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41.明かり、音楽、そして3日目の朝

41話目です。


ではどうぞ。



「へぇぇ……これだけでも結構明るいな」


 

 夜へと入り真っ暗になった室内に、ピカッと明かりが灯る。

 ドラッグストアから持ってきた懐中電灯が、早速役に立ってくれていた。



「すみません……ずっと【光核(ライトコア)】を維持できれば光源になるんですが」



 まだ少し薄暗い室内、ソルアが多分申し訳なさそうな表情になっていた。



「いや、全然。もう後は休むだけとはいえ、ずっと魔法を使いっぱなしは疲れるだろう。――で、後はこうしてっと」



 ペンライトのように細い形をした懐中電灯を、透明なコップの中に立てておく。

 真上、天井に光が集中した。


 そのコップの上に、水で満たしたペットボトルをセットする。

 すると、ペットボトルを介して、光が室内全体に広がったのだ。


 それだけでかなり視界が確保できるようになった。



「わぁ~!」


「おぉ~!」


 

 二人が手品を目にしたように驚く顔も、ちゃんと確認できた。

 


「ははっ、まあたまたまドラッグストアにあった“防災だより”で見ただけだけどな」


 

 懐中電灯の付近に簡単なコーナーが設けられていて、そこに張ってあった写真で学んだだけだ。

 それでも二人が感心して俺を見てくれているのが分かり、ちょっと嬉しい。


 

「もう一本持ってきてるし、乾電池の替えもある。何ならスマホのライト機能を使えばいい。これで夜も極々簡単な行動なら可能だな」



 緊急の場合はソルアに魔法を頼めばいいし。

 ただやはり、日常生活の部分はできるだけ文明の利器で対処したい。

 

 だから今後もソルアの魔法や、俺の【火魔法】は二次的な選択肢にとどめることにする。



「はい! ただ……」 


「ええ。何かできると言っても……私たち、何をすればいいのか、分からないのだけれど」



 ああ、まあ、そりゃそうだ。

 


「ネットカフェだし、マンガはあるけど……」



 流石にマンガを読んで時間を潰したらどうかとは言い辛い。

 ただでさえ天上についてるような光じゃなく、懐中電灯を使って視界を確保している状況だしね。

 

 

「普通にもう寝てしまうということじゃダメなのかしら?」


「いや、アリと言えばアリだけど……かなり早くないか?」



 昨日は疲れもあって特に何もせずグッスリだった。


 一方で、今日も確かに疲労感はある。

 でも自室以外に泊まることになったためか、外泊した時みたいな高揚感があって俺はまだ眠くなかった。



「二人がもう寝たいっていうんなら全然かまわないけど」


≪えぇ~! ボクはまだ眠たくないよ? だからご主人、今夜はまだまだ寝かさないぞ!≫


 

 ファムは仮眠したからじゃないかぁ?

 ってか、そういうことは普通、俺がソルアやアトリに言うセリフじゃ――


 

 ……違った。



 俺が言うセリフでもないな、うん。

 ……違うよね?



 ダメだな。 

 本当、外泊気分だからか、ちょっとテンション上がっちゃってるのかな?



「あっ、いえ、私はまだ。ご主人様やアトリと起きていたいです」


「うん。そうね、私も……ソルアと同じよ」



 二人とも、俺に気を使った感じじゃなく。

 言葉通り、まだ何となく寝たくないような気分らしい。

 

 

 どうしようかな……。



 ――あっ。



「じゃあさ、音楽、聴くか?」



 そう言って、念のための光源用にと出していたスマホを操作し始めた。



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□



「ふんふんふふ~ん」


「うん……これも、素敵な歌ね」



 スマホから流れる曲に身を委ね、休憩の時間をゆったりと過ごす。

 横に並び、うつ伏せになるような形で寝転がっていた。


 ソルアは今しがた終わったばかりの歌を、楽しそうにハミングしている。

 一方アトリは余韻(よいん)(ひた)るように何度も頷きながら、伸ばした足をパタパタとさせていた。



「……フフッ」



 態度や仕草だけでも、二人が俺のプレイリストを気に入ってくれているのが伝わってくる。


 他人が、しかもとても近しい存在の二人が。

 自分の好みの歌を、同じく好きになってくれていると感じ、とても嬉しくなった。



≪ヒュ~ヒュヒュ~、ヒュルリ~≫


 

 そして衝撃の事実が判明。

 ファム、高性能な魔導人形のくせして実は音痴だった。


 何だよ“ヒュルリ~”って。

 そんな歌詞も音も、一つとしてなかったぞ。

 妖精型って話だからてっきり歌も上手いイメージだったが……。

 


 ……まあ音痴でもなんでも、歌を好きになってくれるんなら大歓迎だ。



「次の歌も、多分アニソンかゲーソンだと思う。……アニメ・ゲームの歌って意味な」


 

 アニメとゲームがどういう概念か、簡単に説明する。

 特にアニメついては事前に、レンタルビデオ店で少し触れていたので解説が楽だった。


 ……ゴメンね、アニソン・ゲーソンばっかで。


 1/3くらいはちゃんと好きなアーティストの歌も入ってるから、うん。

 


「へぇぇ~。ではまた機会があったら見てみたいです。アニメも」


「ええ。ゲームってのも興味深いわ。……そもそもこの状況自体が【異世界ゲーム】って言うんでしょ?――同じ“ゲーム”って言葉がついてるし」



 こうして音楽をきっかけに、色んな話へと広がっていく。


 二人はこの世界のことを。

 そして元々の日本のことを知ろうとしてくれているのだと分かって、嬉しくなる。


 だが同時に、その世界がもう過去に失われてしまったんだと思い出すことにもなり。

 何ともいえない寂しさや悲しさのような感情もあった。


  

「……? ご主人様?」


「マスター、どうかしたの?」


 

 上手く隠しているつもりだったが、自分ではわからない雰囲気の変化でも感じ取られたのかもしれない。

   

 心配して声をかけてくれた二人に、何でもないと手を振る。


 

「いや。……おっ! 次の曲は特にオススメの曲だ」



 タイミングよく、話題を変えるきっかけができた。

 


「恋愛の曲だな。多分二人と同年代の女の子目線で書かれた歌詞だ。相手を想う恋心とテンポのいい曲調が凄くはまってると思う」



 そう簡単な解説をしながらも、また軽く落ち込んでしまう。

 そんな甘酸っぱい青春の舞台すらも、壊されてしまったんだろうなと。



 ……そもそも舞台にいながら青春できなかった陰キャボッチですけどね!  



「相手の男の子に恋をしている女の子の気持ちが、凄く伝わってきます」


「それでいて悲しい気持ちになるんじゃなく、音も明るくて前向きにさせてくれる。とてもいい曲だわ」



 良かった。

 これも好評のようだ。



「これも、ご主人様がおっしゃる“ゲーソン”か“アニソン”、ですか?」



 うぐっ。



「お、おう……これは“ゲーソン”だな」


「……? 今、何で一瞬詰まったのかしら?」



 こぉ~ら。

 アトリさん、変なところ鋭くなくていいの。


  

 ……まあゲームはゲームでも、ちょーっと大人向けなゲームの主題歌って感じなだけだから。


 うん、良い歌多いんだよ本当。

    


 そうして眠くなるまで、スマホに入っている音楽をゆっくりと楽しんだのだった。



□◆□◆ ◇■◇■  ■◇■◇ ◆□◆□



「んっ、んん~……」



 あぁ~。

 目覚めました。

 

 ヤバい。 

 また爆睡してたらしい。



「自分の部屋以外でも案外寝られるもんだな……」



 自由貸出のスペースから持ってきた硬めな枕君とブランケットさんも、中々役立ってくれた。

 良い仕事したぜ、あんたら。


 さて、起きあがろう――



 ……ん?



「あれっ、動けない……えっ?」



 体を起こそうとするが、両腕両足が何かに固められたように動かなかった。

 こっ、これは、俗にいうあの金縛りか!?


 そう思って二人に緊急事態を伝えようと首を巡らし―― 



「んんっ、すぅ……すぅ……」


「ます、たぁ……そんなの、エッチ、過ぎるわよ……」 



 ――今度は思考が停止してしまう。



 右側にはソルアが。

 左側にはアトリがいて。


 そうしてそれぞれの腕や脚が、俺の腕と脚を絡めるようにしてロックしていたのだ。


 

 もちろん二人は寝るときもニット一枚だったから、俺の脚に触れているのは二人の生足で……っ!!    



 ――ソルアさんっ、アトリさんっ、お願いだから起きて!!



「んっ、んん……」


「すぅ……すぅ……」



 だが一人では難しそうだったため、脳内会話で必死にファムを起こし。

 そうして助力してもらうことにした。

  


≪うにゅぅぅ……起こせば、良いんだよね?≫


 

 ああ、頼むぞファム。



≪うん……よいしょっと――≫


 

 寝ぼけ眼をこすりながら、ファムはフラフラと飛んでいく。

 向かったのは、ソルアの服の中だった。



 ……服の中ぁ!?


 

≪ペチペチ……おーい、ソルアお姉さぁ~ん。起きてぇ~≫



 ファムの声は俺にしか届かない。

 なので、おそらくファムは物理的方法によってソルアを起こそうとしたのだろう。



「んっ、あっ、んふぅ、やぁ……」



 ――おいぃぃぃ!? 凄い色っぽい声が耳元から聞こえてきちゃってるけどぉぉ!?



≪これで良しっと――次、アトリお姉さん≫


 

 そう言って、ファムはスゥっとソルアの首元から出てきた。

 それからアトリの元に向かい、同じようにニットの首元を押し広げて服の中へ。



≪ペチペチ……アトリお姉さん、朝だよぉ~。起きてぇ~≫

  


「んっ、あっ、んぁ――やんっ、ダメっ……」


 

 直ぐ隣でアトリの悩まし気な超エロい声がぁぁぁ!!

 ファムさん、君、今度もどこをペチペチしてんのさ!?



≪えぇ~? ペチペチだけじゃなくて、ユサユサもしてるよぉ~?≫



 ユサユサもぉ!?


 

 くっ。

 擬音で表現されることでかえって想像が膨らんでしまった。

 ファムめ、なんて恐ろしい奴だ。



「……んあっ――おはよう、ございます。ご主人様」


「んんっ……? おはよう、マスター」

  


 そうしてファムのペチペチとユサユサの甲斐あってか。

 二人はちゃんと目覚めてくれたのだった。



 ……いや、本当、ペチペチとユサユサって何なんだよ。




「さて――」



 トイレを済ませ顔を洗い。

 歯磨きも終わらせ、改めて部屋に戻ってくる。



 外はもう明るかったが、まだ7時にもなってない。

 数えるほどしかやっていないが、既に習慣みたくなった確認を今しておくことにした。





=========

~通常ガチャ~

 毎日1回ガチャ無料!


●ランク①

 通常1回:20Isekai

 10連:200Isekai


※10連ガチャの場合、★3以上が1つ確定


●ランク②

 通常1回:40Isekai

 10連:400Isekai


※10連ガチャの場合、★3以上が2つ確定

※ランク②ガチャライセンスが必要


==========

①~生存ログインボーナス 3日目~

 結晶複製(コピー)チケット×3枚



※9時以降より受取り可能

※有効期限:当日限り


==========     

②~イベント“3rdアニバーサリー”~

【異世界ゲーム】サービス開始3日目に突入記念!


 今までに当たらなかった異世界奴隷(女)を、イベント限定衣装にて獲得する大チャンス!

 

 期間中に10連ガチャを回すと、異世界奴隷(女)との絆を繋ぐ“絆欠片(リンクス・フラグメント)”が出現。

“絆欠片”を一定数集めると、好きな異世界奴隷(女)と交換可能だ!



※このイベントは10連ガチャ限定

 また、3日目の12時~4日目の0時まで


==========

  

 

日間ランキングはギリギリの5位でしたね。

本当に厳しい日が続いていますが、そうした中でも未だ頑張れているのは本当に読んで応援してくださる皆さんのおかげです。


今日は色々とあって本当に疲れていました。

ですがおかげで、何とか気力を振り絞って書ききることができました。


何度も書いてる途中に「今日はもう本当にやめよう。寝よう」といつもの悪魔が凄く優し気に、そして単刀直入に囁いてきて……。

今回ばかりはくじけそうになりましたが、継続できました。


本当にありがとうございます。


今後もよろしければぜひ、ブックマークや広告の下にある★★★★★のボタンの方、していただけますと大変執筆の際の励みになります。


よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] まだ3日目だったか
[気になる点] 通常ガチャのランク1と2の条件を比較したとき、ランク1を20回まわした方がお得に見えます。 [一言] 毎日楽しく読んでいます。
[一言] 作者さん1日だけ書くのを止めてリフレッシュしてみては?気分変えたらまた書けるのでは?
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