破滅の砂時計
体調悪過ぎて昨日投稿出来なかった(´・ω・`)
皆さんすいませんm(_ _)m
「おぉ、ようやっと来おったかッ!」
「お久しぶりです、個体名ハデス、どうぞお座り下さい」
「………」
俺は、一面に広がる花畑と、其処に建てられた茶会場に居る〝二人〟を見て、何とも言えぬ気持ちになる。
「何じゃその顔は?絶世の美女である我等がこうして迎えていると言うのに、随分と暗い顔じゃのう?」
「いや、お前等……新しく手に入れた力を試そうとウキウキで戻ったら此処に拉致られたんだぞ?こんな顔にもなるわ」
「その力の事で話があるので、こうして呼んだのです」
「………成る程、聞くだけ聞くわ」
「それよりお主!早く菓子を出せ!」
「私はケーキを」
「……何で呼ばれた側が用意しねぇといけねぇんだよ」
俺は渋々作った菓子の山を置く……時間の概念が無いインベントリって凄え便利。
――カチャッ――
「で、話って何だ?」
「ムゴゴッ、ムググッムゴーッ!」
「……オーケー、食ってから話せ」
「……私が説明します」
「おう、その前にホレ、クリーム付いてんぞ」
ケーキのクリームを頬に付けたノアはハンカチで拭い、紅茶を一口飲んで、話を始めた。
「貴方が手に入れた力、貴方はそれが何か分かっていますか?」
「さぁな、調べるつもりだったがここに来たからな……一応知ってるのは〝淀み〟とか言う、瘴気より濃い人の怨念?意思の残留の塊で、実体のない、意思だけって所だな」
「確かに、淀みはその性質を含んでいますが、ソレはあくまでも表面的な物、〝淀み〟とはつまり――」
「本来この〝世界〟に存在してはならない〝歪み〟じゃな」
「……〝天使の翼〟の複製実験の産物か?」
「………察しが良いですね、本来ならばこういった情報の提供は認められませんが、そこまで理解しているならばお答えしましょう……かつて、大陸全土を支配していた〝旧帝国〟、今とそして前時代、その前の時代の話です」
「ふぅむ、前時代とは思っていたが更に前の物か……それで?」
「その国は、膨大な技術力と知識を持っていました……魔術と、貴方方の様な〝科学技術〟を、ソレを広めた5人の〝賢者〟と、ソレを従える〝賢王〟の治める国、その国は末端ながらも、世界のバランスを知ることが出来ました、人と魔物、その両者のバランスが偏りすぎると、滅びの芽が生まれることを知った……賢王はその調整を買って出、世界のバランスは常に均一に保たれていました……そんな彼に、私と、アーリー、そして善の神は、祝福を与え、世界は平穏に廻っていました……」
ノアは無表情の中にかつての〝友〟との懐かしい記憶を移していた。
「しかし、〝彼〟が死に、新たな者が王へ就いた時、国は仄暗い狂気の道を進み始めた、その男は、とある天使が彼の、世界の為にと遺していた己の片翼の、その力を欲した……己の欲の為に、そして天使の翼を研究させ、幾万の犠牲を生み出した、その研究を元に、〝魂〟への干渉、〝不老不死〟の研究を始め……五つの〝兵器〟を創り始めた」
「天使兵装もその一つか」
「えぇ、その通りです……そして、その研究は〝歪み〟を世に産み落とした……世界の概念を捻じ曲げようとするその歪みは、〝淀み〟として彼等が利用していた、廃棄所へ産み落とされた……ですが、その歪みすら、彼等は取り込もうとした……ソレの持つ、見えない〝悪意〟を見ずに」
「結果、その〝淀み〟と複製された〝天使の翼〟を組み込んだ兵器は暴走、国を滅ぼしたッて所か?」
「はい、そしてその兵器達は天使、そして地上の精霊と龍によって封印され、今の今まで活性化する事は無かったのです」
「元々溜まり過ぎた淀みを薄めるために世界を経由して魔物に少量ずつ流していたのだが……」
「貴方方の到来、そしてさらなる召喚により、その歪みが広がり、〝淀み〟な崩壊のキッカケへ変貌しました……」
そこまで話し終えると、ノアとアーリーは俺を見、そして告げる。
「貴方へ〝依頼〟します、世界の崩壊の可能性である〝淀み〟を吸収し、消滅させて下さい」
―――――――――
神級クエスト
『崩壊の砂時計』
世界各地に散りばめられた崩壊の種、〝淀み〟を吸収し、消滅させよ
報酬:???
――――――――
「ふむ……報酬は?」
「今はまだ、貴方が知るのは難しいでしょう」
「オーケー、淀みの位置は?」
「現時点で分かっているのは〝龍達の国〟、"天に近い場所〟、〝世界樹が根を張る湖〟、〝奈落へ繋がる道〟……何れもこの大陸の〝何処か〟に存在する天使兵装の場所です……残念な事に、コレ以上は人への過干渉となりますので答えられません」
「了解、自分で謎解きしろって事ね、そう言うのは大好きだ、序に一個は手掛かり有るしな」
さ、話も終わったしそろそろ行くか。
――フワッ――
「むぅ、もう行くのか?」
「あぁ、ちょいと魔剣の新しい力を見ておきたい」
「時間を取らせました、しかし〝ハデス〟、留意して下さい…〝淀み〟は世界の歪みから生まれます」
「……成る程、オーケー理解した、じゃあな〝ノア〟、〝アーリー〟……暇な時は茶会でもしようか」
アーリー達と別れ、俺はその世界から消えた。
「しかし、中々驚いたのう」
「えぇ、彼の思考能力には本当に驚かされます、彼ならばきっと淀みも問題無く対処出来るでしょう」
「ん?……いや、違うぞノアよ」
「?……どういう事ですかアーリー?」
「いやだってお主、〝ハデス〟と呼んでいたろう、何時もは〝個体名ハデス〟と言っていたのにどういう風に吹き回しかのう?」
「む……そう言えばそうですね……何故でしょう?」
――ビシッ、ビシッ――
「ふぅッ、戻ってこれ――痛ッ!痛ッ!?な、何だお前等!?」
『『『―――!!!』』』
「シャーッ!」
ログインして早々、セレーネ、グルーヴ、タラトの繭から鞭のような触手で叩かれる俺がいた、何故なのか。




