルスが変異を起こして、ほかの動物のみの感染症がいつ人類の脅威になるか注意が必要とされるもの、環境の変化から毒性を増す可能性があるもの。

 リオ五輪の際に騒がれたジカ熱、あれは日本に上陸していないだけで解決された病ではありません。温暖化が進めば、マラリアも日本で無縁の病気では無くなると言われています。蚊が媒介する病が、日本脳炎ばかりでなくなってくる日が来るのかも知れません。

 かつて沖縄はマラリアの惨禍にも遭った土地でした。

 一つ地域から世界を、歴史を知ることもできます。

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