表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は顔が良いだけ  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/95

66

 リチャード母がリチャードに私の事情を説明する。そして、ここで少し遅れてだが、リチャード母が自己紹介してくれた。名はナタリーという。

 ナタリーと呼んで、と言われたけど、夫人と呼ぼう。

 リチャードはナタリーの話を聞き終えると、私に真剣な瞳を向ける。


「そういうことなら、いくらでも止まってくれ」

「ジョルジに聞かな」

「親父のことなら大丈夫だ」


 この男、当主の許可なしに勝手に決めようとしている!?

 そんな強気でナタリーの言葉を遮っているけれど、なんだか不吉な予感しかしない。ナタリーへと視線を向ける。彼女はどこか諦めた目をしていた。

 ちょっと……、貴女の息子でしょ? 諦めるの早すぎない?


「ルナ、安心しろ。俺が必ずなんとかする」

「あ、ありがたいんだけど、私から話すわよ」


 リチャードの優しさには感謝している。けれど、リチャードがジョルジを説得するのは良くない気がする。私の印象が悪くなるというか……。むしろ、住みづらくなりそう。

 まぁ、でも二人が味方なのはすごく心強い。

 リチャードは私の返答に難しい表情を浮かべる。父親に対して良い印象を抱いていないように思えた。


「頑固親父だから……。ルナのイメージもあんまり……」


 リチャードは言いにくそうにする。

 そりゃもちろん私の良くない噂は耳に入っているだろう。

 説得するのは大変ってわけね。……大変であれば大変であるほど燃えるじゃない。戦ってやろうじゃないの。

 …………却下された時のことはまた後で考えよう。


「それでも私が話すわ」

「……なんかルナ、雰囲気変わったか?」


 流石私に好意を抱いてくれているだけのことはある。雰囲気の違いを気付いてくれるなんて!

 五年間も神界で鍛錬を積んでいたからね、とは言えないものね……。


「色々あったからね」


 そう言って、私は作り笑顔を浮かべた。

 どこか意味深な空気を漂わせておくと、より一層ミステリアス感が出て良い。


「……というか、ルナ、王宮騎士団に入団したいのか?」


 リチャードは急に険しい表情になる。

 その反応をされることはもう想定内だ。さっきもナタリーがその話をしている時に、一瞬理解していない顔をしていた。リチャードのそんな様子を無視して、ナタリーは説明しきってしまった。

 私は「そうよ」と短く答えた。

 理由は細かく伝えなくてもいいわよね……。エドの話を持ち出したらややこしくなってきちゃうし……。あ、けど、私が王宮から来たって………………。


「そういえば、どうして貴女は王宮の馬車に乗って来たの?」


 ああ、やっぱり聞かれた。

 ナタリー、なんてタイミングがいいのよ。もしかして、私の心の中でも読んでるの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ