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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第四章:狂い堕ちるは堕天の穢れ
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霧に隠れる霊樹

「霧が濃いな」


西の森を歩きながら、ボケ―ッとそんな事を考える、時折見える採取ポイントから毒草やら薬草やら、様々な草を採取しつつ進む、時折見つける人間を見つからぬ様に殺すのも中々痛快だ。


――ベキベキベキッ――


「音でバレバレだ阿呆が」


後ろから伸びた枝を叩き折り、腕を斧に変えて木を伐採する……コレがマイ◯クラ◯ト流伐採術。


「まぁ木材は四角じゃ無いけど……しかしなぁ、樹霊(トレント)しかり、ゴーレムしかり、自我が薄いと出てくる感情も薄いんだよなぁ?」


コレじゃ水と同じだ……まぁ木材は豊富な魔力を持ってるし使えるか?


―――――

【樹霊の木材】

樹木に魔力が宿り、魔法生物と化した魔物、その存在は魔力を持つ者を求め、擬態しながら過ごす。


樹霊から採れる木材は豊富に魔力を含み、魔術触媒として高い人気を得ている。

―――――


「魔術触媒ねぇ……俺も死霊術に使える触媒探そうかね?」


呪われたとかその手の類なのは必須だろうなぁ。


「……しかし、北の禿鷹を倒した時も思ったが……流石に強過ぎるな、俺」


別に自惚れている訳では無いが、こうも容易く倒せてしまうと些か退屈だ。


「どうにか力を抑制出来ないかね……ぱっと思い付くのは〝聖属性〟だが、死霊の俺達には無理だな、溶ける……むむぅ……」


『ボスエリアに――』


「〝聖属性〟……〝聖属性〟をどう加工するか……〝封印術〟……確か結界術を調べた時にチラッと――」


――バキバキバキッ――


「――んぁ?」

『―――』


そう物思いに耽っていた最中、突如身体に穴が開く……俺を取り囲むように生えてきた木の枝が、頭蓋を、腕を、腹を、足を突き貫き、血を啜っていた。


「流石に不用心過ぎた――グェェッ」


コイツ人が喋ってんのに喉突き破りやがったな?


「上等だ糞木材、切り刻んで磨り潰しておが屑にしてくれる……名前なんだぁ?」


―――――――

霧隠霊樹ミストハイド・トレント】LV:50


生命力:8000

魔力 :10000


―――――――


「――成る程、魔力特化のクソもやしか」


で、魔力を変換して自身の身体を成長、再生させる仕組みか。


「種が分かれば殺ることは単純だな」


――ゴポォッ――


「出番だぞ〝悪食蟲〟、其処の無限食料食い尽くせ」


――ブォォンッ――


「『ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチッ』」


何時ぞや作った角笛から貪蟲を呼び出す、さぁこのクソ木材をチリ一つ残さず食い殺せ。



○●○●○●


ソレは飢えていた……獲物に、生き血に、魔力に。


『――』


ただ魔力を求めるだけではない、自我が薄いながらに、悪辣な悪意を持ち、相手の苦痛に歪む顔を見て、生き血と共に魔力を啜る、ソレが楽しくて堪らなかった。


――パキッ――


久しく獲物が来た時、歓喜し、獲物を逃さぬように気配を殺し、待った……たった独りで此処へ来た人間……馬鹿だとさえ考えていた……獲物に飢えていた故に、その〝異様〟に気が付かなかった。


――ドスドスドスッ――

「……んぁ?」


間抜けた声と共に滴る血……ソレを吸った……そして。


――ゾッ――


見た……悍ましい闇を、何一つ見えない、闇だけの世界を、深く深く手繰り寄せる事すら叶わない深淵を、深く落ちて行く……その先に座して待つ狂気の化物を。



――ブォォンッ――


その音に現実に引き戻された……と同時に、更なる絶望が舞い降りた。


――ガチガチガチガチッ――


それは幾千の羽の音色、飢えた口をカチカチと鳴らして飛ぶ蟲の群れ。


この時、動けない己をどれ程呪っただろうか?


「へぇ?……〝樹霊〟にしては感情の起伏が大きいな?」


蟲の奥から、愉しげな、悦を孕んだ声が聞こえた……見下ろし、嘲り、愚弄する男が、そして。


――ギシ……ギシ……――


「俺を舐めた代償だ」


男の手に潰されながら……今更な後悔と、懺悔を浮かべ……常闇の中へ沈んだ。




「……何だ?お前で終わりでは無いのか?」



●○●○●○


確かに死んだ……間違い無く、色も見えない抜け殻に成った筈だが……はて?


「何で終わらんのだ?」


一向に戦闘終了アナウンスが流れない……つまりは。


――パチンッ――


「〝周りのも食え〟」


――ガチガチガチガチッ――


食い潰す、食い壊す……周囲の木々の尽くを……時偶あの木偶の坊と同じ奴が出てきたが、それで一つ分かった。


(コイツ等は下っ端、或いは複数体で一つのボス、ステータスを考えた場合は後者の方がしっくりくるが――)


――ドゴォッ――


「……予想が外れ――」


思考に脳を寄せていた、その瞬間に背後の地面から木の根が迫り、俺の半身を抉り貫く。


――パキパキッ――

――バタンッ――


視界が黒に染まり……身体が倒れる音がする。









「『―――――』」


倒れ伏した男の骸に木の根が伸びる……そして遠くの白霧が晴れ……周囲の木々よりも更に黒い樹が現れる。


そしてソレは骸を手繰り寄せ、その割れた樹の口へ運ぶ。



「『案外見つけられないモノだなぁ、おい』」

「『―――ッ!?』」


――バッ…バババババッ……――


樹霊の身体を幾多もの腕が突き破る……そして、腕が無理矢理に樹の身体を割り開き、中から"男"が現れる。


「魔力察知には引っ掛からなかった……つまりアレは魔力で創った霧では無く、自然そのものを用いた物、では気配はどうやったのか……いや、違うな、お前は周囲の木々にダミーの樹霊を置いたんだ、思考を逸らす為にな……何だったか……そうだ、〝ミスディレクション(思考誘導)〟だったな、それだ……まんまと引っ掛かった訳だな、俺は」


――ベキベキベキッ――


「認めよう〝霧隠老樹霊ミスト・エルダー・トレント〟…お前の勝ちだ」


丁寧に、丁寧に……敬意を以て老樹霊の身体を裂いていく。


「『――――ッ!?!?!?』」


辺りに形容し難い叫び声を散らしながら、西の森、第二エリアの長は死に絶えた。



『〝霧隠れのアヌトリアス〟が討伐されました!』


「ステータスはまだまだ全然相手にならんが、搦手で負ける可能性が有る……そうだそうだ、ソレを人間だけに当て嵌めていた……認識を変えるべきだな」


この世界の遊び相手は人間だけではなかった……♪


「次は……南だな」


――ギュチギュチッ――


「次の獲物はどんな奴かな?」


少し…いや、かなり楽しみだ♪

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― 新着の感想 ―
[一言] そうか、あの立方体の世界では木を殴る瞬間に腕が瞬時に斧に変型してたのか。 ますます人間を辞めてきてんな。
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