守護の勇者、夜明けの悪魔⑤
今日の分の投稿は間に合ったぜ……。
どうも、泥陀羅没地です。
いや〜次の展開を書くのが楽しみですな〜♪
――ドゴンドゴンドゴンッ――
「鈍い遅い眠くなるなぁ〜!?」
「クッ……コイツッ!?」
ただ闘技場が広がったような、そんな空間で、只管に敵の……〝継ぎ接ぎの腕の群れ〟を避け続ける事凡そ数分。
「おいアーサー、お前のソレ悪魔特攻だろうが、何で攻めない?」
「はぁ!?この密度の攻撃を躱して攻めろって言うのか!?」
「何だ、出来んのか?」
そんな戯言を吐く勇者君には、一つ手本を見せてやろうか。
「仕方無い、〝Lesson 1〟だ、〝駆出しひよっこ勇者〟……〝相手の全てを見ろ〟」
「は?」
――ダンッ――
未だ迫る攻撃を前に、俺は息を吐く……〝つまらん〟。
「せめて苦痛の声でも聞かせてくれよ」
――ブツンッ――
――ズパンッ――
迫る腕を、切る、斬る、キル……脚で踏みつけ、蹴り砕き、顎を以て喰い破る、闘技場には悪魔の絶叫……実に。
「〝愉快〟よなぁ?」
劇的に減らす継ぎ接ぎの腕の、残りを踏台に、その場に立ち尽くす悪魔目掛け、剣を振るう。
――ゴンッ――
しかし、ソレは悪魔を包む、仄明るい障壁に妨げられた。
「ほぉッ、腕を伸ばして低能キメラを自慢するだけが特技では無かったか?」
「ホザケェェッ!」
「騒ぐな能無し……さぁ〝Lesson 2〟だ〝新入り勇者〟……〝衝動に従え〟」
相手が魔術障壁を展開した?……〝だから?〟
――ゴンッ――
だから何だ?
――ゴンッゴンッ――
障壁を砕けないとは誰が決めた〝理〟だ?
――ゴンッゴンッ……ザンッ――
誰が絶対と言ったのか?
――ザンザンザンザンッ――
「〝壊す〟……〝俺〟がそう決めた、ソレが答えだ、異論も反論も尽くを認めない」
――バリンッ――
「そして〝Lesson 3〟……〝己の行為を履き違えるな〟……以上で〝勇者のLesson〟を終了とする♪」
――ドゴォッ――
無防備な阿呆を蹴り飛ばす……地面を跳ねて飛んで行く姿は実に小気味よい♪。
「さぁ、自称上位悪魔のレオニスとやら、コレだけで終わりか、まだまだ遊びたらんぞ、お前が壊した祭りのツケをまだ払ってないぞ?」
「がホッ……グェッ……ギ、ギザバァッ……ギザバッ、ユルザンッ!!」
――グチグチッ――
「おぉ♪良いね良いね面白くなってきた♪」
レオニスの周囲を瘴気が包む、中々の濃さだ……ん?
「コレならお前も楽しめるだろう、行け」
「え……ぁ……は?」
「行かないのか、ならば俺が全て平らげるぞ?」
「殺す……貴様等は絶対に、この手で嬲り殺す……」
瘴気が晴れた……其処には、小綺麗な衣服を着た、頭に骨の王冠を乗せた、レオニスが居た。
「ヒュゥッ、中々良い玩具に成ったな、この〝身体〟では少し厳しいか?」
「……死ね」
――トンッ――
――ブォンッ――
レオニスが杖を突くと、大地から無数のキメラが現れる……例にも漏れず雑魚だが、その数だけはいっちょ前だった。
「1、10、100……多い多いな♪千は居そうだ♪」
「殆どスタンピードじゃないかッ!?」
「うるせぇ、お前のソレは魔物特攻だろうが、その程度で喚くな……行くぞ♪」
「ッ分かった」
二人同時に、大地を蹴り、地面スレスレを跳ぶ。
――ズパンッ…グシャッ…ブチッ…――
赤い獣は、刃で肉を裂き、頭蓋を握り潰し、心臓を踏み潰しながら。
――ザンッ……ジュゥゥッ……――
白の人は、剣を振るい、容易く首を刎ねて……その骸を塵に変える……だが。
――ゴポッ――
「ッハ♪考えたなッ!」
――パァンッ――
キメラが一瞬で破裂する……凡そ数百のキメラが……辺り一面に赤が舞い、血肉が弾丸の如く飛翔し、二人の血肉を抉る……そして。
「死ね」
「ゲッ!?」
「カインッ――!?」
――ズプンッ――
刹那に、背後に回った悪魔が、男の喉を槍で貫いた。
――ゴリュッ――
「カァッ……ヒッヒャッ♪」
「―何ッ!?」
常人ならば、既に戦える状態では無かった……だと言うのに、その男は、まるで気にしないと言うように、首を捻り、背後の男を睥睨する。
――ブチブチブチッ――
己の肉を千切りながら、レオニスの腹へ蹴りを入れ、槍を抉り抜いた。
「ゲホッ……ブッ……あ〜痛え痛え……やっぱりコレじゃちょいと力不足か〜?」
――ベチャッ――
「仕方ねぇ、仕方ねぇなぁ……本当は決勝で種明かししたかったが仕方無い……」
「カイン……君は何を言ってるんだ?」
「あぁ?……何だアーサー……此処まで来てまだ分からんのか?……〝コレで分かるかな?アーサー君〟」
「ッ!?その声――ッ!?」
「お前……人間かッ!?……何故その身体で動けるッ……」
「イヤイヤ、イヤイヤイヤッ……お前目ェッ付いてんのか?……〝違う〟に決まってるだろ?」
俺を挟む様に睨む二人を見ながら、俺は笑う……いやホント。
「皮が人でも、中まで人とは限らないだろうに、甘いと言うか、温いと言うか……クッカッカッ♪」
――カチャッ――
「で?……お前はもうソレだけしか無いのか?……ならもう壊すが」
「――ッほざけ、死に体のお前がこの俺を――」
「あっそ……まぁ構わんさ、メインディッシュはまだ先だ……〝フェイディア〟……〝起きろ〟」
――ドクンッ――
「始まりの〝罪科〟の贄にはやはり始まりの〝悪人〟が相応しいだろう?……〝儀唱解放〟開始」
――ドクンッ――
「〝偽りの教典、淫蕩と堕落の街、富める愚王、飢える貧者、神の怒り、邪婬の踊り子、子等への救済、破約の塩柱、滅びし炎、焼け爛れる硫黄〟」
●○●○●○
――ドクンッ――
それ等は、その光景に目を背ける事は出来なかった……悍ましい気配を漂わせながら、恐ろしい呪詛に心を支配されていながら、言葉を紡ぐ、その〝化物〟の美しさに目を奪われていた。
「ッ――!」
――ゾワッ――
その悪寒に、正気に戻ったレオニスが、苦し紛れに放った、継ぎ接ぎの腕は、瘴気から現れた腕に握り潰され、血しぶきを上げ。
「させるかッ!」
勇者アーサーの放った白き聖撃は混じり合うように弾かれる。
「……〝我は見た、滅びし都、空より来る眩き星を、最も気高き神の子、最も優れた天の長……〈欲望を抱きし者〉、〈神へ手を伸ばした背徳者〉〟を」
――ドクンッ――
ソレは詠い、手を掲げる、そして、黒いとても悍ましい短剣を、己の心臓に突き刺した。
――ドクンッッ――
「〝天の翼〟解放……〝反天、堕天〟……クハッハ♪」
――サァァァッ――
――ガコンッ――
瘴気の渦より、白い長髪が靡く、瞳は赤に染まり、その口には牙を生やし、身体中を黒い刺青で覆った男が。
「〝明日の子、ルシファーよ如何にして天より堕ちしや〟……何てなァ?」
その高圧的な力の塊に、その恐ろしい力の奔流に、清らかさを帯びた黒い魔力に、二人が立ち尽くす。
「ルシファー……〝ルシファー〟だと……?…貴様、ソレがどういう意味か分かってるのか?」
「あ?……あぁ、お前〝傲慢〟のとこのか……そういや、彼奴等も中々強かったな……うん」
――ヌッ――
「今度殺しに行くか」
「――ッ!速ッ」
――ブシャァッ――
瞬間、レオニスの目前に迫ったハデス……だが、その瞬間に、反射的に構えた腕毎、ハデスの〝槍〟が腹を貫く。
「グォッ…ォォォッ……これしきで」
――ボロッ――
「……は、ぁ?」
「堕天とは言え、曲がりなりにも天使だぞ?……当然〝聖属性〟には適応してるよ」
――ヒュンッ――
「――ッ!?」
「ほら逃げろ逃げろ、這い回り、のた打ち回り、必死になぁ♪」
――ドゴンッ――
――ドゴンッ――
大地を砕き、槍が襲う……最早それは戦いとは呼べず、称するならば……そう、〝蹂躙〟の様に、悪辣で、残酷な劇へ変わっていた。
――ブチィッ――
「い、ギィィッ!?」
「あ〜らら、捕まった止まった……じゃあもう良いかなぁ?」
「ま、待てッ、分かった……もうお前達に手は出さないッ――ッギァァッ!?」
――ザクッ――
「……ケハッ♪」
「や、止めろ、話を」
――ザクザクッ――
「ケヒャヒャッ♪」
「止め、止めろ……止めてくれ、たす、助けて――」
――ザクザクザクザクッ――
「――♪」
「た………て……」
――ジュゥゥッ――
「アッハッハハッハッ――ッ♪……いや良い、流石上位悪魔、良い魂をしている……ッ♪」
――ガプッ――
「ン〜……うん、美味い……下位悪魔よりも遥かに美味いな…………さて、それじゃあ――」
――ミシミシミシミシッ――
瞬間、大気が震える、黒い結界が揺れ、軋み、悲鳴を上げる。
「メインディッシュを戴こう♪」
――ビキッ……バリンッ――
「『今だッ――』」
――ドォォォンッ――
「クハッ♪、面白いッ♪」
――ギィィンッ――
槍と交差する、刀が、盾が、剣が、ナイフが……たった一匹の化物目掛け、幾多の凶器が迫る。
「カカッ♪久しいのうハデス!」
「……あぁそうか、あの結界の作り手はプロフェスか……外から中を覗いてた訳だな」
「御名答だハデス……〝土の足枷〟」
――……ッ……――
「カイン…ハデス?……遊ぼ」
「あぁ、構わんとも〝愛しき人〟」
「貴ッ様ァァァッ!?!?」
「五月蝿いぞ三郎丸」
「お祖父ちゃん、五月蝿い」
――ギィンッ、ギィンッ――
――ギンギンギンギンッ――
――ギギギギギッ――
槍と刀が、高速で鳴り合う、ソレは数秒で目にも止まらぬ速さへ至る。
「……楽しい」
「俺もだ♪……しかし、悪いなニノ」
「???――ッ!」
――ガチャンッ――
剣戟を一転、ニノへ火縄銃を突き付けるハデス。
「戦場は何でも有りだ」
「……むぅ」
「そう拗ねるなよ」
苦笑しながら、ハデスは銃口を〝彼方〟へ向ける。
『ッ!』
「♪」
――ガシャンッ――
――ズドォンッ――
銃声が響く、ソレは同時に、彼方から戦場を見ていた、1人の男の頭を貫き砕いた。
「先ず1人……そして」
「ダッシャァァァッ!!!」
「次は〝処刑の主従〟か」
上から降り注ぐ重量の塊を受け止め、笑むハデス……其処には黒い刃の鎧を纏った男が居た。
「『判定……罪科……〝無し〟……ッ!?』」
「そらそうだ、〝獣〟を〝人の法〟では裁けんよ」
「グォォォッ!!!」
「重いなッ!?」
――ギギギッ――
「ハデス!!!」
「お前かクオン……ふむ、他にも来たな……コレはちと厳しいか?……なら」
――ゴォォンッ――
鐘の音と共に、闘技場を包む様に魔導陣が現れる、そして、其処からは。
――ズズズッ――
無数の、屍肉の武器が現れる。
「『千屍:肉裂き骨裂き屍豪雨』」
「ッ――!」
――ドドドドドッ――
一面に土埃が襲う……骨の拉げる音、肉の潰える音が耳に残る……そして、その後の、砂埃の後には。
「『聖盾:守護女神の大盾』」
彼等を守るように、空へ向けて翳された白銀の大盾が有った。
「アーサーか」
「ハデスッ!」
聖剣と黒白の槍が打ち鳴らされる、だが。
「アーサー、邪魔」
「お前ではキツかろう」
「ッ!……助かります」
――ギィンッ――
「お祖父ちゃん、私が」
「いやいや日乃、此処はお祖父ちゃんに譲ってくれんかのう?」
「いや、纏めて切り刻む♪」
「「ハッハッハッ♪」」
「……♪」
――ギギギギギギッ――
最早音とも分からぬ、ただ連続で絶え間なく、高速で鳴り響く鉄の擦れる音……二人の鬼と1人の天魔、その勝負は――ッ。
――ザザザッ――
「「ッ浅い」」
「何処がだよ、糞痛え」
二人の剣鬼が、天魔の腕を切り飛ばして勝利した。
――ピキッ――
「あぁ?……マジか、もう終わりか?……」
途端、ハデスの肩から亀裂が奔る……その先から塵が溢れ始める。
「力落とした〝分体〟だもんなぁ……そりゃ耐えきれん、もう少し粘れると思ったがなぁ……残念だ、さて」
――ドゥゥンッ――
ハデスはそう言うと、持っていた槍を空へ投げる、すると。
『ッ!?』
「悪役は悪役らしく、最後の悪足搔きを見せてやるかねぇ?……〝堕ちし明けの明星〟……本日の天気は晴れ時々隕石だ♪」
槍は光を放ちながら霧散した……それと同時に、眩い光が、莫大な魔力を以て空より落ちてくる。
「精々頑張れよ〝アーサー〟、街が壊れてほしくないならな♪……クッ♪」
――ピキンッ――
それだけを言い残すと、ハデスは塵となって消えた。
空に煌々と輝く、破滅の星を残して。
○●○●○●
――パチンッ――
「……フフフッ、フハッハハッ♪」
『『『???』』』
屍の城で、分体から戻ったソレは、目覚め……笑った。
――ガタッ……ガタガタガタッ――
「フヒャヒャヒャヒャッ♪」
『「あ、あの主……?」』
微笑った。
――グチャッ、グポンッ――
「『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ』」
『『『ッ!?』』』
ワラッタ……ソレは楽しい事を見つけたような、思い付いたような、愉快さに心震わせる童の様に。
「『ヒャヒャヒャヒャヒャッ――ッあぁ……済まない、少し、〝愉しくて〟な……ベクター……俺は一度寝る……旅支度だけしておいてくれ』」
「了解致しました……我が主」
●○●○●○
「どうするアーサー君、あの置き土産……流石にあの規模は私でも厳しいよ」
「着弾まで後5分……規模は街全域と来た……〝プレイヤー〟じゃないだろうアレ?」
「「今更ですね」」
ファウストに集結した、数十人のトッププレイヤー達は、空を見上げて苦々しく呟く。
「今からじゃ対抗兵器も造れねぇ、有り合わせで何とかするしかねぇぞッ」
「無茶言うなッ、こんなもん確定負けイベじゃねーか!?」
終いには口論に発展するばかり……そんな中、1人の声が喧騒を貫く。
「手は有ると思いますよ」
『ッ!?』
「そ、その声はリーアちゃんッ!?」
「詳しく聴きたいね?」
数多のプレイヤーを押し退けて、1人の少女……いや、今や悪魔の契によって人を辞めた、〝魔女〟、リーアが歩を進め、アーサー達の前に現れる。
「君はこの窮地を乗り越えられる手が有ると言ったが、根拠は?」
プロフェスが興味深げにリーアに問うと、リーアはアーサーを見て応える。
「あの人は、悪魔だけど、決して無茶な事は強要しません……そして、最後に貴方へ向けて、〝頑張れ〟と言ったじゃないですか」
「……それだけ?…ただの皮肉に、そんな意味が込められてると?」
「えぇ、あの人は貴方達守護者全員では無く、アーサーさん、貴方1人に向けてそう言いました……つまり、この状況を、貴方なら打破できると考えている筈です……あの人の事を、深く知る事は難しいですが、これだけは分かります」
その、何の根拠もない自身に溢れた発言に、皆がアーサーを見る。
「僕が……打開策?……」
アーサーはその言葉に、動揺を隠せないでいた、そうだろう、かつて彼の顔に泥を塗った天敵が、今やこの数ヶ月で彼の遥か上に居る、そんな化物が、こんな大きな爆弾を、己に処理させようとしているなど、有り得ないとすら思っていた。
「……馬鹿な」
守護者最強、だがソレは、世界から見れば極小さな、一つの頂きに過ぎない、そんな男に、あの怪物は何を求めるのか?
『相手の全てを見ろ』
『衝動に従え』
『己の行為を履き違えるな』
あの化け物は、人ではない、人の形をした、人の魂をした怪物だ、人殺しに躊躇せず、善悪すら踏み倒し、ただ己の愉悦に生き――。
「――ッ!?……馬鹿な……〝そういう事〟かッ!?」
「ッ何か分かったのか!」
「彼奴……ハデス……ハデスは、僕に〝聖剣〟の力を引き出せと言っているんだと思います」
『ッ!?』
「この短期間で!?……不可能だろうッ!?」
「……この窮地に、土壇場で、ぶっつけ本番で、技を成功させろたぁ、コレまた荒療治な」
「面白、そう」
『……』
「出来ますね?」
「やるしかないでしょう」
――ブワッ――
アーサーの身体から、魔力が奔る、ソレは聖剣を伝い、更に聖剣から魔力が増幅する。
(相手は隕石……莫大な魔力の塊……生半可な出力では壊しきれない)
――カラカラカラッ――
(求められるのは破壊力と簡単に壊れない硬さ……)
――カラカラカラッ――
(あの化物に、決してこの街を壊させやしない……)
――カラカラカラッ!――
(誰が為で無く、僕が、ソレを認めない――ッ!)
――ギィンッ――
「『聖剣解放……〝聖槍〟』」
天より飛翔する、あの破壊の塊が神の怒りと言うのならば、僕がソレを〝背負おう〟。
「『〝聖人を穿つ銀破槍〟』」
――ガシッ――
――ザリッ――
「〝穿て〟」
――ギュンッ――
空を、聖剣が昇り、星が墜ちる……黒き悪の星と白き善の槍が、その合間にてぶつかる。
――ドッ!――
隕石は槍を無視して墜ちる……だが、その時。
――ピキッ――
槍が沈んだ……、それと同時に亀裂が奔る。
――ドォォォンッ!!!――
そして爆ぜた、木っ端微塵に、礫を散らして……それと同時に、聖槍は霧散し、アーサーの元へ還る。
「ありがとう……■■■……暫く休んでくれ」
その瞬間、街から歓声が上がった。




