世の中の片隅でもないはずだけど
岩崎都麻絵「日曜日まで晴天で暑かったのに、月曜日(平成三十年八月六日)から曇り、雨で気温が三十度に達していません。この人の住まいの地域に台風十三号が近付いています」
惠美子「梅雨時があれれって感じだったからなんでしょうかねえ。農作物への影響が心配されます」
都「テレビドラマの『モンテ・クリスト伯』や『おっさんずラブ』が終わったから元気ないの?」
惠「終わったのは一月も前でしょう。関係ないですよ」
都「朝ドラは観ているけど、民放の『この世の中の片隅に』は観ていないのね」
惠「『この世の中の片隅に』は映画を観たし、原作漫画も読んだから、もうそのイメージができているので、壊したくないような気がして、観ていません」
都「ははは、原作者がテレビドラマのことを往年のアニメ『六神合体ゴ○ドマーズ』ほど原作と違わないとか、なんとか言ったらしいそうね」
惠「わたしは、あれ、横山光輝の漫画『マ○ズ』を先に読んでいたから、テレビアニメ化されたと、テレビで観て、話が全く違うじゃないかと、あんまり熱心じゃなかったわ。でも世の中のアニメファンは大盛り上がりで、アニメのオリジナルキャラクターが死んだ時に葬式があったわよ。あのアニメの結末も何も知らない。『マー○』の終わり方が人類への絶望だったのに対して、アニメの方は美形キャラでキラキラしていたみたい。
それよりも『深夜のダメ恋図鑑』が秋に実写ドラマ化される方が面白そうで楽しみだわ」
都「ああ、あれね。最近四巻出たわね。まだ続いてたあって大喜びで購読した」
惠「遂に出たね、『可愛げのないことばっかり言っているから男ができないんだよ』、『好きな時はあれこれと世話を焼いて、気持ちが冷めたらさようならは勝手じゃないか』と、男の正論を言ってくる男性キャラ。
正論のようでいて、事情も知らずに横から大きな口叩くなという点が残念ポイントだけど、長く続いているなら必要になってくるキャラクターかな?」
都「そ、事情は両方から聞いてみて公平に判断するのが仲裁する人間の心得ってもの。ダメンズ諒がお友だちだからって、元カノの佐和子が諒と別れるまでの紆余曲折を知らずに、ダメンズメーカーだの、それまで家事をしていて気持ちが冷めたら家事をしないのを理由にするのは云々は、不公平すぎる。
それにしても、友人や同僚たちからもダメンズ、バカと内心思われている諒って何者なのよ」
惠「知らん。害毒を垂れ流そうとも、刑事事件を起こさない限り、制裁は加えられないから」
都「漫画の中で諒は、佐和子より給料が低い、同僚からは職場で頼りない、友人からは私生活がこんなにだらしなかったかと呆れられている。佐和子は諒から別れる、同棲解消と言われて、もう諒と上手にやっていこうとする気が失せてしまったのに、諒は別れても俺の女と思い込んでいる。
あそこまでバカを極めていると、男って、男と言う性別に生まれただけで特権があるのかと感じちゃう。まあ、フィクションだから創り上げられているといっても、女性の共感を呼んでいるのよね」
惠「世の中、男と女は、ちょっと比率が男性が多いだけで、自然には半分半分で生まれてくるはずなんだけどね。
どうしてこうなっているんでしょうね。農業を始めたことで、鉄製の重い農機具を使いこなすのに男性の腕力が必要だったからとか、女性は贈答、交換の要員だったからとか、聞きかじっています。
かなりの大昔、新聞記事で男女の雇用問題の特集記事を読んだことがあります」
都「まだ看護師の言葉が無くて、看護婦、看護士、同じようにスチュワーデス、スチュワードと呼ばれていた頃ね」
惠「病院で看護士、或いは航空会社でスチュワードを雇用すると、ほかの部署の男性と扱いを同じようにしようとすると、昇進や昇給、異動で人事部が困るという記事がありました。つまりは、女性看護師も女性客室乗務員も男性の同職から比較したから低賃金で働いているのを意味するんじゃないか、と結論が導かれます。
まあ、また昔の話ですが、不景気で、客室乗務員を新規採用しないと航空会社が発表した時期がありました。飛行機を使った出張の時、同じ便に乗っていたどっかの男性会社員が、「スチュワーデスがオバサンばかり」と抜かしておりました。スチュワーデスをなんと心得ているのかと、『深夜のダメ恋図鑑』の円のように直接言ったりしませんでしたが、腹が立ちました」
都「日本語でのホスト、ホステスの使われ方が酷いのもありますが、或る意味、水商売のホステス的に客室乗務員を見ているんだとがっかりした訳ね」
惠「プロフェッショナルとなれば経験だって財産なはずです。ブスとかデブとか馬鹿にされつつ、男女同権だからと勉強してきている女性はいます。それこそ、昔、前時代は天然痘やら、元々の顔立ちから、この娘はお嫁の貰い手が無さそうだからと親が手に職を付けさせようとしていた女性もいました。今はどんな容姿の女性だって手に職を付けたいとか、誰のお陰で食べていけるんだと、父や夫から言われたくない女性が大勢でしょう。専業主婦だって、家族を支えるプライドと、その気持ちを汲んでくれる家族がいればこそです。
未来は明るいと信じられなければ、気力を失います。
暗いと思うよりも、明るいと信じる、灯を点す、そんな導き手になれればいいですが、わたしには力がありません。そんな人にいてもらいたいです」
都「最近やっと塩野七生の『ギリシア人の物語』の三冊を全部読み終わったばかりだから、難しいこと言ってみたいのね」




