歪修復―我欲―
どうも、最近フラストレーションの溜まっている泥陀羅没地です。
今直ぐにでも書きたい場面が有るのに書けないのってもどかしいですよね。
それはそうと、自己満足ながら1つゲームをしようかと。
ズバリ"一週間で何話掛けるのかゲーム"。
ルールは読んで時の如く、一週間で最新話から何話投稿出来るのか。
コレは上でも言ったように『早く書きたい場面を書きたいと言う作者の欲望』と『でも他の話も面白くないとその場面が盛り上がらないよね?』と脳内決議した結果、『じゃあ作者の投稿ペースブチ上げて面白い話大量に用意して、上手い事合わせれば良いじゃん』と脳筋理論に行き着いた結果のゲームです。
勿論投稿ペースを早くするからと話自体を雑にスカスカにするつもりは無いので……え?今も結構スカスカ……ふ、ふ〜ん(震え声)
何はともあれ作者のお遊びにお付き合い下されば幸いですm(_ _)m
「良かったのか?……部下を放っておいて」
「構わん、彼奴等では淀みに触れただけで壊れかねん、コレが最善だ……〝俺単独〟が一番対処しやすい、お前も案内したら直ぐに失せろ、流石に龍王が取り込まれると洒落にならん」
「お前が負けた場合は?」
「そりゃ世界丸ごとパリーンッよ、世界は壊れて人も龍も魔物も御陀仏だ」
「……とんだ貧乏くじだな」
――ザッ――
俺と、龍王ガレリアは会話に華を咲かせながら薄闇の地下を進んで行く……話の内容は凡そ和やかとは言えんがな。
「それでは、任せたぞ……〝アレ〟を眠らせてやれ」
「あぁ……ん?」
そう言うとガレリアは踵を返し、去って行った。
「まぁ良い、やるか」
何はともあれ、俺のやることは変わらない、喰らい溶かし、力を奪い消し去る……それだけだ。
――ブンッ――
転移陣を踏んだ、その刹那、岩の壁が先の見えない黒に変わる……いや、黒に蝕まれた空間に。
「ふぅむ、思ったよりも侵食が〝緩やか〟だな」
コレならば後1年は保つか……いや、守護者の性能を考えれば半年程か。
(しかし奇妙だな、俺が殺した〝狂気の淀み〟はコレよりも更に濃い瘴気を放っていた、龍が何か、思いもよらぬ奇術で瘴気を抑えていたのか?)
「ん、そろそろ終着か……な……?」
――カッ――
――コロコロッ――
俺の思考にへばり付いた疑問は、闇の中に〝座す〟、ソレに遮られる。
――ドクン……ドクンッ――
ソレは、〝龍の成れの果て〟だった、いや今尚生きる、驚く事に自我を保った龍の抗いの姿だった、最早五感の尽くのない、意味のない臓器が肉塊と化して脈打ち、増殖しては飲み込まれるを繰り返す、屍肉に成り掛けた龍の姿だった。
「驚いた……よもやたった一人で、淀みを抑え続けていたのか?」
天使兵装に組み込まれた淀み、枷……俺が押さえたのは〝本物〟の〝天使の翼〟故に、枷としての役割を全うした……しかし、作られた翼はあくまでも〝良くできた贋作〟、根本は0と1程違う、オリジナルから生まれた複製だ、ならば当然オリジナルとの差額程、枷としての役割も不足する。
「『何……者……ダ?』」
「ハデス、しがない悪魔だ、此処の淀みを潰しに来た……お前が誰かは聞かん、お前、天使兵装を食ったな?」
「『………ア、ぁ……アレでハ、直グに壊れル……故、喰らい、己ヲ器とした……〝闇龍〟として生まレタこノ身ハ、他の龍ヨリも器トシテ、強カッタ……』」
「お前の自己犠牲のお陰で、崩壊の足止めには成ったか……」
胸の内に宿る……〝孤独〟、〝恐れ〟、〝虚しさ〟、〝辛苦〟……そして〝誇り〟と〝献身〟……その姿は紛れもない〝勇者〟だった。
「であるならば、名も知らぬ〝勇者〟、お前の献身は無駄ではない、お前の幾百幾千年に渡る孤独の献身は、今俺が終わらせてやる、〝故に〟」
剣が模る、勇者への敬意を、憧憬を、誇りを、祝福を……〝終わりなき苦難の虚無〟を〝安寧の暗き死〟へ導く、終わりの刃を。
「〝悪装:癒死の冥鎌〟……眠り、そして休め」
――ストンッ――
龍の首を落とし、魂を回収する……すると。
――ドクンッ――
『『『『※※※※※※!?!?!?』』』』
震える、大地が、龍の骸から突き出した幾多の頭の慟哭によって、まるで漸く開放されたと言わんばかりの喝采によって。
「首は手向けだ、丁寧に埋葬してやる……だから許せ、奪われた骸は、俺が喰い殺す」
勇者が折角未来の欠片を遺したのだ、そう安々と触れさせるのは面白くない。
『『『『※※※――ッ』』』』
「喧しい」
――スパッ――
泣き喚き暴れ蠢く淀みの骸、その幾多の首を刈り取る……しかし当然、コレで終わりでは無い。
――ゴゴゴゴッ――
『――ッ!』
「――成る程」
――ブチィッ――
首から更に無数の頭が映える、腕を食い千切るその、口だけの顔は、互いに貪り合い、その頭の数を増やして行く。
「尽きぬ欲、人の上を欲し、広大な大地を欲し、渡れぬ海を欲し、無垢な空を欲し、富める金品を欲し、名声を欲し、永遠の生命を欲し……尽き果てぬ欲に塗れた、人の醜さの1つ……〝我欲〟、己の求める物の為ならば如何な犠牲も厭わぬ……実に結構」
その貪欲さは評価する……しかし。
「奪うばかりだ、奪うばかりで己の成長が無い、着飾るばかりで己を磨く事が無い、貪欲とは成長の種だ、貪欲の在り方を履き違えた愚物に俺の生命を奪えると思っているのか?」
喰い貪ろうと首を伸ばす〝淀み〟に、俺は真っ向から突き進む。
「では……クッフフフッ♪」
形が歪む、人の輪郭が歪む、人と化外の境界は混ざり消える……その変化にはさしもの淀みと言えど動揺するらしい。
「『〝お前の全てを奪ってやろう〟』」
自由も、恐れも、怒りも、飢えも、誇りも、自我も、力も尽くを奪ってやろう、その果てに抱く絶望すらも奪い取ってやる。
「『それが幾千の生を〝同胞の未来〟の為に支払った、〝献身の勇者〟への供物としよう』」
●○●○●○
――パチッ――
「キシャーッ?」
ソレは、薄闇の中で目覚めた……異端の化物の愛獣、そして賢くも欲に忠実な一匹の獣……それは微睡みの中で、不意に感じた、甘美な香りに瞳を開く。
「キシャー……シィーッ」
腹は満ちていた、たらふくに飯を食らった……なのに飢える、渇く……本能が叫ぶ。
――〝向かえ〟――
と、ソレに従い一匹の獣は大地を這い進んだ……暗き龍の地の底へ。
○●○●○●
――ブチィッ……ガツガツッ――
――ブチィッ……バリバリッ――
喰らい合う、喰らい合う幾多の頭と1つの頭が、絡み合い砕き合い、引き裂いて咀嚼して血飛沫と呪いを蒔き散らす。
『『『『※※※※※!?!?』』』』
「オイオイもう終わりかぁッ、欲の異形が満たされてどうするよ!」
多頭の化物は、未だかつて無いこの危機に感じていた……〝恐怖〟を。
後どれだけこの痛みに耐えれば良い、後どれだけ喰らえば終わる、痛みと苦しみの無限地獄、ソレを断つにはどうすれば良いのか?
喰らうしか無い、目についた片っ端を、目に入る全てを、人も、血も、肉も、骨も、土も、岩も、壁も、大地も何もかもを、そうすれば何時かは――。
――ピクッ――
瞬間、全ての感覚が察知した……眼の前の異形の奥から来る、比較するのも愚かしく思う程小さな、気配。
「キシャァ?」
「『アジィ!?…お前何してんだよッ』」
――ジュルッ――
ソレを知覚した刹那には、既にソレへ肉薄していた。
「キシャ?」
そして、ソレに食らい付――。
――ガブッ――
『何僕を取り込もうとしてるわけ?』
瞬間、眼の前には黒い、それは黒い大蛇と、先すら見通せない暗闇が広がっていた。




