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Deadman・Fantasia〜死霊術師の悪役道〜  作者: 泥陀羅没地
第二章:悪夢に足掻く者達
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偽屍の悪魔

――『お前は異常だ』――


懐かしい、懐かしい夢を見た。


――『ねぇ、お兄ちゃん♡』――


かつて俺が……■■で在った頃の、在りし日の記憶……それがカセットテープの様にぐるぐると脳裏に過る、はて?何故この様な夢を見たのだろうか?


――『……待っててね』――



思考が浮上し、そして――


――ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ――


「……久し振りに〝昔〟を見たな」


もはや無関係なこの記憶を、何故今思い出したのかは分からんが、まぁ。


「取り敢えず、食事としようか」


それから掃除して、仕事して……大体15時辺りに終わりそうだな。


●○●○●○


――ガチャッ――


「おはようございます、我が主」

「おはよベクター……グルーヴ達は?」

「今朝から狩りに向かっています、〝監視者〟の回収も終了しました、そしてセレーネ殿から、この街の先に有るエリア2について報告書を頂きました」

「ソイツは重畳」


目的地へ進みながら、俺は報告書に目を通す。


「西……は〝誘霧の樹海〟、多種の蟲型魔物が入り乱れる群雄割拠、森を抜けると森人の要塞都市〝ルタル・バチュル〟、東……はドルダナン王国へ続く道……〝商業都市ブルエナ〟、南は獣王国ブォルバダの都市〝ガルム〟、北……は、ゲーデルツ帝国の第一都市〝カトベル〟ね……結構細かいな、大雑把な割に詳細な報告書を書くな、セレーネの奴……っと、着いたか」


紙束をインベントリに放り込み、扉を開く……何時もの実験室、しかし其処には先客が居た。


「おうヴィル、調子は?」

「ん?おぉ来たか主!いやぁ偶にはこういうのも悪くねぇ、最近は弟子共も育って来たしな、絶好調だ!」

「そりゃ良かった……お、培養出来てるのか」

「そりゃな、素体が主の物に近いお陰で楽に出来た、だが厄介な事に、腐っても悪魔と言うか、コイツの培養された肉に其処らの死霊が触れると耐え切れずに塵になっちまう」


――チャプンッ――


「ふむ、ヴィルや他のネームド達は問題無いか、しかし肉の状態で濃密な呪詛が込められてるな……良い呪物が作れそうだ」

「確かにこれだけの魔力がありゃ並の物以上に出来るな、んで〝例のアレ〟も、最近は微弱だが適合個体が出来てきた」

「素晴らしい……っとイカンイカン、今回の要件はそこじゃ無かった」


――ドクンッ――


研究室の更に置く、もう一つ扉を開けた先に有るソレを目指す。


――ドクンッ――


「お〜凄い、瘴気溜まりすぎだろ、流石悪魔」


死んで尚〝生きている〟。


紅く赤く、脈打つ心臓、そこから排出される、尋常でない瘴気を涼しい顔で受け流すハデス。


「前口上も面倒だチャキチャキッと終わらせよう」


――ドシュッ――


腹に手を突っ込み、胸元を弄る、そして。


――ブチッ!――


心臓を引っこ抜く……出血によりスリップダメージを受けながら、死霊術を使う。


――ブォォッ――


周囲の瘴気を吸い込んで、瘴気の渦は色濃く、ドス黒く、俺を包みこむ。


――ブツンッ――



そして、意識を途切れさせる。







「おぉ、久し振りに来るな此処」


次の瞬間、背景全てを肉と臓器で埋め尽くした場所に俺は降り立つ……所々蟲の残骸が有るのは、相手の性質故か?


――ギンッ――

――ブチッ――


刹那、背後から衝撃が奔る……その瞬間、俺は首を刎ね飛ばされた。


「あ〜、1つ教えておくとだな、この空間ではどんな攻撃でも直接殺害は無理だぞ?」

「なッ!?」


首を掴み後ろの〝蟲〟に目を向ける……確かにリグドナラだったか? コイツはつまらんな、同じ手しか使えない。


――グチャグチャ――


「〝精神世界〟……〝深層心理〟?或いは〝心象世界〟、何れにしろ〝精神〟だけが此処に在る、ただ此処の特別な所は、痛覚、苦痛はそのまま精神に直撃する所だ」


首の位置を元に戻しながら、蟲悪魔を見る……今後退ったな?


「器の奪い合い、どちらの精神が壊れるかの削り合いだ」


――ドロォ――


さぁ、コイツは何分保つかな?


「し――」


――ゴリュッ――


創り出した短剣で喉を抉る、良い。


――ゴキゴキゴキッ――


突き刺した短剣から手を離し、首を、手足を折り潰す、良い。


「ぎぃぃ!」


――ブシャアッ――


彼奴の攻撃が、俺の腹を抉る、痛みが奔る……だが。


「まだまだ微温い」


身体から新しい腕を創り、脚を引き千切る。


「ヒッ!?何だよソレェ!?」

「死霊術の応用、以上」


さぁ、さぁさぁさぁ!悪魔なのだろう?堕落の誘い手なのだろう!?簡単に〝壊れて(絶望して)〟くれるなよ?




●○●○●○


――ハァ……ハァ……――


「何なんだ彼奴……〝普通〟じゃない!?」


僕は、リグドナラはずっと変わらない景色をただ走っていた、総て奴から逃れる為に。


――ギロッ――


空間の床から、壁から、至る所から目が、口が生え、悍ましい音色を奏でる。


「「「「見ぃつけた♪」」」」


その声に恐怖し、足を止める……すると、足首を掴まれる。


「追いかけっこはもう終わりか?」


地面から肉の塊が蠢き、姿を変える……最も〝悍ましい〟姿に。


「悪魔だろう?悪魔が恐れてどうする?悪魔は恐れさせる方だろう?」


クツクツと笑いながら、肉の塊は変化し、一人の男を造る。


「此処は無限に続く精神の回廊、逃げた所で逃げ場は無い、死なずとも魂は摩耗していくぞ?お前に残された道は〝俺〟を殺し続けるしか無い」


――ブチッ――


「グゥッ!?――ヒィッ!?」


――ギロッ――


いつの間にか、総ての目が僕を見ていた、愉しむように、嘲る様に。


「〝恐怖〟して良いのか? 魂が削がれれば削がれる程にお前は蝕まれる、良いのか?〝死ぬぞ〟?〝消えるぞ〟?」


声だけが頭を殴り付ける、何をするでもなく、淡々と声を送る、顔を上げることは出来なかった……だって、アレを見れば。


――ヤバい――


「俯くなよ、ほら、敵は床じゃないぞ?」


頭を掴まれて、強引に顔を引き上げられる、やめろ、止めてくれ。


「や、やめて……嫌だ、僕はまだ〝死にたくない〟」


――ギチギチッ――


抵抗する僕を意にも返さず、強引に頭を上げる、駄目だ、このままじゃ本当に――


――グイッ!――


「ばぁ♪」

「※※※※※※!?!?!?!?」


その瞬間、見た、〝見てしまった〟、その顔を、その〝眼〟を、人の身体では無い、悍ましい〝無形〟の身体、そこから生える無数の眼を、目を、瞳を……ジィっと、ずっと見ている、背けることも出来ずにただ見つめ合って、徐々に心を蝕んで、それで、ソレデ……ソノ眼ヲヤメテクレ。


――ブツンッ――



「クフッ♪クハハ♪クハッハッハッ♪アッハッハッハッハッ!絶望、恐怖、嫌悪、忌避、悪意ではなく生命の感じる恐怖の煮凝り……悪魔でもこうなるのか……フフフッ♪」


――バリッ……ムシャッ……――


『個体名ハデスが条件を満たしました』

『変異を開始します』


――ドクンッ……ドクンッドクンッドクンッ――


『個体名ハデスは種族〝偽悪魔〟から〝偽屍の悪魔〟へ進化します』

『進化に伴い、能力〈死霊術〉が〈屍魂ノ外法〉へ変化します』

『進化に伴い〈鑑定〉は〈悪魔の眼〉へ進化します』

『進化に伴い〈呪術〉は〈呪物作成〉へ変化します』

『称号〈悪魔を騙る者〉は〈偽屍の悪魔〉へ変化します』

『称号〈禁忌を破る者〉は〈禁忌を担う者〉へ変化します』



そのアナウンスと同時に、俺の身体が収縮する……と同時に、強制的に身体が変化を始めた、具体的に言えば頭と背中と腰辺りから何かが生えた気がする。


「種族名は偽屍の悪魔か、随分とまぁ、雑な名前だな」


取り敢えず、進化後のステータスを確認しようかね。


―――――――――

【ハデス】LV:50

【偽屍の悪魔】


生命力:20000

魔力 :20000

筋力 :15000

速力 :13000

物耐 :13000

魔耐 :15000

信仰 :5000

器用 :15000

幸運 :10000


【保有能力】

〈悪魔の眼〉LV:1

〈屍魂ノ外法〉LV:1

〈呪物作成〉LV:1

〈影魔術〉LV:4

〈杖術〉LV:6

〈体術〉LV:7

〈気配察知〉LV:8

〈魔力察知〉LV:8


【固有能力】

〈冥現の招門〉


【保有称号】

〈禁忌を担う者〉〈外道〉〈殺人鬼〉〈偽屍の悪魔〉〈狂気を嗤う者〉〈冥現を繋ぐ者〉〈魔術を拓く者〉、〈悪神の祝福〉


――――――――

――――――――

〈悪魔の眼〉

悪魔と成った者が獲得する能力、物を識る力と、悪意を見る力を内包している

――――――――

――――――――

〈屍魂ノ外法〉

死霊術が変異した能力、本来の死霊術とは並外れた力を持つが、その反面で使うのに並外れた魔力を求められる

――――――――

――――――――

〈呪物作成〉

呪いを込められた負の道具を作成する能力、コレにより創られた道具の性能は所有者の思考が影響する

――――――――

――――――――

〈禁忌を担う者〉

禁忌を破り、そして尚深みへ至ろうと足掻く愚者に与えられる称号


効果:一般NPCからの心象低下

  :禁忌に縁のある者からの心象向上

  :禁術の能力微上昇


――――――――

――――――――

〈偽屍の悪魔〉

偽りと屍の力を持つ悪魔、本来の悪魔とは異なる性質を持つ、この称号を持っているのは世界でただ一人

――――――――



「ふぅむ、中々悪くない……か?」


蟲の悪魔を取り込んだからと、蟲に関する力は付かないのか、成る程。


「そんじゃ、帰る―――」


『悪いけど、まだ帰さないよ?』

『うむ、雑魚とは言えたかが悪魔モドキが本物を殺すとは愉快な事よ』

『う〜ん、君がいれば僕はもっと怠けられるかな〜?』

『あらぁ?中々悪くない男じゃなぁい?』

『悪魔から力を〝奪う〟とは、面白ぇ奴だな』

『ちょっと〝色欲〟!私のにするんだから取らないでよ!』

『……』


「……はぁ、此処は面倒な奴が来ないといけない決まりでも有るのかねぇ?」


俺を囲む様に現れた7人の男女……話の流れから言わんでも解るだろう。


七罪の悪魔共と遭遇した………クソ面倒くさい。

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― 新着の感想 ―
【保有能力】の影魔術、呪術、状態異常無効と【保有称号】の悪神の祝福が抜けています。 種族の変化によって故意に外したのであれば申し訳ないです。
[気になる点] 『称号〈悪魔を騙る者〉は【〈偽りの悪魔〉】へ変化します』 【保有称号】には 【〈偽屍の悪魔〉】 【〈偽屍の悪魔〉】 偽りと屍の力を持つ悪魔、本来の悪魔とは異なる性質を持つ、この称号…
[一言] ん?偽悪魔→偽屍の悪魔? もともと偽屍悪魔じゃなかったっけ?
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