表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Chaos Odyssey Online 〜VRMMOで魔王と呼ばれています〜  作者: 暁月ライト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

224/354

三階層の洗礼

 三階層、ボス部屋の前。そこには沢山のプレイヤー達が並んでいた。


「よし……連絡が取れたプレイヤーはこれで全員揃いましたね」


 クリア時にはレヴリスとブレイズとズカラしか残っていなかったはずのメンバーだが、レヴリスは漸く一つの作戦に思い当たったのだ。


「全員合わせて二十九人……ちょっと流石に狭そうですけど、これで絶対勝てるはずなのです」


 ここまでの流れで塔の入り口から逆に攻めてくることは無いと判断したレヴリスは、この三階層のボス部屋前で連絡の付いた塔内の仲間を全員集めることにしたのだ。

 結果、集まった人数は二十九。そして残るは三階層、四階層、五階層(屋上)の三エリアだけだ。レヴリスは揃った仲間を見て安堵の息を吐く。


「流石にこれで一安心なのです……でも、油断はしないのです」


 意気込むレヴリス。しかし、ここに至るまでのフロアボス達を知らないプレイヤー達は、痺れを切らし始めている。


「ねぇ、レヴリスちゃん。私、そろそろ退屈すぎて暴れちゃいそうだわぁ。全員集まったなら、早く行きましょう?」


「そうだ。一つの空間に仕切られ、自由を奪われた魔物程度この人数でかかれば一瞬だ。早く行くぞ」


「俺もヨォ〜、そろそろ我慢のリミットが迫っちゃってんで〜? はようしてくれんとぶった切っちまいたくなるんだよネェ〜? 幾らクランマスターでもサァ〜」


 ある女は鞭を振り回し始め、ある男は刀を握ってガタガタと震え始める。


「え、えっと……こっから、全員の自己紹介と作戦会議をしようかなって思ってたのです、けど……」


 レヴリスが恐る恐る言ってみるが、鞭の回転は速度を増し、刀はより一層震え始める。


「勝手にする分には別に良いんだがよ、俺は我慢できねえから先に行かしてもらうぜ?」


「あぁ、俺もだ。好きなだけ語ってりゃ良い」


「私も〜っ! ビビリは扉の前で震えてれば良いよ〜っ!」


 そして、遂には勝手な行動に出る者まで現れた。


「あっ、ちょっと、待つのですっ!」


 先頭の男が扉を開けて、横に男が並ぶ。その後ろから女が一人付いて来る。


「あァ? (オーク)雑魚(ゴブリン)か? しかもアンデッドの」


 証明代わりに青い炎が灯る部屋の奥にズラリと並ぶゴブリン達と、一匹のオーク。部屋の奥には頭蓋骨で飾られた悪趣味な玉座があり、数体の鎧を着たホブゴブリンはその玉座に座るゴブリンを守るように立っている。また、彼らの殆どはアンデッド化しており、虚ろな目で部屋に踏み入ろうとする彼らを見ている。


「ったく、雑魚しかいねえし、楽しょ────」


 二人の男が、同時に部屋に踏み入った。瞬間、二人の体に無数の矢と骨が突き刺さった。


「ぐ、ぅ……は……」


「し、ぬ……?」


「ひッ、ひぃッ!?」


 先に部屋に踏み入った二人の男は矢や骨に串刺しにされたまま倒れて粒子と化し、それを至近距離で見た女は腰を抜かして悲鳴をあげた。


「な、なんだ、これ……いきなり、死んだぞ」


「し、死角だ……入ってから直ぐ、部屋の外からは死角になってる左右の角から撃たれたんだ……」


「矢は分かるが、骨って何だッ!? 何のスキルだよッ!」


 取り乱す一同に、ブレイズが思わず笑う。


「ははっ、あんなにイキリ散らしてたのに、ダッサイなぁ! こんなに簡単に二人も死んじゃうなら、戦力としては数えられないなぁ、特にそこで腰を抜かしてる君とかさァ」


「ちょ、ちょっと、ブレイズさん。やめるのです。ここで仲間割れしてたらまた苦戦しちゃうだけなのですよっ!」


 同じような失敗をした自分を棚に上げ、周囲を煽るブレイズ。レヴリスが宥めるが、直接指を差された腰を抜かしている女は、顔を真っ赤にしてブレイズを睨みつけた。


「な、なんなのっ! 私は腰抜かしてないしっ! ビビって入ろうともしなかったお前には言われたくないからっ!」


「あははっ、先ず立ってから言いなよ。てかさ、良かったね? このゲームに尿意ってシステムが無くてさ。じゃないと、漏らしてたんじゃないの君? あははっ!」


「ッッッ!!!!」


 キッと殺意だけで人を殺せそうな程に睨みつける女だが、未だに立ち上がることは出来ない。


「ブレイズさんッ! そのくらいにしてくださいっ! 本当に、こっからは連携も大事なのですっ! この塔の異常さは貴方も分かってるはずなのですっ!」


「あー、はいはい。分かったよ。このくらいにしとくよ。でも、人を見下して煽っちゃうのはもう僕のサガだからさ、しょうがないんだよ」


 一ミリもしょうがなくないが、レヴリスはスルーしていつの間にか閉じていた門を見た。


「作戦会議をするのです。そして一瞬で終わらせてやるのです。異論がある人、居るのです?」


 答えは沈黙。誰一人として、手をあげるものは居なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍一巻がBKブックス様より発売中です!
html>
↑の画像から飛べるページからお買い求め頂けます!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ