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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第四章:狂い堕ちるは堕天の穢れ
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滅び埋もれた遺跡

――グチュグチュッ……――


死骸が有った……頭の無い、地面に血肉を撒き散らした死骸が。


――ゴポッ…ゴポッ――


散らかった肉が影に沈む……その血液は首へ還り、吸い尽くすと頭が生え始める。


「『……相変わらず魔力が阻害されている……身体の再編に5分近く掛けてしまった…』……全く、ワクワクするなぁ?」


頭を軽く触れ、俺は其処から見える〝近未来的〟な建造物の成れの果てを見下ろす……。


「コンクリート……現時代は木造か石レンガが主流、コンクリート製は見た事ないな……〝遺跡〟か?」


それも今よりも遥かに栄えた……前時代は、かなり高度な社会で在ったらしい。


「この魔力障害もその類か……中々面白いな」


興味が湧く……どうやって体内の魔力を阻害しているのか。


「……ふむ、体外へ放出するタイプの術は行使出来ない、死霊術の肉体改造も同様、魔力察知はほぼ不可能、気配察知は……んん?」


――カシャンッ……カシャンッ……――


気配はない……〝生物()〟に非ず……〝不死(同胞)〟に非ず……だが、数は多い、一、二、三……十人規模だ、生物でも死者でもない、〝非生物〟……つまりは――。


――ガシャンッ――


『………』

「ビンゴ、〝魔動機(ゴーレム)〟タイプの魔法生物か」


現れるは鉄の鎧……いや、それよりも更に〝戦闘〟に特化した、モビルスーツの様な物を纏った…しかし随分と劣化した機械兵達。


「魔力のコストが馬鹿みたいに上がっている手前、何時もの様に変幻自在にとは行かないが……さて」


この不利的戦場、以下にして覆し、あわよくば魔力阻害のカラクリを見つけるか……。


「……差し当たって――」


――ドッ――


「先ずは何の強化もない筋力で」


――ドシャァンッ――


殴る、ただ純粋な肉体の膂力で……その一撃を受けた魔動機は木端微塵に砕け散った。


「ふむ……経年劣化による耐久性低下か、それとも無関係か、何れにしろお前達程度なら容易に砕け――」


――バシュンッ――


「……ほぉ?」


砕けた魔動機が健常な魔動機に取り込まれる……より正確には魔動機の〝核〝〟をだが、その後に起きた現象は、俺の目を惹いた。


「お前のそれは〝魔術〟か?」


魔動機共の身体に、光の線が走る……ソレは魔術に良く似ていた。


「何も起きない、つまりは自分の強化系か或いは障壁か?」


――ズドンッ――


「ありがとう、コレで"障壁"と分かった」


迫る魔動機の攻撃を躱し、殴り飛ばす……だが、ソレは硬い何かに沈む様な感覚と共に、宙に留まった。


「ふむ…興味が湧いた、気になるな、お前のソレは間違い無く魔術だ、魔力を用いた術理で有ると分かる……しかし俺は体外で魔術を行使出来ない……となれば、このエリア全域に体外での魔力の妨害が起きているのか……しかし、体内の魔力阻害の原因が分からない……結論を言えば…そうだな」


――ガシッ――


「お前を〝解体(バラ)〟せば分かるやも知れん」


魔術障壁を何度も殴る、何度も何度も……魔力障壁の破り方は単純、障壁の強度を超える攻撃を加えれば良い、更に言えば障壁の術式を無力化する事だが。


――バリンッ――


「此方のほうが手っ取り早い」


――ガシッ――


魔動機の首を掴む……相手の強度はさっきので分かった……俺の筋力で破壊可能だ。


――ギチギチギチッ――


「フェイディア、どうだ?」

『……駄目だな、私も魔力を阻害されている』

「ふ〜ん……成る程、後はコイツをブチ壊して――」


――バキンッ――


「調べてしまうか」


首を捻り折った、魔動機を地面に投げ捨てる。


「その前にゴミ処――いや、サンプル回収と行こうか」



折角複数体来てくれたんだ、今後の為に是非迎え入れよう♪






〜〜〜〜〜



――ピピッ――


『報告、〝標的〟の捕獲に失敗、捕縛部隊は壊滅、戦闘データ送信済み、標的のデータを修正、魔力量…〝S〟……魂魄強度……〝SS〟……捕縛難易度……〝SS〟……戦闘データ解析の結果、当個体は〝死霊術〟に由来する能力を保持、しかし、その性質は記録に存在する死霊術と一致しません』

『何トッ、ソレハ尚ノ事素晴ラシイ』

『捕縛用魔動部隊では対象の確保は不可能と判断、対敵殲滅用魔動部隊の投入を提案』

『フム……マァ良イ、器ガ壊レナケレバ生キテイヨウガ死ンデイヨウガ構ワン』



〜〜〜〜〜〜



「良し、成る程?」

『何か分かったのか?主よ』

「おう、このエリアで魔術が使えない理由は分かった……〝有機生命〟を対象にした魔力妨害だ」

『……成る程、そういう事か』

「人に有って魔動機に無い物…〝魂〟に影響する魔力妨害だと思うぞ?」

『では結局此処では魔術が使えないのか?』

「其処何だよなぁ……魂をどう抑制したのかが分からん……情報が少ない、取り敢えず暫くの間は使えない事だけ頭に入れろ」

『承知した』

「今出来るのは内側からの肉体修復、肉弾戦、目標だが……この遺跡の利用用途とこの魔力妨害を起こしているだろう〝装置〟の停止だ」

『何故装置が有ると分かる?』

「このエリアを見てみろ、かなりの広範囲だ、その全てに魔力妨害を起こしていると仮定するならば、余程馬鹿げた術式を維持出来る化物か、あの遺跡……街か、その中で、魔力供給を維持し、尚動く古い異物しかないだろう、少なくとも現時代の人間にこんな高度な文明はとてもじゃないが創れまい、前者後者なら後者の方が現実的だ……前者の場合……ソレはそれでアリだな?」


しかし、強制だが能力を縛りながら探索するのもまた一興……俺不在の間はベクターとヴィルが代理で管理する事になっているし、偶には独りで動くのも悪くはないか。



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[気になる点] 活用語尾としての「ない」は「無い」とは書かず、純粋にひらがなで表記します(早い話「無い」というのはイコール「存在しない」なので)。
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