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…………落ちた。
え、落ちた。落ちた落ちた落ちた。
どうして? この私が落ちたの? 嘘でしょ?
なんでなんでなんで。完璧だったはずなのに……。
物語的にここは大体「合格した!」の流れでしょ? え、本当に? 夢ってことはない?
痛い、ほっぺをつねってもちゃんと痛みを感じる。現実だわ。
私は最終試験で落とされたのだ。
試験当日。
朝早くに目が覚めて、ストレッチをする。
……ついに今日だわ。今までこういう試験を受けたことがなかったから、どんな気持ちで挑めばいいのかよく分からない。
試験会場は王宮の敷地内にある訓練場だ。
私は昨日届いた手紙に手を伸ばす。……先にリックのから読んだ方が良いかしら。
リックからもらった紙を広げた。明日の朝に読んでね、と言われた。
『ルナおねえちゃんへ ぜったいに騎士になれるよ。かわいくて、かっこよくて、諦めないルナおねえちゃんならぜったいに大丈夫。大好きだよ。 リック』
なにこれ~~!! 可愛すぎる!!
広げた紙にはつたない文字でそう書かれていた。リックなりの応援が身に染みる。私は手紙を胸に当てながら、「ありがとう」と呟く。
これで良い朝を迎えられたわ。
……今度はエドからの。
私は封筒の端を机に置いてあった小型ナイフで切る。
一方的にずっと送ってきているということは、私に手紙は届いているという事実は一応知っているはず。ずっと送ってきてくれたのに、私が一度も送り返さなかったこと根に持ってたりしないわよね……?
てか、王子相手にガン無視している私って……。
そんなことを思いながら、今度はエドからの手紙を開いた。
『明日の入試、絶対にトップで通れ。待ってるからな』
それだけだった。
私は思わず手紙の裏も確認してしまった。
これだけのために手紙を送ってきたの!?
私はまじまじと手紙を見つめた。エドなりの応援の仕方だったのだろう。
なんか……、ずるいわね、あの王子。
数ヵ月ぶりにエドに会えるかしら……。ああ、でも王子が入団試験に現れるわけないわね。再会の日はまだ先になりそうだわ。
「ルナ~、もう出るぞ! 早く来な~!」
リチャードの声が耳に響いた。
私は「は~い!」と返答して、手紙をポケットにしまって部屋を出た。
ついに今日! 私の運命が決まるわ!!




