巨人狩りの六英雄②
どうも皆様、泥陀羅没地です。
とうとう100話到達しました!。
何と言えば良いのか……これまで書いてきてこの驚愕、この感激を表現する言葉が見つかりませんが。
えぇ、とても嬉しい事です。
それもこれも評価して頂ける皆様、感想を頂ける皆様のお陰です。
やはり、評価されると嬉しい。、感想を頂けると心の不安が晴れる。
皆様には感謝してもしきれませんね……。
まだまだ、この作品は続いていきますが、これからも変らず、皆様に応援して頂ければ、作者の励みになりますので、どうぞこれからも宜しくお願い致します。
――ズガガガッ――
「危ねえッ!?」
「ヒィィッ、掠った、今掠ったよねぇ!?」
地面を屍骨の槍が抉り進む。
――ジリィンッ――
「「グゥッ!」」
空では鬼と乙女が巨槍と鍔迫り合いをしていた。
「チッ、近付けない」
『相手はどうもコチラを認識してるらしい、私も動けない』
巨人の変異、其処から始まった地獄……。
巨大な槍が舞い、大地を壊しながら、風を引き裂きながら暴れる、それだけじゃない。
「「「「カタカタカタッ!」」」」
『ッ!?』
巨人の胸元の、幾千の骸が騒ぐ……そして。
――カッ――
六つの色が、数百、数千と空を漂い、落ちる。
――ドドドドドッ――
それは魔術の豪雨、プロフェスに至らずとも近くへ迫る、千を超える口より詠われる、厄災の歌。
『……無法過ぎるだろう?』
唯一、比較的安全圏に居たプロフェスは、その光景に呆れを乗せて呟く。
「シィャッ!」
――ジリィッ――
「舐めるなァァッ!」
――ズパンッ――
土煙から、三郎丸の慟哭が響く……そして、屍骨の槍に刃が食い込み……漸く1つ、槍を斬り捨てた。
『――ッ!』
――ギュチッ――
「ヌゥッ!?」
斬り捨てた槍が、巨人の咆哮と共に形を変える……そして屍肉の刃が三郎丸に降り注いだ。
「"起爆"」
それを、ノーマンの放った爆発が、吹き飛ばし……巨人の脚を掠める。
「魔術に槍技……何でも御座れ、オマケに腕は複数、目は常に儂等を捕らえてる……幸いな事に相手の弱点は……」
三郎丸が、目にした先……巨人の胸、骨で覆われた鎧の先……脈動する、異形の心臓。
「割れてる」
「いや無理ッ、届かないよ!?」
「脚を壊せばいけるだろうが……コイツさっきよりも硬えんだよなぁ」
ノーマンの一撃が生んだ骨肉の散弾を受けて尚、その鎧に掠り傷しか付けられなかった。
「ノーマンの一撃を直で当てられたら……まぁ行けるだろうが……」
「もう片方をどうするか……だよなぁ」
「私の影裂きなら行けるかな?」
『――いや、ノーマン君はトドメに必要だ、ノーマン君抜きで頼む』
「――ふぅむ……そんじゃあ、脚は儂とニノでやろうか?」
「……問題無い」
攻撃を避けながら、六人の英雄は策を練る、巨人を殺す策を。
『了解した、三郎丸とニノ殿に巨人の脚を狙って貰う、次に胸部装甲及び、心臓への道を作ってもらいたい』
「んじゃ骨の装甲は俺が担当する、ジャックは心臓までの穴を頼む」
「了解、ノーマントドメ任せたよ!」
「承知した」
「――コレで、巨人討伐への道は出来た……後は、あの厄介な五本槍だが……どうするかね……」
(作戦をより盤石にするならあの五本槍はどうしても壊しておきたい……どうする)
壁上にて、プロフェスは離れの巨人の乱撃を見ながら、思考を回す。
(私の魔術が使えたならばそう難しくないが、今は無い……今この場で、あの五本槍を破壊するには……)
崩れた壁、無惨に壊れた防衛陣地……そして。
――打ち捨てられた、壊れかけの魔術兵器――
「……ふむ、『悪いが少し通信を切る、私が再度通信したのを合図に、作戦を始めてくれ』」
『『『『『了解』』』』』
○●○●○●
「シィッ」
「オォッ!」
――ギィンッ――
「フハハッ♪」
左右から迫る聖剣を掴み止める…うん。
「さぁ、もっと殺意を込めて♪」
――ボキボキッ――
「「グゥッ!?」」
身体を無茶苦茶に動かし、そしてそのまま宙に跳び足蹴りを放つ、それをギリギリで防ぎ切る二人の男女。
「〝首吊りの鉄鎖〟ッ!」
「お?」
それの合間を縫って、血濡れた鎖が俺の首を絡める……ハッハッ♪…コレでは俺が奴隷の様だなァ?
「綱引きでもしようか?…〝処刑人〟」
――グッ――
――ギリ……ギリッ……――
宙で鎖が引き合う……鉄を擦り合いながら。
「クソ……重ぇッ…」
「クフフッ♪……素晴らしい、素晴らしい、俺の膂力で壊れない……歴史が浅いと言うのに……お前の〝相棒〟も、お前も……全く、何て素晴らしい」
――ザッ、ザッ……――
「〝召喚:悪夢の獣〟」
「『※※※※※!?!?』」
「ほぉ!…〝悪夢〟を飼い慣らすか……面白いッ」
――ジャラッ……ギチッ……――
「だが、もっとだ」
「『※※※!?…※※※※――!?』」
悍ましい獣の首を鎖で絞め上げる……骨が砕け、肉を締め付け、呼吸の口を塞ぐ。
「〝裁定者の鉄槌〟」
「……〝深淵の大口〟」
そして、空から落ちる白い十字を、大地から伸びる黒い穴が貪る。
「さぁ、もっと踊れ、もっと思考し、もっと自由に戦えッ、満足するな、貪欲に強欲に求めろッ!」
●○●○●○
(まだかプロフェス)
飛び退き、槍を躱しながら、ノーマンは口の中で焦りを吐露する。
巨人の槍が1つ減った……それは僥倖だ、三郎丸は良い働きをした……だが、その後が問題だった。
「オイオイッ、ギア上げてきやがったッ!」
「ヒィィッ、怖ッ、怖ァァァッ!?」
操る槍の数が減ったことで、その速度が増していく、そして、狙いがどんどん精密になって来る……今はまだ、何とか対処出来るが、このまま行けば何れ誰かが喰らうだろう。
「ッ――〝起爆〟」
「ッ!?悪いノーマン!」
爆発が、テストの視界外から迫る槍を逸らす。
「ッ……まだッ」
ニノの言葉を遮る様に、巨人の槍が振り下ろされる……。
――ズガンッ――
だが……その一撃は、ノーマン達を押しつぶすことなく、粉砕された。
『―――何とか、間に合った様だね』
プロフェスの声……それは、つまり――。
「ッ三郎丸!…ニノッ!」
「「承知」」
作戦開始の合図!
「〝村正〟……殺るぞ」
「……〝白装死刃〟……〝骸雪姫〟」
豪炎を纏う翁と、氷雪を帯びた少女が、同時に駆ける……。
『――ッ!!!』
『させんよ』
その動きを察知した巨人が二振りの槍を振り下ろす……たが。
――ドドドドッ――
遠く、崩れかけた巨大な砲塔から、放たれた砲撃が、その槍を砕く。
「「シィッ!」」
――ズッ シャァァァァッ!――
炎が骨を焼き尽くしながら、霜が骨を凍らせ砕きながら……その巨人の筋肉に覆われた脚を、断ち切った。
『ジャック、テスト』
「「了解!」」
崩れ落ちる巨人、その胸部に、二人の影が迫る……。
『〜〜ッ!』
「プロフェェスッ!」
『見えているとも』
巨人が、己の臓腑を守るように、槍を交差に構える……それをまた砲塔が砕く。
「フゥゥッ……"風纏い"ィ……」
テストの身体を、風が……否、〝嵐〟が包む……そして、その牙は――。
「〝鎧砕脚〟!」
骨の、硬く分厚い装甲を蹴り砕いた。
「ジャァァァックッ!」
「……〝影裂き〟」
巨人の胸部に生まれた……己の影に、ジャックが短剣を刺し貫く……。
――ズッ――
「……〝自相同殺〟……グフッ!?」
ジャックの胸に、黒い短剣が生え、心臓を覗かせる……それと、同じくして、巨人の胸部にもまた……黒い刃が咲く。
「ノ゛ー゛……マ゛ン゛ッ!」
「無茶をする……〝圧縮〟」
そして、ノーマンが穴の中を駆ける……。
――ズズズズッ――
――ウオオォォォォッ――
満ちる怨嗟の声、蠢く人の腕を振り解き、無視して……そして、左腕に白い魔力が纏われる。
――カタカタカタッ――
「……」
巨人の足掻きか、身体の中で炸裂する魔術の波をノーマンが掻い潜る……そして。
「……〝白崩拳〟」
脈動する心臓、人のパーツを寄せ集めた様な、悍ましい核に、白い破壊の拳がブチ当たった。
――ドッ――
そして、周囲に衝撃が走る、骨肉が砕けて吹き飛び、巨人の身体を侵食する……。
巨人の左胸を中心に、巨大な穴が空いた。
○●○●○●
『ッ――!?……ハッハッ♪……ハッハッハッ♪』
「「「「ッ!?」」」」
アナテマが討たれた……ッ、殺したのは……フフッ、ノーマン、ニノ、三郎丸、テスト、プロフェスか……素晴らしい、おめでとう……〝英雄の誕生〟だ!
「嗚呼……是非とも、この目で、その瞬間を、その始まりを見たかった……が、フフフッ、構わない、構わないさ……」
此度のイベント……不愉快な事もまま有ったが、うむ……凡そ満足行く物で在った♪
『まだだ……このまま死んでたまるか』
「――ッ!」
●○●○●○
崩れ行く己の骸、死に行く俺の魂……〝下らん〟。
『まだ、俺の目的が果たせていない……このまま死んでたまるかァァァッ!』
残った腕、残った槍を強く握る……狙うは……〝彼処〟だ。
「ッ!?」
『不味いッ!』
もう遅えよクソがッ……。
――ゴゥンッ――
そして放たれる、巨槍の破壊の一撃が……最期の力を振り絞り、己の生命を燃やし尽くして。
――ズガァァンッ――
崩れた壁の先に見える……最もデカく最も綺麗な建物を、破壊した。
『ゲッヒャッヒャッ♪……ザマァ、見ろ……人……間……』
そして、巨人の死と共に、六人の英雄が誕生した。
そして……巨人の悪足掻きは……その叫びは……。
「〜〜ッ、〜〜〜ッ!!!」
彼の創造主に……しっかりと届いていた。
「『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ』」
嗚呼、良き散り際だったぞ、アナテマ。
「『ケヒッ……ハハハッ♪…巨人は討たれた、残る駒は、切れる札は私だけ……嗚呼、素晴らしい』」
本当に……〝此処〟は素晴らしい。
「『〝屍月〟……〝深夜ノ刻〟……〝屍人ノ世〟……〝再誕〟』」
では……俺も、この舞台を去るとしよう……〝勇者に打倒される化物〟とし――。
「〝滅びよ、悪神の眷属〟」
「『―――』」
――ゾワッ――
「『アァ……オ前ハ、オ前ハ何故、コウ間ガ悪イ……〝神モドキ〟』」
俺の身体を、アーサーが裂く……いや、違う、アーサーではない……アーサーに力を与え、そして今も尚俺の邪魔をする……コイツは。
「『漸く御対面か……いや、声だけだから違うか……〝善の〟』」
「『……不愉快な塵ですね』」
間違い無い、〝善神〟……世界に根を張る、〝神モドキ〟だ。




