32 間接キス

「とりあえずここに座ってなさい。私はアイス買ってきますわ」

「うん、……バニラでお願い」

「分かりましたわ」

　ソフィアさん、行っちゃうのか……。まあ、アイス屋のイス使ってるんだから買わないと失礼だしね。

　しかし全然酔いから覚めないな……良くはなってるんだけどね。

　

「お待たせしましたわ」

「あ、ソフィアさん。早かったね」

「あまり並んでなかったので。はい、これフィルさんの分ですわ」

「ありがとう」

　パクッ。うん、美味しい。

　やっぱりアイスといえばバニラだよね。

　ソフィアさんは……チョコミントか。

　あれってどんな味がするんだろう。よく歯磨き粉の味がするって聞くけど。

　

「ソフィアさん、一口もらっていい？」

「ん、別に構いませんわ」

「ありがとう」

　なら遠慮なく…パクッ。

　……あー、みんなが歯磨き粉っていうのが分からなくもない。美味しいけどね。

「ソフィアさんも一口いる？」

「……それって間接キスになるんじゃ……？」

「私が食べたところソフィアさんもう食べてるし……今更だよ」

「ふぇ！？　え、え？」

　その後、ソフィアさんはめっちゃ顔を赤くして何も喋らなくなってしまった。

　漫画やアニメだったらボンッという効果音をたてて頭から湯気を出しているような状態だ。

　……また壊れちゃったかな。