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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第六章:盲信は鏖殺に帰す
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我欲の悪蛇

『ほら、答えろよ』


眼の前の大蛇は、不快げに問う……何だコレは?……ここは何処だ?


『はぁ、主の言う淀みはちゃんと喋れた筈なんだけど……君はそこまで程度が低いのかな?』


この場所から出ようとアレコレ試していると、ふと黒蛇の声が届く。


『此処は僕の〝心象世界〟…主様は〝現実の非現実〟って言ってたけど…僕自身も初めて来る……君が僕の魂に干渉したから、僕にもこの場所を知覚できた…此処の支配権は僕で、君は侵入者な訳……理解できる?』


心象世界?…現実の非現実?……意味が分からない。


『ま、良いよ、どうせ君には期待してないから……あ、でもやっぱり嘘、君に期待してることが1つ有った♪』


そう言うと、黒蛇は見てわかるほど顔を歪ませる。


『君はどんな味なのかな?』


その言葉と同時に、暗闇から蛇の顔が現れる。


『おいアジィ?』


――ドクンッ――


その時だった……声が響いた、重く、凍るような冷たい声。


『ゲッ!?な、何で主が』

『ゲッとは何だゲッとは……心象世界への介入方法は散々調べたからな、伊達や酔狂で死霊術師名乗ってない……でだ、俺の獲物を横取りした挙げ句、つまみ食いしようとした悪い子が居るらしいぞ?』

『そ、それはぁ〜……その〜……』

『喰いたいなら構わんが流石に全部は許可できんな、せめて半々だ』

『えぇ〜!?』

『お前が〝淀み〟相手に渡り合えるのは予想外だがそれとこれとは別だ』

『む〜……仕方ないな〜』

『宜しい』


眼の前の餌をそっちのけで、大蛇と男が漫才を始める……だが、二人がそう言い終えると同時に。


――キィンッ――


化物は……〝我欲の淀み〟は真っ二つに寸断された。


『『『『※※※※※!?!?』』』』

『そう言えばアジィ、お前に淀みの狩り方教えてないな』

『???……殺せば終わりじゃないの〜?』

『いんや、淀みに生命は無い、生命が無いから死は存在しない……力だけを得た魂の無い感情の塊だ』

『へ〜?』

『ソレを狩るには、俺のように、対象の力を吸い取るか、己を器にして支配権の争奪戦をしなければならない』


そう言うと半分に斬られた化物の身体に触れる男。


『支配権の争奪はちょいと時間が掛かるし、面倒だ……なので、サクッと取り込め、ただし強過ぎる相手を一気に取り込むと、残った力で逆にコッチが殺される事もある、淀みの吸収は一度では無く分割して地道にやっていけ』

『りょ〜かい!』

『宜しい……ふむ、コイツも中々悪く無い味だな?』





●○●○●○


「―――全く、アジィにも困ったものだ」


俺の獲物横取りしてくるとは……。


『個体名【アジィ】の種族が変化します』

「ん?……もう喰い終わったのか?」

『個体名【アジィ】の種族が【黒小竜蛇】から【我欲の悪蛇】に変化します』


――ズオォォォッ――


通知と同時にアジィの身体を瘴気が渦巻く……そして、繭の中で赤眼が光った。


「フフンッ、これこそ僕の新しい姿だよ!」


瘴気を啜りそれは姿を見せる、大蛇だ……体躯10mを超える大蛇が鎌首を擡げ俺を見つめ、人の言葉を話していた。


「随分とデカくなったなアジィ」

「ソレだけじゃないんだな〜…〝―――〟」


俺の声に、軽く応えると、今度は何かを唱えたのか、巨躯が姿を変える。


「ジャジャーンッ、何と〝人〟に化けられるようになったんだ〜!」


そう言い、姿を表したアジィは、黒い衣を纏った少女に変わっていた。


「へぇ、そりゃまた意外な特技を手に入れたな?」


それならコイツを街に侵入させるのも面白いか……?


「しかし、参ったな〜」

「ん〜何が〜?」

「〝淀み〟だ……天使兵装に詰められた淀み……模造の翼は枷としての役割を果たせてない、前のは本物、今のは龍の献身有ってのもの」


全員が全員世界の為と己を犠牲にする訳じゃない、残り3つに重ねて封がされた可能性は低い。


「この世界は〝異物〟に対して根本の強度が足りてない」


龍にしてもそうだ、あれ程の力を有していながら世界を新たに創りそちらで暮らしているのは、単にあの世界では龍でさえ世界崩壊の因子に成り得るからだ、龍単体ならば問題無いだろうが、龍の大多数、龍王にも成ると一気に危険性が跳ね上がる。


人が増え過ぎた影響か、人が強くなりすぎたのか、はたまた魔物と人での自浄作用に偏りができたから……」


まぁ解決策はある程度考えてる……その為には、〝一度世界を壊さなければ〟だが。


「まだもう少し掛かりそうだ………で、アジィよ」

「な〜に〜?」

「邪魔だ」

「邪魔じゃないよッ、人になったのだって初めてなんだから少しは気を使ってよ!」

「は〜……面倒臭ッ」


――ドォォォンッ――


「「ん?」」


帰りの最中、ふと轟音が響く……ふむ。


――ゾゾゾゾッ――


影を這わせ音の発信源に目を生やす……〝転移陣〟の先か……。


――ギョロッ――


「ッほぉ!」

「え?何々〜!?」


転移陣の先、その奥には……何十、いや何百、何千の人間達が居た。


「探せ!……何処かに有る筈だ!」

「龍共め、また姿を隠しおって……」


「龍狩り……討伐軍……コイツ等の兵力では傷付けるのも厳しい……いや、違うな」


兵士達の奥に見える……纏う気配の違う5人。


「ふむ……ふむ……成る程」


成る程……勇者か。


―――――――

【アカツキ】

【人間】

【光の勇者】


生命力:100000

魔力 :120000

筋力 :80000

速力 :60000

物耐 :80000

魔耐 :80000

信仰 :60000

器用 :60000

幸運 :80000


【保有能力】

〈剣術〉LV:9/10

〈体術〉LV:9/10

〈聖属性魔術〉LV:8/10

〈気配察知〉LV:6/10

〈魔力察知〉LV:6/10


【固有能力】

〈聖剣召喚〉〈覚醒〉


【保有称号】

〈召喚された勇者〉〈異世界人〉〈女神の祝福〉


―――――――


「本命はコレか……見当違いも甚だしい」


確かに他の兵とは一線を画す能力だ、が…龍を狩るには及ばない。


……ん?


(精霊と龍は盟友関係、龍は精霊の泉を守護していた……竜は寄り付かなかったはず、何故居座ったのか……龍が来ないからだ……つまり)


「龍が来なかった原因はコレか」


殺せぬまでも削る事は出来る……いや、龍が本気を出せる状況なら歯牙にもかけんが、外は龍の全力を出すには脆すぎる……〝狩ろうと思えば狩れる〟。


「………成る程」

「ピッ!?」


――ゾワッ――


つまり相手は龍を殺そうと思えば殺せる相手だと高を括ってる訳だ……成る程、成る程……。


「ブチコロスゾ」


たかが人間が碌な研鑽も積まず殺せると高を括ってる訳だ……不愉快な話だ、不愉快だ、とてもとても……。


「……っとイカンイカン……ん、悪かったなアジィ、ちとムキになった……ガレリアのとこに行こうか、丁度会議中だろう」

「う、うん……もう怒ってない?」

「……いや、悪い悪い、今度から気を付ける」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 単位を書いてくれ
[一言] たくさん更新があって嬉しいつ体調にも気遣って執筆頑張ってください!
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