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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第五章:堕天の悪魔と守護の勇者
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月夜の出会い、悪魔と双月の銀狼

『龍の国……ですか……』

「そーそー、ちょいと神さんに頼まれ事で龍の所に行きたいんだわ、場所知ってる?」

『アンタ今サラッととんでもない事言ったわね!?』

『よもや神の知己とは…』

『凄ーいねー?』

「偶々だ偶々……で、分かる?」


現在精霊の国の城内にて、精霊の長達と茶を飲みながら龍の居場所を集めていた。


『……無論知っておりますが……何故?』

「其処の〝淀み〟を処理する」

『『『ッ!?』』』

『……何処で……いや、神からの依頼ですか?』

「おう、面白そうだから受けた、既に一個は処理してるぞ?なし崩しだがな」


俺の発言に更に驚嘆を見せる四人……やはり精霊は驚かせると良い反応をする、いやそれよりも情報をだな……。


「知ってるなら教えてくれ」

『……分かりました、コチラを御使い下さい』

「地図か……成る程、北西に有る渓谷の中に入口が有るのね」

『はい、淀みを処理するならば〝龍王〟と縁を繋ぐのが良いでしょう』

「ん〜……まぁ、そうだな、序だ、新しい能力を試すのにも丁度良いか」


龍……竜の上位種、是非とも見てみたい、あわよくば……。


『……お勧めはしませんよ』

「……なんの事カナ?」



なにはともあれ、こうして龍の住処の情報は手に入ったのだった。






〜〜〜〜〜



「―――ッと言うわけでさっさと殴り込みに行きたいんだけど、遠いのよね」


イベント開始まで一週間の現状、既に予約済ませてるから、あまり遠くに行きすぎると闘技大会に間に合わん。


「闘技大会が終わったくらいにセレーネ達も肉体戻るだろうし……その後かなぁ」


どうせなら全員連れて行くか、久し振りに彼奴等の実力を試してみよう……ん?


「……う〜ん、フェイちゃんフェイちゃん、アレ何だと思う?」

『……遂にボケたか?』

「叩き割るぞお前……しかし妙だなも?この辺りに〝不浄〟の溜まり場は無いんだなも?」


大体俺が吸ってるし、〝悪霊(レイス)〟も態々作ったりはしてないし……野良だよな?


『『『――ッ!!!』』』

「妙なのだ、こいつ等悪霊の癖に〝悪意〟が無いなのだ?」

『その話し方は何なのだ?』

「……お前流石にその語尾は無いわ〜」

『……』

「……ッとまぁ、そんな馬鹿みたいな冗談は宇宙の彼方に置いてくとしてだ……ハロー、こんな良い月の夜に何してるんだ?この辺に人は居ない――ッ!」


『『『――ッ!!!』』』


俺が声を掛けた瞬間、悪霊共が震える……と同時に地面を枝が這う。


ツ イ テ キ テ


ア ノ コ タ チ


シ ヌ


「着いてきて、あの子達、死ぬ……その餓鬼共を助けてくれと?」


ソ ウ


「随分と珍妙な悪霊共だ……人への恨み辛みでは無く、〝憐憫〟と〝優しさ〟を持った個体……滅多にでは無い、異常とも言える……フフフッ♪」


悪霊共を此処まで言わせるその子達とは何者だろうか?


「オーケー、案内しろ、急げよ?」

『『『――ッ!!!』』』


俺の言葉と同時に悪霊共が踵を返す……物理法則を無視した速さで。


「……随分と必死だな」


俄然気になって来た。

















○●○●○●


昔、と言ってもそれ程昔で無い話、人の世の人の村は、一匹の狼に襲われていました。


銀の毛を持つ、赤い眼を持つ獰猛な狼に……時に人を喰らい、時に戯れに殺し、人々は恐怖し、祈りながら暮らしていました。


そんなある時、1人の女性を狼は襲った……食らうでは無く、己の子を作る為に……その女性は狼の子を宿した……そして、それから凡そ1年の月日が経ち、村に忌まわしき狼の子が産まれた……人の世で忌み子として扱われる双子として。


忌まわしい、恐ろしい化物の、それも忌み子の双子、村人達は殺せと叫んだ、誰にも愛されない双子を、村の子も、大人も、老人も、母でさえ、その村には双子を愛する者は居なかった……しかし、殺さなかった、否、殺せなかった。


殺そうとした者は皆例外無く腕を奪われ、脚を奪われた……銀の狼の。その影を見て……夜月に響く遠吠えを聴き、村は双子に手を出すことは出来なくなった。



しかし、何時しか銀の狼は姿を消した、遠吠えも消えた……死んだのか、どうなのか誰もわからない、双子を殺せと叫ぶ者も、銀狼が生きていた時の報復を恐れ、双子を、村の離れに有る、洞窟の牢へ押し込めた。


土の牢は冷たく、童の身を凍えさせ、飯は与えられず、飢えを凌ぐ為に己の身を削り合い、時に現れる村人の暴力に双子は晒された。


愛を与えられぬ悲しさに、飢えを凌ぐ為に己を食い合うその辛さに、ただ産まれただけに受けたこの酷い仕打ちを、双子の悲しみに引き寄せられた彼等は目にし、思った。


『酷く憐れだ』と

『このままでは死んでも死にきれまい』と


か弱い念で水を微かに運び、か弱い念で虫を殺し、少しでも長く生き永らえさせ、そして、少しでも早く、あの子達を救う救世主を見つけなければと、悪霊で在った者達は陽の光に晒されながらも彷徨っていた。




●○●○●○


「ボロ雑巾みたいだな」


俺は眼の前の光景にそう零す、鎖に繋がれた童を、両手足を失った童達を、寄り合い、涙を流し、微かな荒い息を吐くその二人を見て。


「耳も削がれ、目も潰され、最早死体に成りかけて居る……凄まじい執念と悪意だな」


気に入らないなァ。


「たかが人の分際で悪魔の領分に入ろう等、不敬だろう、不遜だろう?」


絶望は〝(悪魔)〟の糧で有る、恐怖は〝(悪魔)〟の食事である、殺意は〝(悪魔)〟の物であろう?高々人間の分際で、その域に手を伸ばした、悪魔に成ろうとしたその不遜、その高慢、その罪科を。


「支払わせねばなァ?」


瘴気を食らう、この場に溜まりに溜まった、悍ましく、不味い瘴気を……そして、俺は二人の童へ近寄る。


「憐れな小僧、愛されぬ幼狼、お前達は俺へ新たな余興を与えた……〝対価と代償〟……〝悪魔の法〟に法り、貴様等に対価を与えよう」


――ピタッ――


「「――ッ!?!?」」

「……喉も潰されたのか、まぁ良い……少し痛むが安心しろ、治してやる」


生憎と治癒魔術は扱えんのでな、半分死んだ身体なら、俺の力で生やせるだろう……痛むがな。


「序だ、こいつ等は俺の〝所有物〟と成る、どうせなら見てきたお前等がこいつ等を護ってやれ」


腕を伸ばし、同時に死霊達に術を行使する。


「「――ッ!?!?」」

『『『『『『――ッ!!!!』』』』』』


「ま、そうでなくとも磨くがな」


―――――――――

【無し】LV:0(衰弱状態)

銀魔の幼狼シルバー・ベビー・フェンリル


生命力:1000

魔力 :800

筋力 :600

速力 :800

物耐 :1500

魔耐 :800

信仰 :500

器用 :400

幸運 :200


【保有能力】

〈五感強化〉LV:5(制限)

〈気配探知〉LV:5(使用不可)

〈魔力探知〉LV:4

〈苦痛耐性〉LV:6


【保有称号】

〈被虐者〉〈忌み子〉


―――――――

―――――――

【無し】LV:0(衰弱状態)

【銀魔の幼狼】


生命力:1000

魔力 :800

筋力 :600

速力 :800

物耐 :1500

魔耐 :800

信仰 :500

器用 :400

幸運 :250


【保有能力】

〈五感強化〉LV:5(制限)

〈気配探知〉LV:5(使用不可)

〈魔力探知〉LV:4

〈苦痛耐性〉LV:6


【保有称号】

〈被虐者〉〈忌み子〉

―――――――


「此方は終わったな……で、お前等の方は?」

『問題無いです、我が王よ』

『我等の願いを叶えて頂き感謝致します』

『我が魂砕けても、貴方に仕えましょう』


半透明の剣と鎧を纏った六人に目を向ける。


――――――

【無し】LV:25

従護の霊騎士レイス・ガーディアン・ナイト


生命力:6000

魔力 :8000

筋力 :4000

速力 :6000

物耐 :―

魔耐 :3000

信仰 :3000

器用 :5000

幸運 :2000


【保有能力】

〈物理無効〉LV:MAX

〈魔力探知〉LV:5

〈気配探知〉LV:5

〈剣術〉LV:5

〈無属性魔術〉LV:3

〈聖属性脆弱〉LV:8


【保有称号】

〈ハデスの眷属〉


――――――



「んなもんどうでも良いわ、それよりコイツ等見とけ、痛みで気絶してる、後で戻って来る」

『何方へ?』

「決まってんだろ、〝無謀者〟共のお仕置きだよ」



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