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二次試験もトップで突破。
ちなみに、二位が貴族の男で三位があのヴァイオレット・グレートだったらしい。
トップスリーに女が二人、しかも平民。これはかなりレア案件なんじゃない?
私たちは試験会場に戻り、一度服を着替えて三次試験を受ける。
二次試験の合格者は貴族と平民それぞれ百名ほどずつ。そのうちのトップ十名が第一騎士団に入ることができる。平民の騎士団の中でも第一騎士団は確実に入りたい。
最終試験で落ちる人間はほとんどいない。極稀にいるらしいけど。そんなのはレア中のレア。
もう受かったと言っても過言じゃないわ。
私たちは筆記試験を受けた試験会場で待機だった。もうすぐ日が暮れそうだ。あの訓練場を十周は意外と時間を要していたのだと気付く。
……あれだけ大きいんだもの、数時間はかかる。
それにしても、よくあのスピードでわね、私。足が棒だわ。今日はもう機敏な動きは一切できない。
「ダン・リンク!」
あ、二位だった人。
私は最終試験に行く人の名が呼ばれたのと同時に彼の方を見た。
大人しそうな男だ。グレー色の前髪が目にかかりそうだ。目立ちたくなさそうな雰囲気……。内気な人は騎士団にはあまりいない。
……この子が二位だったんだ。筆記試験の方はどうだったのかしら。
私はそんなことを思いながら、彼を見送った。
私たち平民は貴族の後に面接なのだ。何故かここだけフェアじゃない。仕方のないことだけど、一次試験と二次試験の総合点数が高い順とかにしてほしかった。
早く試験を終わらせてしまいたい。
しかも、相手は四人もいる。圧迫面接じゃない。エリザベス団長とかめっちゃ詰めてきそうだもの。
王子は忙しいという理由でエドは戻っていった。
そりゃ、彼は忙しいだろう。早く王宮に戻った方が良い。それにそもそもエドが出てきたということが未曽有の出来事だ。
国中で噂になるだろう。……普通にビッグニュースだもの。
街に戻ったら「私、王子を見たのよ! もう一生の運を使い果たしたわ!」みたいなことを言っている女がいそうだ。だが、それぐらいエドが現れたということはあり得ないことだった。
……どうして二次試験にいたのかしら?
あの仮面の男が現れて、騎士団の質を上げるべく、入団試験のハードルをもっと厳しくしようとしたとか?
自分の目で確かめるぞ! ってこと!?
いや、でも、エドってそういうタイプでもないような…………。
私の頭の中で混乱しつつも、エドに感謝をした。
今日はエドが現れてくれたおかげで、最後にペースを上げることができた。
あの時、煽られていなかったら、私は成長しないままだった。ありがとう、エド。




